トップへ

MotoGP:ヤマハ 2017年第14戦アラゴンGP レースレポート

2017年09月25日 16:12  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

MotoGP:ヤマハ 2017年第14戦アラゴンGP レースレポート
Rd.14 9月24日 アラゴン

RACE DATA
■大会名称:第14戦アラゴンGP
■開催日:2017年9月24日(日)決勝結果
■開催地:アラゴン/スペイン(5.077km)
■観客数:70,541人
■周回数:23週(116.771 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度■路面温度:40度
■PP:M・ビニャーレス(1分47秒635/ヤマハ)
■FL:D・ペドロサ(1分49秒140/ホンダ)

REPORT
M・ビニャーレスとV・ロッシがファイティング・スピリットを見せてそれぞれ4位と5位を獲得
 Movistar Yamaha MotoGPのM・ビニャーレスはレース終盤で徐々にペースを上げて4位を獲得。一方、怪我からわずか24日のV・ロッシは、正反対の作戦で序盤で上位に浮上。そのあと5位でチェッカーを受けた。

 ビニャーレスはスタートでやや遅れたが、素早く取り戻して2番手へ浮上。しかしそのあともしばらくグリップに苦しみ、その間にロッシ、A・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)、M・マルケス(ホンダ)に先行されてしまう。

 ターニングポイントになったのは3ラップ目。ようやくリズムをつかむと着実に前車との差を詰め始め、6ラップ目にはドビツィオーゾにプレッシャーをかけて5番手に浮上。さらにその前を行くロッシを追いかけた。

 ビニャーレスの走りは順調だったが、ロッシも簡単には4番手の座を渡さない。ファクトリー・ヤマハの2台による接近戦に、サーキットに詰めかけた大勢のファンの目が釘付けになった。そして残り3ラップ、ビニャーレスがついにロッシをパスして4番手へ浮上。さらに上を目指したいところだったが、このときすでに3番手との差が大きくなっていたため、そのまま4位でチェッカーを受けた。トップとの差は5.256秒。

 エンデューロ走行中の怪我後、初めてのレースに臨んだロッシを大勢のファンが見守るなかで、スタートはやや出遅れて3番手で第1コーナーへ。そして前方で奮闘するビニャーレスに一気に近づいて、これをパス。2ラップ目には真っ先に1分49秒334のベストタイムを記録し、勢いに乗ってトップとの差を縮めていった。

 ロッシは脚の痛みをものともせずに最大限のプッシュ。トップ4台がますます接近するなか2番手を走行するロッシは、後続のマルケスとドビツィオーゾを抑えながらトップのJ・ロレンソ(ドゥカティ)にプレッシャーをかけていった。

 残り11ラップあたりから疲れが見えたロッシは、わずかにペースを下げてマルケスとD・ペドロサ(ホンダ)に先行を許す。しかしそのあとは持ち前のファイティング・スピリットをふり絞ってチームメイトと激しい4位争いを展開し、トップから5.882秒差の5位でゴールした。

 この結果、シリーズポイントではビニャーレスが合計196ポイントでランキング3位をキープし、トップを28ポイント差で追う状況。ロッシは合計168ポイントまで伸ばしたものの、ランキングではひとつ下げて5位となった。コンストラクターズ・ランキングではトップから17ポイント差の2位。チーム・ランキングでは30ポイント差の2位となっている。
Yamaha Factory Racing Teamはこのあとアジアへ。3週間後、ヤマハの地元レースとなる日本GPをツインリンクもてぎで迎える。

COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
M・ビニャーレス選手談(4位)
「とくに序盤の数ラップでハード・タイヤがうまく働いてくれず遅れてしまいましたが、周回を重ねるにつれてどんどん良くなってきました。グリップ感だけではなくて、1ラップごとに全体的に走りやすくなっていったのです。でも結局、それではまだ足りませんでした」

「フォルガーはミディアム・タイヤを使用し、少しもグリップしなかったと言っているので、どのタイヤを選ぶかは非常に難しい判断だったのです。いつもならタイヤ・テストに多くの時間を割いているのでもう少し簡単なのですが、今回はそれがうまくいかず、私は結局、ライバルたちと同じものを使うことにしました」

