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インタープロト:MZRacing 2017第3戦/第4戦 レースレポート

2017年09月25日 15:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

55号車人馬一体ドライビングアカデミー
2017年9月21日
MZRacing レースレポート
「人馬一体」チームの山下健太がIPSプロクラスで劇的な優勝

 2017年インタープロトシリーズ(IPS)は、約4カ月のインターバルを挟み9月16~17日に今シーズンの第2ラウンドを迎え、今ノリに乗っている男、「人馬一体ドライビングアカデミー」チームの山下健太が劇的な優勝を飾りました。

 昨年に引き続き、マツダの社内テストドライバーでは最高ランクに属するトップガンの佐藤政宏さんをジェントルマンクラスに起用した55号車「人馬一体ドライビングアカデミー&KTR」もIPSにエントリー。
 
 すでにご紹介した通り、今年のパートナーとなるプロドライバーは期待の若手、スーパーGTやスーパーフォーミュラでも活躍する山下健太です。

 この週末の富士スピードウェイは日本列島に4度も上陸した台風18号の影響で、あいにくの雨模様。路面は終始ウエットでした。
 
 16日の朝から行われた公式予選で、ジェントルマンクラスの佐藤さんは確実な走りで周回を重ね、2分03秒702でクラス2番手につけます。引き続いて行われたプロクラスの予選では、雨足が少し弱まったこともあって上位陣は1分台に突入。
 
 山下さんも1分58秒476まで刻みますが、アタックのタイミングを少しミスし、クラス5位という悔しい結果に終わりました。

 16日の土曜日、決勝レースは13時40分からのジェントルマンの第3戦のみです。15周または35分以内という規定ですが、ウエットコンディションのためにSC(セーフティカー)が4周にわたって先導してからレースが始まりました。
 
 シグナルがグリーンに変わり、1コーナーに向かっていく55号車の加速は今ひとつ。4番グリッドからダッシュしてきた32号車にあっさりかわされ、さらにオープニングラップでもう1台に抜かれて4番手で2周目に入ります。
 
 先頭の1台以外は水しぶきで視界がほとんどないなか、1コーナー手前で佐藤さんは先行車のブレーキランプが突然光ったように見えたそうです。
 
 思わずブレーキペダルを少し強く踏んでしまったその瞬間、マシンはぐるりと半回転。超高速のバックのまま、1コーナー奥のランオフエリアまで突っ走って止まります。
 
 再スタートに少し手間取った佐藤さんは大きくポジションをダウン。規定の15周を走りきって総合7位まで挽回しますが、ジェントルマンクラスの中では上級者という位置付けのエキスパート部門では最下位の6位という悔しい結果になりました。

 翌17日も空模様は回復せず、9時09分からジェントルマンの第4戦決勝がやはりSC先導で始まりました。今回は10周または25分という規定です。
 
 佐藤さんは第3戦の順位通りの7番グリッドからのスタート。3周を終えてSCがピットインし、残り7周でのレースとなりました。この日の佐藤さんは堅実な走りを見せました。
 
 事実上のオープニングラップで1台をかわし、スピンした先行車も抜き去ってクラス5位に浮上。さらに4位のライバルを0.186秒差まで追い詰めたところで、チェッカーフラッグを受けました。

さて、13時24分からのプロクラス第3戦の決勝は、8周または15分という超スプリントレースです。予選5番手だった山下さんはこのレースで3位以内に入り、その直後に10周または20分で争う第4戦で優勝を狙う、という戦略を立てていました。

 とはいえ、このクラスに出場しているのは日本のトッププロばかり。なかなか、思い通りにはいきません。それでも第3戦の終盤に山下さんは3位まで順位を上げて、いよいよ勝負の第4戦を迎えます。
 
 プロクラスは第3戦も第4戦も、通常のローリングスタートでした。13時49分、シグナルがグリーンに変わった時点で、山下さんはポールの19号車(関口雄飛)と2番グリッドの3号車(石浦宏明)の間を狙う素振りを見せます。
 
 ならばと19号車がアウト側に寄せてスペースを埋めようとした時、一気にイン側からソウルレッドの55号車が加速してトップに躍り出ます。

 降りしきる雨でプロといえども視界不良に苦しむ中、先頭の55号車だけは先行車の水しぶきがないので圧倒的に有利です。しかも後方では19号車と7号車(坪井翔)が抜きつ抜かれつのバトルになってしまい、ペースが上がりません。
 
 山下さんは3周目には早くも5.7秒のアドバンテージを築き、中盤からは十分すぎるリードをコントロールしながら先頭でゴールします。
 
 山下さんは、「このチームでの初優勝を達成できて嬉しいです。先頭に立ってからは、かなり余裕を持って走ることができました。残り2戦で佐藤さんにも同じところに立ってもらえるように頑張ります」とコメントしました。
 
 一方で佐藤さんは、「悔しいです。でも今日の山下さんには、涙が出るほどの感動と教訓をもらいました。スタートを含めて、もう一段ギアを上げて次に臨みます」とリベンジを誓いました。

 富士スピードウェイを舞台に年間4ラウンドで行われる2017年のインタープロトシリーズ。次の戦いはその第3ラウンドで、10月28日から29日にかけての週末に開催される第5戦と第6戦となります。

インタープロトシリーズ:http://www.interproto.jp