SUPER FORMULAレースレポート
2017 SUPER FORMULAシリーズ第6戦
ガスリー、2位入賞。最終戦でチャンピオンを目指す
シリーズ名:2017全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第6戦
大会名:2017年全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦スポーツランドSUGO
距離:3.704km×68周(251.872km)
予選:9月23日(土)雨のち曇り
観衆:8,700人(主催者発表)
決勝:9月24日(日)晴れ
観衆:14,000人(主催者発表)
2017年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第6戦が、宮城県スポーツランドSUGOで開催された。TEAM MUGENは、#16 山本尚貴、#15ピエール・ガスリーの2カー体制でこのレースへ参戦した。#15ガスリーがこのコースを走るのはこの週末が初めてである。
●9月23日(土)
■フリー走行
#15 ガスリー 9番手1分15秒329
#16 山本 14番手1分15秒683
#15ガスリーは、前日金曜日に行われた専有走行でスポーツランドSUGOのコースを初走行、21周を走り1分07秒838を記録して出走19台中13番手につけた。
#16山本は23周を走り1分07秒863を記録、出走19台中14番手につけた。土曜日午前9時、フリー走行セッションが始まった。夜半からの雨が残り、路面はウエットコンディションとなった。
競技委員会によってウエット宣言が出されるなか、競技車両は皆、レインタイヤを装着してコースインを開始した。雨は弱まって止みかかっており、競技車両が走行を始めると徐々にラインが乾き始め、それとともにラップタイムも向上していった。
しかしコース内には雨水が川になって横断する箇所があり、コースはなかなか乾ききらない。セッション開始後45分経って、ようやくレインタイヤをドライタイヤに交換して走るチームが現れ始めた。
#16山本、#15ガスリーはセッション残り12分となったところでピットへ戻り、ドライタイヤに交換してコースへ戻り、それぞれセッション中のベストタイムを記録して走行を終えた。
■公式予選
#16 山本 Q1:16位1分06秒342 Q2:出走せずQ3:出走せず
#15 ガスリーQ1:14位1分06秒074 Q2:6位1分05秒550 Q3:3位1分05秒080
午後1時15分、公式予選セッションが始まった。雨は上がり、雲は立ちこめているものの路面はドライコンディションとなった。#15ガスリー、#16山本とも、朝のフリー走行でスクラブ(皮むき)をしたニュータイヤを装着してコースイン、最初のタイムアタックを行った。
#15ガスリーは計測4周を走り1分07秒406、#16山本は計測6周を走って1分06秒898を記録、ピットに戻った。最初のタイムアタックを終えた2人は、前日のフリー走行とは異なる強いアンダーステア傾向を感じていた。
夜から朝にかけて降った雨が路面のラバーを洗い流して路面コンディションを換えてしまった可能性があった。2人はセッション残り7分を切ったところまでピットで待機、タイムアタックのためにコースインした。
この時点で#16山本は16番手、#15ガスリーは15番手。#15ガスリーは2回目のタイムアタックで1分06秒074を記録、14番手で最後尾ながらQ2進出を果たした。
#16山本は1分06秒342の16番手に終わり、そのままスターティンググリッドが決定した。チームは2人を苦しめたアンダーステアを解消するため、10分間のインターバルに急遽セッティング変更を施しQ2に備えた。
午後1時45分、7分間のQ2セッションが始まった。#15ガスリーは計測3周目に1分5秒550を記録、6番手でQ3に進出する8台に残った。
10分間のインターバルを置いて午後2時02分、8台で上位グリッドを争う7分間のQ3セッションが始まった。#15ガスリーは3周目、1分05秒080を記録しトップに立った。その後このタイムを上回る選手が2人現れたため、#15ガスリーのスターティンググリッドは3番手と決定した。#16山本のスターティンググリッドは16番手となった。
●9月24日(日)
■フリー走行
#15 ガスリー 10番手1分08秒071
