食べる派と食べない派で意見が分かれるお刺身の「ツマ」。「ツマ」とは「ケン(大根の細切り)」、「ツマ(ワカメやたでなどの海藻や野菜類)」、「カラミ(ワサビや生姜など香りもの)」の3つの総称で、お刺身には必ずといっていいほど添えられている。
この「ツマ」について取り上げていたのは9月19日の「ちちんぷいぷい」(毎日放送)。"ツマは食べる派"の山本浩之アナウンサーが、いつも通り普通に食べていると、家族から「なんで食べるの?」と真顔で問われたという。家族からすれば、ツマは食べるものではないと認識なのだろう。食べない派の人の中には「ツマまで食べるなんて貧乏症」だと感じている人もいるようだ。(文:みゆくらけん)
「残ったツマを味噌汁に入れる」という人も
そこで番組では、食べる派と食べない派の意見を調査。北海道・大阪・鹿児島で行った街頭インタビューでは、73%の人(90人中58人)が「食べる」と回答。理由としては、
「もったいないのもあるけど、栄養があるから」
「さっぱりしてお口直しになる」
「なくてはならない相棒」
などというものの他、スタジオ出演者からの「食べる意味があって添えられていると思うから」という声もあった。食べ方については「刺身と交互に食べる」「シソで野菜や刺身を巻いて食べる」「残ったツマを味噌汁に入れる」「サラダに乗せて割り増しする」など各自こだわりがあるようだ。
一方、食べない派の声は以下。
「ツマって飾りですよね?」「食べ物じゃない」
「魚の汁みたいなのが付いているから苦手」
「完全に飾り」という認識の人が意外にも多い印象だが、ちょっとそれは軽く見過ぎてツマに失礼ではないかと思う。確かにツマはお刺身を美しく見せる役割をじゅうぶんに担っているが、ただの引き立て役ではない。生臭さを消す作用などがあり、食べる人のことをちゃんと考えて添えられているものなのだ。たとえ主役になれなくても、なくてはならぬ名脇役として認めてあげたい。番組が紹介したマナーのプロもこう伝える。「ツマは全部食べた方がいいんです。作った人への敬意の表れにもなります」。
たかが刺身のツマではあるが「食事の価値観は結構大切」
ただ、出れば100%食べるかと問われれば、筆者的には「モノによる」としか言いようがない。きちんとツマにまで気を払い、丁寧に作られているものは美味しくいただけるが、たまに遭遇する「とりあえず飾りも添えとけ」みたいなツマ。ヘナヘナの野菜、血で赤くなった生臭い大根は無理だ。食べられるツマかどうかは、提供する側が「食べ物」として扱っているかどうかにかかっている。
ちなみに、2ちゃんねるに「刺身のツマを残したら彼女に怒られてケンカになったんだけど」というスレッドがあり、投稿者は「もったいないとか言われたけどただの貧乏性じゃねーか」と反発している。これに対し反応したコメントの中に、
「食事の価値観は結構大切だと思うよ。君が彼女に合わせられない、逆に彼女が君に合わせられないなら、最終的には悲しい結果になると思うが」
というものがあったが、食事に対する価値観は本当に大切。これは的を射ているように思う。