「次回はウイーク初日の金曜日から、より一層ハードに仕事に取り組まなければならないと思っています。常にプッシュの手を緩めず、モチベーションを高く保つことが重要です。決して楽なことではありませんが、次回、日本GPではもっと強くなれるようベストを尽くします」

V・ロッシ選手談(5位)
「1週間前はレースに出場できるかどうかさえわからない状態だったので、今日の自分の走りには満足しています。昨日の予選でフロントロウを獲得しただけでも素晴らしいことで、とてもうれしく思いましたが、決勝では後半で苦しくなることが初めからわかっていました」

「そして実際、痛みに加えてタイヤの消耗が大きく影響するようになってしまったのです。でもレース日程は私の味方! このあとはまるまる2週間のインターバルがあるので、トレーニングを続けて怪我の状態を改善していくことができるでしょう」

「3週間後にはチームにとって非常に重要な日本GPを迎え、3連戦になります。脚への影響も大きくなるでしょうから、もてぎではまだ100%というわけにはいかないとしても、それに近いところまで回復し、そのあとにつなげないと思っています」

M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「タイヤチョイスに左右される結果となりました。今週はドライ・コンディションでタイヤスペックをテストする時間があまりなかったため、選択がとても難しくなってしまいました。ふたりとも耐久性を考えてリアにハード・タイヤを選び、レース中もできるだけスムースな走りを心がけて消耗を最小限に抑える努力をしていました」

「しかし、そう簡単にはいかず、やはりグリップが落ちてしまったのです。それに加えて、マーベリックは序盤でタイヤを暖めるのに苦労したようです。ようやく調子が上がって来たころには前との差が大きくなり過ぎていました。バレンティーノに関しては、そのファイトにチーム全員が魅せられていました」

「怪我から24日しかたっていないというのに、もう上位争いを展開しているのですから。本当に素晴らしい走り。私たちの想像をはるかに超えるものでした。次回、もてぎが非常に楽しみになりました。少し時間があるので、怪我も順調に回復するでしょう」

H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「厳しいウイークになってしまいましたが、Monster Yamaha Tech3 Teamはそのなかでも素晴らしい仕事をしてくれたと思っています。雨と霧と暑さに翻弄されながら、ヨハンはいつも通りの走りを見せました」

「初めてのコースと格闘しながらフリープラクティス第3セッションでは転倒もありましたが、第4セッションで本当によく頑張ってQ2進出を果たしました。結局、グリッドは理想とはほど遠いものでしたが、彼の強さをチーム全員が信じていたのです。スタートは慎重で、1ラップを終えた時点では11番手」

「そのあとはコンスタントにハイペースをキープし、少しずつ前に近づいていって9位を獲得しました。チームのみんなのハードワークに応える素晴らしい走りを見せ、トップ・ルーキー、トップ・サテライトの位置を確実にしています」

「ライバルたちがポイント圏外に留まったこともあって優位に立ち、前回ミサノの遅れを取り戻すことができました。彼は毎回、レベルの高さ、クオリティの高さ、決意の強さをアピールし続けています。パドック内随一とも言えるハードワーカーなのです」

「一方のジョナスは残念な結果になりました。マシンに好感触を得られないまま、フリープラクティス第3セッションの不可解な転倒で首を傷めてしまいました。具体的なダメージはありませんでしたが、完璧な状態でなかったことは間違いありません」

「グリッド位置も遠く、決勝序盤はいつものように自信を持って走ることができず、ペースも上がりませんでした。でも彼は確かに、ドイツGPでは表彰台に上り、ザクセンリンクとカタルニアではファステスト・ラップを記録したライダーです」

「今日もレース後半は少しずつ良くなってきましたが、本来の実力にはまだ届きませんでした。チームも私も彼のポテンシャルを信じているので、しばらく休めば何が足りなかったのかを理解してくれるでしょう。チームにはふたりのライダーが必要です」

「ジョナスはヨハンにチャレンジできるはずで、私たちとしては、それを期待しています。彼のチーム・クルーたちも、彼が自信とフィーリングを取り戻せるよういつも全力で支えています」