スーパーフォーミュラ:TOYOTA GAZOO Racing 2017第6戦SUGO レースレポート 2017年全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦SUGO
関口雄飛が今季2勝目! SUGOで2年連続勝利を飾る
中嶋一貴が3位表彰台獲得
スーパーフォーミュラの第6戦がスポーツランドSUGOで行われ、2番手からスタートで首位に立った関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がレースを支配し、今季2勝目。昨年に続きSUGOでの2年連続勝利を飾った。様々な作戦での戦いとなる中、好走を見せた中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が3位に入り、開幕戦以来の表彰台に上った。
9月23日(土)、24日(日)の両日、宮城県柴田郡村田町に位置するスポーツランドSUGOでスーパーフォーミュラの第6戦が開催された。
全7戦で戦われている2017年のスーパーフォーミュラもいよいよ残り2戦。最終戦へ向けての山場となる一戦の舞台は東北の山間に位置し、『魔物が棲む』と言われるSUGOのテクニカルコース。
最終戦は2レース制で、それぞれに優勝ボーナスがつくために、大量得点での大逆転が見込める。少しでも有利な位置で最終戦に臨むべく、世界レベルのトップドライバーによる激戦が展開された。
予選
23日(土)SUGOは前夜から朝まで残った雨の影響で、午前中のフリー走行はウェットコンディションから徐々に乾いていく状況となり、完全なドライでの予選シミュレーションは出来ないまま終了。その後路面は乾いていき、スーパーフォーミュラの予選が行われる午後1時過ぎには完全なドライコンディションとなった。空は雲が覆い、気温21度、路面温度22度とやや肌寒い中で午後1時15分からQ1(20分間)が開始された。
いつも通りセッション開始前からピットロードにほとんどの車両が並んで待機し、スタートと共にコースイン。一旦タイムをマークしてピットへ戻り、残り7分を切ったあたりから再アタックに入った。
まずSUGOを得意とするアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)がトップに立ち、チームメイトの中嶋一貴がこれに続くタイムをマーク。この2台の間に国本雄資(P. MU / CERUMO・INGING)、小林 可夢偉(KCMG)が割って入るなど、目まぐるしく順位が入れ替わるセッション終盤、ルーキーのヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がトップに立つも、その直後にチームメイトの関口が塗り替え貫禄のトップタイム。
フェリックス・ローゼンクビスト(SUNOCO TEAM LEMANS)が終盤まで圏外にいたが、ファイナルラップに10番手タイムをマークしQ2進出。一方でトップから1秒以内のタイムをマークしながらも僅かな差で及ばず、この週末苦しんでいる山下健太(KONDO RACING)が17番手、大嶋和也(SUNOCO TEAM LEMANS)が18番手でQ1敗退となってしまった。
Q2(7分間)ではまたもロッテラーが速さを見せトップ。関口、中嶋一貴、小林、石浦宏明(P. MU / CERUMO・INGING)と続いた。一方で、国本は最後までアタックを続けたが、0.038秒及ばず9番手でQ3進出ならず。ローゼンクビストも11番手でQ2敗退。Q3へ進出した8台のうち、7台をトヨタエンジンが占めることとなった。
Q3(7分間)では、唯一のホンダ勢であるピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)がまずトップに立つと、ロッテラーがこれに迫るタイムを叩き出すが僅か100分の9秒及ばず。しかし、終盤にキャシディが1分4秒台に入れ、コースレコードを更新する驚速タイムをマーク。最後の最後に、関口も1分4秒台に入れたが、キャシディには100分の8秒届かず。今季スーパーフォーミュラにデビューしたルーキーのキャシディが自身初となるポールポジションを獲得することとなった。
惜しくもポールポジション獲得は逃した関口だが、こちらもコースレコード更新で最前列2番手グリッド。ロッテラーが4番手、小林が5番手、マーデンボローが6番手、中嶋一貴が7番手、石浦が8番手。Q3も進出ドライバー8台がコンマ5秒位内に入る僅差の予選となった。
決勝
24日(日)は朝から好天に恵まれ、やや暑さも感じるほど。午後2時10分、気温26度、日差しに照らされた路面温度は41度というコンディションで、68周で争われる決勝レースのスタートが切られた。
