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相次ぐスタート失敗&燃費走行の乱ペースの中、関口が我慢の優勝/スーパーフォーミュラSUGO

2017年09月24日 19:12  AUTOSPORT web

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スーパーフォーミュラ第6戦SUGOを制した関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦SUGOの決勝レースが行われ、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が今季2勝目となる優勝を果たした。

 天候は昨日の厚い曇り空からうってかって残暑の残る日差しの強い晴れ模様に。気温は26度、路面温度は41度と昨日とはまったく別のコンディションに変貌していた。

 シリーズは今回のSUGO大会を含め残り2大会。最終戦の鈴鹿は2レース制のため、250kmレースとしては今年最後のレースとなる。タイヤはミディアムの1スペック制、レース中のタイヤ交換義務はないが無給油で走り切るにはわずかに燃料が足りない距離と言われており、タイヤは無交換、短時間の給油のみの作戦を採るチームがほとんどになると予想されていた。

 いつもと同じように8分間のウォームアップ走行ののち、各車グリッドへ。グリッドウォーク中、2番手の関口のグリッド上ではメカニックがノーズを外し、左フロントのサスペンションアームを外して修復するという緊急事態が起きていた。関口は午前のフリー走行時、ヘアピンコーナーでクラッシュし、フロントを破損していたが、その影響が直前になって見つかったという。

 また、大嶋和也もピットロード出口閉鎖時にグリッドに着かず最後尾からのスタートに。ただ、これはトラブルというよりグリッドに付くまでのガソリンの消費を抑える、無給油作戦の布石と推測された。

 関口のマシンの修復作業はグリッドウォーク退出前にはなんとか終了し、レースには間に合い、14時10分フォーメーションラップがスタート。そして赤ライト点灯~ブラックアウトで68周のレースが始まった。

 前日の予選でコースレコードを更新する驚速タイムでポールポジションを獲得したニック・キャシディ(KONDO RACING)だが、スタートでは大きく出遅れ5番手まで落ちてしまう。

 その隙を突いた関口がきれいにスタートを決め、先頭を奪う。3番手スタートのピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)も目の前の出遅れたキャシディのマシンをイン側からうまくかわして2番手の位置を獲得した。このほかには5番手スタートの小林可夢偉(KCMG)がスタートを失敗して10番手まで、8番手スタートの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)も大きく順位を落としオープニングラップで12番手、そこさらに翌周、またひとつポジションを落とし13番手の位置まで沈んでいる。

 関口、ガスリー、アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)、中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、キャシディの順位で上位の隊列が整い、まずは誰が最初にピットに動くのか見守る展開へ。

 最初に動いたのは10番手スタートの中嶋大祐(TCS NAKAJIMA RACING)の8周目。翌周にはヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と塚越広大(REAL RACING)がピットイン。それぞれ完走するには足りない分の燃料を補いコースへと復帰していった。

 上位陣で最初に動いたのはロッテラー。8周目に1コーナーの出口で膨らんでしまい、その隙をチームメイトの一貴に突かれて3番手から4番手にひとつ順位を下げていたが、10周完了の時点でピットへ。タイヤ交換なしで給油を終えて16番手でコース復帰し、クリアラップでペースを上げていく。

 この合間に、キャシディにドライブスルーペナルティが課される。スタート手順違反があったとのことで自身初優勝は遠のいてしまった。

 13周完了時まで、トップの関口と2番手のピエール・ガスリーのは約2秒の差を保ちながら周回を重ねていたが。 14周目、関口雄飛がややペースを上げ、その時点の全体ベストタイムの1分8秒058を出し、2番手との差も2.86秒、翌周には3.31秒と差を広げていく。

 20周完了時にはキャシディに引き続きロッテラーにもドライブスルーペナルティが掲示される。こちらはピットレーン速度違反によるペナルティで、ロッテラーは最後尾から2番目の位置へ。この後退でロッテラーは今レースの優勝戦線だけではなくチャンピオンシリーズ争いからも大きく脱落してしまった。