#16 山本 9番手1分08秒067
日曜朝午前9時から30分間のフリー走行が行われた。天候は薄い雲がかかりながら青空が見える晴れとなり、コースはドライコンディションである。
赤旗によるセッション中断を挟み、チームと2人のドライバーは決勝に向け、燃料とガソリンの状態について最終チェックを行った。#15ガスリーは1分08秒071、#16山本は1分08秒067を記録してそれぞれ10番手、9番手でセッションを終えた。
■決勝
#15ガスリー 2位(68周1時間19分00秒682ベストラップ1分08秒304)
#16山本 18位(66周1時間16分59秒968ベストラップ1分08秒556)
朝はまだ残っていた雲が切れ、広がった青空の下で決勝レース前のウォームアップが行われた。ガスリーは1回ピットストップをして最終的な調整を行い、5周を走って1分09秒139を記録、7番手につけた。
#16山本はピットに入らずマシンの調子を確かめながら6周を走り1分09秒485を記録11番手につけた。この時点で、#15ガスリーはスタートで上位を守った場合そのまま引っ張ってタイヤ交換はせず給油のみ行い、#16山本は無給油作戦でピットインせずに走りきる作戦が決まっていた。
午後2時13分、決勝レースのスタート合図が下った。その瞬間、#15ガスリーの前に並んでいたポールポジションの選手がスタート加速に失敗したので#15ガスリーはその内側に進路を変更してすり抜け、2番手へ進出してレースを始めた。
後方からスタートした#16山本もひとつポジションを上げ15番手でレースを始めた。#15ガスリーは先頭を走る選手に引き離されまいと2秒弱の間隔で追いかける。
しかし20周を前に間隔は開きだし、20周目には3秒239、30周目に6秒613へと拡大した。一方#16山本は後方で無給油作戦に沿った確実なラップタイムで周回を重ね10周目には13番手、11周目には12番手、18周目には11番手、19周目には10番手と着実に順位を上げていった。
68周のレースは折り返し点を過ぎ、いよいよ作戦が勝敗を分ける節目を迎える。#15ガスリーは先頭の選手の出方を見ながら2番手を走っていたが42周目、先頭の選手が#15ガスリーに対し約6秒の差を保ったままピットイン、コースへ復帰した。
この結果、#15ガスリーは見かけ上のトップに立った。チームはこの間に先頭の選手との実質的な感覚を縮めて追いつこうと#15ガスリーにプッシュを指示した。#15ガスリーの後方にもピットインを遅らせて動向を見ている選手が続いていた。
その差は2秒弱。その数台後方には無給油作戦で徐々に順位を上げてきた選手もいた。チームは、#15ガスリーがピットインした際に順位を入れ替えるいわゆるアンダーカットをされるのではないかと、この無給油作戦の選手を警戒していた。
見かけ上のトップを走った#15ガスリーは57周を走ってピットイン、チームは素早く給油を行って#15ガスリーをコースへ送り返した。#15ガスリーはトップの選手には追いつかなかったものの、アンダーカットは防ぎ、次の周に給油ピット作業をした3番手の選手にも順位を入れ替えられることなく2番手を守った。
レース終盤、トップを走る選手のペースが落ち、#15ガスリーは追い上げてその間隔を急激に縮めていった。60周目には3秒178だった間隔は65周目には1秒を切った。
しかし最後にトップの選手もペースアップ、結局#15ガスリーは届かず2位のチェッカーフラッグを受けた。後方で無給油作戦のまま走り続けた#16山本は、好ラップタイムを記録しながら順位を上げ57周目には9番手、60周目にはポイント圏内である8番手へ進出、さらに順位を上げようとした。
ところがフィニッシュまで目前となったところでガス欠症状が出始めペースダウン、最終的には67周目の最終コーナー手間で走行不能となりマシンをコース脇に止めてレースを終えた。
#15ガスリーは3戦連続で表彰台に上がり、ドライバーポイント8点を加算して通算33点とし、首位に0.5点差へ肉薄するポイントランキング2番手につけ、鈴鹿サーキットで開催されるシリーズ最終戦を迎えることになった。
無得点の#16山本は通算10.5点でランキング9番手を守った。またTEAM MUGENも8点のチームポイントを獲得しトップと4点差のランキング2番手を守った。
■山本尚貴選手コメント