ポールポジションのキャシディがスタートを失敗。5位へと順位を落としてしまう波乱のスタートに。これで2番手グリッドの関口が首位に浮上すると、1周目から一気に後続を引き離しにかかり、2周目には2位との差は1.8秒に。その後方にはロッテラー、3ポジションアップの中嶋一貴、キャシディと続き、同じくスタートで出遅れた小林をかわしたマーデンボロー、好ダッシュを決めた国本と続いた。
3,4位につけるロッテラーと中嶋一貴は2位のガスリーを追走していたが、7周目にロッテラーが1コーナーでコースオフを喫し、中嶋一貴が3位へ。
9周目終了でマーデンボローが早くもピットイン。翌周にはロッテラーもピットに向かった。しかし、ロッテラーはここでピットロード速度違反を取られドライブスルーペナルティ。また、4位を走行していたキャシディも、スタート時の手順違反としてドライブスルーペナルティが科され、共に優勝争いからは脱落してしまった。
レースは前半ピットに入ったマーデンボローらと、上位を走り続け後半にピットインすると考えられる関口、中嶋一貴ら、そして、無給油作戦の可能性が出てきた小林、ローゼンクビストらという、3つの戦略に分かれ、それぞれが車両間のタイム差とラップタイムを計算しながら、見えない相手とのバトルを繰り広げることとなった。
ランキング首位につける石浦は、8番手スタートから14位へと大きく遅れたが、ファステストラップを更新しながらの猛追を続け、中盤には燃費走行を続ける小林、ローゼンクビストらもパス。
レースは首位の関口が42周終了時にピットへ向かい、他の上位勢は残り10周前後でピットへ。関口が首位に復帰、58周目にピットインした中嶋一貴は、ガスリーと小林の間でピットアウト。関口は3秒ほどの差で首位を逃げる一方、2位ガスリーの後にそれぞれ1秒ほどの差で中嶋一貴、小林、ローゼンクビスト、国本と続くこととなり、終盤に来て接近戦が再開されることとなった。
59周目にピットインした石浦は、8位でコースに復帰したが、猛烈なペースで追い上げ、65周目に7位へ。6位の国本も、燃費走行を続けるローゼンクビストを66周目にパスし5位へとポジションを上げた。
不可能だと思われていた無給油作戦。同じ作戦を採っていたライバル車が残り2周で燃料切れに見舞われる中、小林とローゼンクビストは最後まで走行。
関口はピット作業トラブルにより終盤燃料が厳しくなりペースを落としたが、トップを守りきってチェッカー。第2戦岡山大会に次ぐ今季2勝目、スポーツランドSUGOでは昨年に続く2年連続勝利を挙げた、中嶋一貴は3位フィニッシュ。優勝した開幕戦以来の表彰台を獲得した。
ファイナルラップ、4位を走行していた小林は燃料切れに見舞われスローダウン。何とかチェッカーまで走らせたが、国本、ローゼンクビスト、石浦の先行を許し7位フィニッシュ。
国本が4位、最後まで燃料を持たせ無給油作戦をやり遂げたローゼンクビストが5位、石浦は6位でチェッカーを受け、0.5ポイント差ながらランキング首位の座を守った。
ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 19号車 ドライバー 関口雄飛
スタートでトップに立つことが出来、ガスリー選手に並ばれたがなんとか抑え切れた。朝のフリー走行でクラッシュしてしまい、チームの懸命な修復のおかげでウォームアップは走ることが出来たが、その直後に直りきっていないところが発覚し、グリッド上で車を直してもらうという、結構ドタバタのスタートだった。
しかし、チームのみんなが100%の車に戻してくれて、決勝のセッティングも非常に決まっていて勝つことが出来た。ここのところ特に決勝のセットで弱いところがあったのだが、今日はばっちりで、本当にチームに勝たせてもらったレースだ。次戦最終戦は、ボーナスポイントもあり最低でもひとつは優勝しないとチャンピオンの権利はないと思う。去年はポイントリーダーで鈴鹿を迎えて逆転されてしまったので、今年は昨年のリベンジということで、しっかり準備して、優勝を目指す。
VANTELIN TEAM TOM’S 37号車 ドライバー 中嶋一貴
スタートが一番大きかった。一気に3つポジションを上げて、アンドレのミスで3位に上がった。その後はペース的には悪くなかったが、少しずつ関口選手とは離れていくような状況で、前のガスリー選手を追いかけるという展開だった。
途中で可夢偉選手が無給油作戦なのでもう少しプッシュしないと先行されると聞かされ、そこからは目の前のラップタイムとの勝負だったのだが、何とか前に出ることが出来た。今年は第2戦岡山以降レースペースで苦労してきて、レースペースも悪ければ戦略もかみ合わないというレースがずっと続いてきたが、前戦オートポリスからレースペースも良くなって、今回は戦略も上手く行った。
この調子で最終戦の鈴鹿ももう一度優勝出来るように頑張りたい。例年そうなのだが、(同じ鈴鹿開催の)開幕戦が良かったからといって最終戦も良いわけでは無いというのが難しいところだ。ただ、少なくとも開幕戦は良かったので、楽しみにしているし、正直失うものは無い状況なので、思い切ってやるだけだ。