 28周目には関口とガスリーの差は6秒まで広がっていた。その後も関口は1分8秒台を出し、独走状態へ。そんななか、スタートで大きく順位を落としていた石浦がノーピット戦略と見られるふたり、24周目にフェリックス・ローゼンクビスト(SUNOCO TEAM LEMANS)、29周目には可夢偉をパス。クリアラップを確保し、徐々にペースも上げていく。31周目にはその時点の全体ベストタイムも更新し、シリーズランキング首位の石浦の追い上げにも注目が集まり始める。

 レース半分が経過した34周目、関口とガスリーの差は7.1秒。上位の順位は関口、ガスリー、一貴、国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、石浦、可夢偉の順。燃料も軽くなり各自ベストタイムを更新していくが順位は膠着状態に。

 そんな中42周目、関口の前方には周回遅れのマシンも現れ始める。この渋滞を避けるように関口がピットへと動いた。給油のみのピットストップを難なく決め、可夢偉の前の6番手の位置でコースへと復帰。

 そしてトップとなったガスリーは目の前がクリアになったことでペースを上げはじめる。見た目上の順位はガスリー、一貴、国本に。しかし、ピットアウト後、関口ものノーピット戦略の可夢偉の前でコースに戻り、しかも前方がクリアなポジションで戻れたため、関口速いペースでラップタイムを重ね、1分8秒中盤のタイムで見た目上のトップのガスリーとの差を広げていく。

 その後、ピットへと続くマシンはなく再び膠着状態に。関口の2つ後ろのポジションにはノーピット作戦と見られるローゼンクビストの姿も見え、何台のマシンがノーピットで走行できるのか、順位に動きはないものの目が離せない展開へ。

 2番手のガスリーが動いたのは58周目。関口と同様、周回遅れのマシンに引っ掛かり始めピットへと入った。ガスリーは可夢偉の前、関口の約4秒後方という位置でコースへ復帰。それに合わせて翌周、一貴、国本がピットへ動いた。一貴も可夢偉の前へ戻り3番手で復帰。

 そのあと、石浦が全体ベストタイムを更新し、そのあともセクターベストタイムを刻みながらピットへと入った。石浦は山本尚貴(TEAM MUGEN)の後ろで戻り、隊列は関口、ガスリー、一貴、可夢偉、ローゼンクビスト、国本、山本、石浦の順に。この中でまだピットへと入っていないのは可夢偉とローゼンクビストそして山本の3台に。

 残り6周となった62周完了時点で関口とガスリーの差は2.2秒。64周目、石浦が山本をパス。ノーピット作戦の山本はペースが厳しい様子で、石浦にすんなりと前の位置を明け渡す。66周目にはローゼンクビストもペースを保てず厳しい状況に。

 トップ争いは関口の燃費が厳しかったようで、関口はペースをコントロールしながら終盤を走行。最後は2番手ガスリーとの差が0.5秒差と僅差になるが、
関口は燃費をコントロールしつつ、最終コーナーからスリップに入ったガスリーを抑えながらトップチェッカーを受けた。

 朝のフリー走行でのクラッシュし、ロングランのデータが収集できず、さらにグリッド上で修復作業、そして終盤の燃費走行……このSUGOの週末は幾度にもヒヤリとさせながらも、関口は我慢の走行で自らを抑えてペースをコントロールし、得意とするSUGOで今季2勝目となる勝利を飾ることになった。

 無給油ノーピット作戦組は最終ラップ、ピットが給油リグ準備をしているという情報が実況から上がる中、可夢偉は一旦スローダウンするものの、速度が回復して7位フィニッシュ。ローゼンクビストも台風の目になるには足らなかったがしっかりと作戦を成功させ5位、山本は残念ながら燃料が足りず終盤にストップ。チェッカーを受けることなくレースは終了となっている。

 関口は第2戦岡山大会レース2以来の2勝目となりランキング4位に浮上。ランキング首位は今レース6位フィニッシュの石浦が首位を守るも、このレース2位のガスリーがランキングでも石浦を0.5ポイント差で追う2位に迫り、最終戦鈴鹿を迎えることになった。