「チームメイトが今回も2位という結果を出しているのに、僕はポイントも取れず、とても悔しい思いをしています。金曜日にはユーズドタイヤを使って走ってそれなりの感触を得て、これなら行けると思っていたんですが、土曜日のフリー走行がウエット路面で始まったこともあって、ラバーが全部流れて、感触が変わってしまいました」
「公式予選ではアンダーステアが強いうえに、ところによってはオーバーステアが出るという状況で、なんとか対応しようとしたんですがQ2に行けませんでした。スターティンググリッドが後ろの方になってしまったので決勝では無給油作戦でチャレンジすることにしました」
「レース中は良いタイムで走れたので結果こそ残せませんでしたが自分としては大きな手応えを感じました。残り4周くらいの段階でエンジンの力がなくなってきて、最終的に最終コーナーを上れなくなってしまい、クルマを止めました。決勝中のラップタイムには手応えはありましたが、レースは結果がすべて。最終戦の鈴鹿で結果を出せるよう頑張ります。」
■ピエール・ガスリー選手コメント
「今回もまたチームとともにすばらしいレースができました。今日のレースでは予選と同じくらい、スタートが重要だと思っていたので、それを心がけていました」
「そして2番手でレースを始められました。序盤10周くらいまでは問題なく走っていたのですが、その後はタイヤのグリップが不十分になって、苦しい状況になりました」
「中盤以降はグリップが回復しクルマもより良くなったので改めてプッシュし、徐々にトップとの差を縮めていけました。ピットストップ後は2秒以上のギャップが必要だとチームに言われ、オーバーテイクボタンを使いました」
「その結果、レース中にオーバーテイクボタンを使い切ってしまったので、勝利まであと一歩のところだった最終ラップには使えず、『ここでオーバーテイクボタンを使えたら』と残念でした」
「でも、すごくいい戦いができたし、3戦連続で表彰台に上がることができたのでとてもうれしいです。レース戦略はうまくいき、ピットストップ作業も速くて、チームは素晴らしい仕事をしてくれました。こんな素晴らしいクルマを用意してくれたチームとホンダにとても感謝しています。トップと0.5ポイント差で臨む最終戦では、今年の目標であるタイトル獲得を目指します」
■手塚長孝監督コメント
「金曜日の走り初め、手持ちの中古タイヤの状態から15、16号車ともに手応えを感じました。土曜日の朝、ドライタイヤの確認走行ができなかったことはチームにとって負担要因になったと考えます」
「予選のQ1では、2人とも強いアンダーステアに苦しみ、山本選手はQ1敗退、ガスリー選手はQ2に進出したものの、ギリギリの結果でのQ1通過でした。Q2以降のガスリー選手は、自身での走り方の工夫と、星チーフエンジニアのマジックセッティングのおかげで予選3位まで順位を伸ばしました」
「驚きと同時に、本当に嬉しかったです。決勝ではガスリー選手は巧みに2番手まで上がってくれたので、無給油作戦車両の動向を伺いながら、オーバー・アンダーカットされないようプッシュさせました」
「ピットアウト後は2位を死守しましたが、#19に脅かされる場面もありましたね。ガスリー選手は中盤戦から上り調子で、チームにとって、とても良い仕事をしてくれ、強さと速さを伴った心に残るレースを見せてくれました」
「最終戦もこれまで同様、決めてくれるでしょう。山本選手は、後方グリッドからのスタートだったので他車とは違った作戦を選択しました。燃費走行をどこまで継続できるのか、本人も積極的にチャレンジしてくれました。セッティングが良かっただけに、予選順位が悔やまれました」
「結果として、レースの終盤直前に燃料を使い果たしてしまいました。燃料を補給する選択肢もありましたが、ピットに入ったところで14位、ないし15位まで落ちてしまうので、山本選手の意向も斟酌し、無給油で走りきり、ポイントを得る戦略をチョイスしました」
「しかしながら、最終的にはコース上でレースを終えることとなりました。反省する次第です。最終戦は、全身全霊を傾けレースに挑み、表彰台を狙いたいです。チームの皆も良い仕事をしており、残すは最終戦で最高の結果を見せるのみです。応援してくださっているスポンサーの皆様、関係協力会社様、そして、ファンの皆様に、最高に喜んで頂けるレースをお見せすべく努力致します」
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