マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はF1第14戦シンガポールGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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マクラーレン・ホンダが第11戦ハンガリーGP以来3戦ぶりにポイントを獲得した。
スタート直後の多重クラッシュにフェルナンド・アロンソも巻き込まれて、ダブル入賞はならなかったが、チームメイトのストフェル・バンドーンが自己最高位となる7位を獲得。ウエットからドライになった市街地での難しいレースでしっかりと結果を残したことは、今後に大きな自信となったことだろう。
アロンソはスタートが良すぎたことが結果的に裏目に出た。8番手からスタートして1コーナーで4番手までポジションを上げていただけに、フェラーリとレッドブルによる事故に巻き込まれていなければ、アロンソの後方にいたカルロス・サインツJr.が4位となったことを考えれば、十分にそのポジションでフィニッシュできたいたはず。
バンドーンもピットストップで左フロントタイヤの交換に手間取っていなければ、ジョリオン・パーマーの前をキープできていたはず。そうなっていれば、4位&7位のダブル入賞を飾り、コンストラクターズ選手権で5ー8位集団に急接近できていただけに悔やまれる。
今シーズン、最も好成績が期待できたシンガポールGPで期待していた結果は残せなかったが、このシンガポールGPはマクラーレン・ホンダにとって、別の意味で大きな収穫があった。それは3年間続けてきたパートナーシップを今シーズン限りで終了し、2018年はマクラーレンがルノーと、ホンダはトロロッソと組んで再出発を切るという発表を行なったことだ。
「(契約に関する)ゴタゴタが片付いて、(気分的に)ひと段落し、今週末は現場に集中できました」と言う長谷川祐介ホンダF1総責任者。
もちろん「マクラーレンと最後まで一緒に仕事をできなかったことは残念でならない」(長谷川総責任者)という気持ちが、ホンダのスタッフはしばらく引きずることになるだろう。だが、今シーズンのマクラーレンとホンダの関係はウインターテストから亀裂が入り、日を追うごとに悪化し、それが両者にとって大きなストレスを生んでいたことも事実。
その政治的なもめ事が片付いたシンガポールGPでは、ドライバーからも、マクラーレンからもホンダ批判は聞かれなかった。マクラーレンもホンダも、過去を振り返るより、来年に向けて新しいチャレンジが始まるというポジティブな気持ちになっていたのだろう。
長谷川総責任者も、今年いかに難しい状況の中で戦っていたのかを吐露した。
「一番、気を遣ったのはフェルナンドに精神的にいい状態でレースに臨んでもらうことでした。例えば、(フリー走行で)エンジンに問題があった場合、その説明をしに行けば、フェルナンドだって当然、不満を爆発させる。だから、できるだけ予選やレーススタートの直前にはそういう機会を設けず、タイミングを見計らって会うようにしていました」
これからはそこまで気を遣う必要はなくなるだろう。失うものはもうない。残り6戦は、本来あるべき姿のマクラーレン・ホンダが見られるかもしれない。
辛口コラムはF1速報WEBで掲載中
マクラーレン・ホンダ辛口コラム シンガポール編:ホンダと別れたマクラーレンが2018年に直視せざるを得ない現実