スーパーフォーミュラ第6戦SUGO、F1ストーブリーグにおける動向も含めて最注目の存在となっている2連勝中のピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)は、予選でホンダ勢唯一となるQ3進出を果たし、3連勝を目指す決勝に向けて予選自己最高の3位を獲得した。
SUGOでの初レースウイーク、ガスリーはコースの印象を「もちろんシミュレーターで経験はしてきたけど、走ってみてわずかなミスさえ許されないコースだと感じた」と語る。
短いコース全長のなかにタイトロープ的なスリリングコーナーが続く日本屈指の難コースの特性を、彼はいち早く見抜いたようである。まずは流石というところだろう。
これでガスリーは今季のスーパーフォーミュラ開催6コースすべてで予選まで経験したことになるが、「なかでも好きなコースは?」と問うと、「鈴鹿とオートポリスだね」との答えが返ってきた。理由は、やはりというべきだろう、「ハイスピードコーナリングのセクションがたくさんあるからさ。ここ(SUGO)の最終セクションも好きだよ」。速いドライバー特有のスピード次元の持ち主であることは間違いないようだ。
ガスリーは現在2連勝中。フォーミュラ・ニッポン~スーパーフォーミュラでは2012年以降、3連勝した選手はいない(手元集計)。偉業に挑むレースで、これまで課題ともいえた予選で自己最高位を獲得、しかも今回はホンダ勢が最近にない苦戦傾向にあるなかを唯一Q3に残って、しかも3位という上位をせしめる勝負強さを発揮した。
チーム無限の藤井一三チームオブザーバーも「Q3のアタックは素晴らしかった」と称える。ガスリー自身も「予選でニュータイヤでのマシンのインプルーブがうまくいったことに満足している」との旨を語り、予選に関しても何かをつかんだ節を感じさせている。
藤井オブザーバーによれば、ガスリーのQ3アタックには彼らしい“洗練された野生”の部分も発揮されていた模様。Q2までは計測4周目のアタックを本線としていたガスリーだが、Q3においてはコース上の判断で「計測3周目にいったみたいなんだよ」。ドライタイヤ2スペック制だった前戦、決勝のダミーグリッド上で予選トップ10中唯一のソフト選択に変更した時もそうだったが、ガスリーにはこういう嗅覚、勝負勘のようなものが備わっているのだ。
藤井オブザーバーも「彼のああいう感覚は素晴らしいよね」と語り、今回のQ3での判断について「おそらく走ってみて、(計測3周目に)いけると感じたからいったんだと思う。もちろんQ1とQ2が終わった時に、『誰が何周目にアタックしていた』という情報は与えているけどね。動物的な勘なんだろう」と話す。短い時間で情報を精査して、それをもとに動物的な判断を下す、そんな回路が21歳の頭脳には敷かれているのか。
ガスリーは決勝に向けて、「朝の走行が大切だと思うし、スタートで抜かれないようにしないとね。オートポリスのようにできれば理想的だけど」と語る。5.5ポイント先行するシリーズリーダーの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が予選8位のため、展開次第ではガスリーが点差を詰める、あるいは逆転首位に立っての最終戦鈴鹿という可能性も出てきた。SUGO戦決勝はますます目の離せない状況となってきている。