ベルギーのゾルダーを舞台に開催されたFIA ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの第7戦は、チーム・タンクプール24レーシング/メルセデス・ベンツ・トラックスが躍進。オープニングをエースのノルベルト・キスが制すと、ラウンド2、ラウンド4では若きドイツ人、アンドレ・クルシムが勝利を挙げる大活躍を見せ、チームは週末3勝を飾った。
土曜最初の予選でポールポジションを獲得したのはポイントリーダーをひた走るアダム・ラッコ(フレートライナー/バギラ・インターナショナル・レーシング・システム)だったが、オープニングとなるレース1のスタートでホールショットを奪うものの、3周目に突入したところでギヤボックスに不調が生じストップ。
その背後でバトルを演じていた王者ヨッヘン・ハーン(イベコ)と、フロントロウにつけていたメルセデスのキスだが、スタートダッシュで一旦はハーンに先行されるものの、ターン2でインサイドに飛び込んだキスがすぐさまポジションを挽回していく。
ラッコが去った後のレースでは首位を守りきり12周のレースをトップチェッカー。2位に王者ハーン、3位には今季3度目の表彰台となるサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ/MAN)が入った。
続く土曜午後のレース2は、リバースポールとなったゲルト・コーバー(シュヴァーベントラック/イベコ)に対し、背後に並んだふたりの若手ドライバーがオープニングラップから猛然とプッシュ。
長年ETRCにレギュラー参戦するエドゥアルド・ロドリゲスを祖父に持ち、このレースがデビュー戦となったホセ・ロドリゲス(レボコノート・トラックス/MAN)と、キスのチームメイトでもある25歳のドイツ人、3番グリッドスタートのクルシムのメルセデスが早々にポールシッターを仕留めると、その後ずるずると後退していったロドリゲスを尻目にクルシムは堅実なドライビングを披露する。
レースは一時、5番手スタートのアントニオ・アルバセテ(トラックスポーツ・ルッツ・ベルナウ/MAN)が首位に立ち、終盤までレースをリードするものの、クルシムの背後3番手に浮上してきたキスと編隊走行で迫ったチーム・タンクプール24レーシングの2台がターン2、ターン3で続けざまにアルバセテをオーバーテイク。
オープニングウイナー、キスを従えワン・ツー体制でフィニッシュラインをくぐったクルシムが、自身にとって初となるETRC勝利を飾った。
明けた日曜朝の予選は、選手権首位のラッコが圧巻のタイムで週末2度目のポールポジションを獲得すると、そのまま午前のレース3も制圧。
続くレース4はふたたびリバースグリッドでの勝負となるなか、前日のレース2を思わせる走りでクルシムが躍進。レース3で8位となりリバースポールを獲得していたクルシムは、フロントロウに並ぶバギラ・インターナショナル・レーシング・システム、デビッド・べルシュキー(フレートライナー)とのスタート勝負に競り勝ちトップで1コーナーへ。
しかし、べルシュキーのタスクは別のポイントにあり、3番手を走るクルシムのチームメイトで、この週末好調を維持するキスを徹底的に封じ込めるドライビングを見せる。これにより同じフレートライナーのエース、ラッコのポイントリードをアシストしようとの作戦に出た。
序盤からレインシャワーとなり、難しさを増した路面コンディションのなか3番手のキスは前を行くフレートライナーに再三のプレッシャーを掛け、コース全域でテール・トゥ・ノーズとなるも、べルシュキーは仕事を完遂。
この展開で楽になった先頭のクルシムは、そのまま12周をノーミスで走破し週末2度目のトップチェッカー。2位にべルシュキー、3位にキスの表彰台となり、その背後4位に選手権リーダーのラッコが入賞。これでポイントリードを53に拡大することに成功した。
2017年シーズンも残るラウンドは2戦。第8戦となるのはフランスはル・マン、ブガッティ・サーキット。連戦となるこの週末9月23~24日に行われる。