プレマ・セオドール ADAC F4 チームタイトル二連覇達成!
2017年9月15~17日
ドイツ/ザクセンリンク
アップダウンの激しいドイツ ザクセンリンク。残りも2イベント/6レースとなったADAC F4はドライバーズタイトルで#44 ユーリ・ビップスがポイントリーダー、FDAドライバーの#9 マーカス・アームストロングは2位という好位置に着け、チームタイトルはこのレースの結果次第で確定という状況でこのレースに臨んだ。
フリープラクティスではマーカスが好調で、ユーリはやや精彩に掛けているが、トップ10以内でまとめている。レースフォーマットは一回の予選のベストがレース1、セカンドベストがレース2のグリッドを決め、レース3はレース1のトップ10のリバースグリッドとなる。
予選
予選のベストはマーカスがポールからわずか0.151の僅差での2番手。一方のポイントリーダーのユーリは9番手とやや水を開けられた。尚、予選タイム5番手の#28 シュラム・キムルイス(US Racing)がグリッドの降格ペナルティを受けた為、ユーリは8番グリッドからのスタートとなった。
セカンドベストでも0.222と言う僅差でポールを逃したマーカスだが、勝機は十分にある。一方のユーリはこちらでも9番手とやや冴えないが、レースでポイントをさらに伸ばすには十分なポジションだ。
レース1
フロントロウ、2番グリッドからスタートのマーカスは、ジャストスタートを決めT1に入る前にトップに躍り出た。が、しかしT1手前のメインストレート上で大きなクラッシュが発生し、そのまま赤旗中断。マーカスのスーパーショットも水泡に帰してしまった。
レースはセーフティカーの先導で再開。クラッシュしたドライバーの救出に時間が掛かった為、残り10分でのレースとなりグリッドは予選順位のままとなった。
再スタートからポールの#18 ジュリアン・ハンセス(US Racing)が逃げに入り、マーカスがそれを追うのだが徐々に離され、むしろ後ろから迫る#13 ファビオ・シュラー(US Racing)の防御に手一杯の状態となってしまった。
このコースはラグナセカのコークスクリューの様なS字、ブランズハッチの様なダウンヒル、そしてブラジルのインテルラゴスの最終コーナーの様な登りの最終コーナーに加え、ファイブワイドも可能な位のコース幅、ハイスピードとアップダウンの激しいトリッキーなコースレイアウトでどこでもオーバーテイクポイントとなりうるコースレイアウト。
それゆえにまったく気の抜けないコースではあるが、マーカスは最後の最後、登り最終の手前の最後のブレーキングポイントでシュラーに刺されてしまい3位へとダウン。表彰台に乗ったものの、やや精彩を欠くレースとなってしまった。
一方のポイントリーダー、ユーリは8番手とやや後方からのスタートだったがターン1でまず1台をオーバーテイク。周辺には強豪のVARとADAC-ベルリン-ブランデンブルグと言うエントリー名になっているが、このチームも実際はミュッケが運営する強豪チーム。
これらの厚い壁を掻き分けて前を急ぐユーリは、目の前でバトルをしていたVARとADAC-ベルリンが互いに気を取られていたのか軽く接触。
両車がタッチしたその瞬間を突いて最終コーナーで並び、そのまま2台纏めてオーバーテイク。ポジションを5位に上げそのままゴール。予選のあまり良くないポジションを決勝でキッチリとリカバーした。
レース2
スタート時に後方のグリッドでやや問題があり、エクストラフォーメーションとなったレース2。
マーカスは2番グリッド、ユーリは9番手からのスタートとなったが、今度はユーリが抜群のスタートを決め、ややスタートでもたついた前方のマシンをパス。さらにターン1以後、連続するコーナーで6番手を争うポシションにまで上げた瞬間、目の前でクラッシュが発生。進路を塞がれてしまったところでセーフティカーが導入された。
マーカス2番手、ユーリ8番手でレース再開。マーカスを追いかけていたハンセスがコースアウト。マーカスは安全圏内に入り、ユーリも1ポジション上げた。
その後、1台のマシンがT1でスピン→ストップ。再度、セーフティカーが入る。この時点でマーカス2番手、ユーリ7番手。
レースは残り10分で再開。マーカスはタイミングを失ったか、やや離されてしまい2位をキープ。ユーリは前を行くマシンが縁石に乗り過ぎてやや速度を落としたのを見逃さず次のコーナーで縁石の外へ飛び出す位の猛アタックを見せてオーバーテイク。これで5位へと浮上した。
残り2分となった時、後方のマシンがコースアウト。これでまたもやセーフティカーが出動し、結局、そのままレースはセーフティカーに先導されたままゴール。
マーカスはここでも2位となりポイントを伸ばし、ユーリは5位でフィニッシュ。ここでマーカスはユーリを抜いて204ポイントでシリーズトップに立った。一方のユーリは6ポイント加算。マーカスに5.5ポイントの差を付けられてシリーズ2位へと後退した。
レース3
レース1のリバースグリッドの為、ユーリ6番グリッド、マーカス8番グリッドからのスタート。今度こそSC無しのレースを期待したいが、そうもいかなかった。
スタート早々でまたもクラッシュが発生し、セーフティカー。この時点でユーリ4番手、マーカス7番手とそれぞれポジションアップしている。
マーカスは7周目に前を行く#27 ニコラス・ニールセン(US Racing)をパス。6位へと浮上。新興チームながらラルフ・シューマッハがディレクターを務めるこのチームのレベルは高く、ユーロF3に参加しているVARやmotoparkに並ぶ実力を見せている。
ポジションアップを果たしたマーカスが更なる上を目指してと思ったその時、この週末5度目のセーフティカー。そしてレースは残り10分を切ったところで再開。
この週末、まだポディウムに乗っていないユーリは前方、3番手を走る#2 フレデリック・ベスティ(VAR)を追い詰め、ベスティのギアボックスケースに自らのノーズを潜り込ませるところまで追い詰めたが抜くには至らず。結局、ユーリ4位、マーカスは6位でゴール。
ユーリとマーカスはそれぞれ12ポイント(ユーリ )と8ポイント(マーカス)を加算。このザクセンリンクのラウンドを終了した時点でマーカス212ポイント、ユーリ210.5ポイントで最終ラウンドを迎えることになった。
そしてチームポイントはシリーズランキング2位のVAR(365.5ポイント)に140ポイントという大量得点差を付け、505.5ポイントで2年連続シリーズタイトルを獲得。参加する4つのシリーズのうちの一つをまずは決着をつけることに成功した。
次のレースは9月22~24日、ホッケンハイムでの最終戦。ここでFDAドライバーのマーカス・アームストロングがタイトルを奪取するか? 或いは昨シーズンからチームに在籍しタイトルを狙っているエストニアのドライバー、ユーリ・ビップスが念願のタイトルを奪うか?
理論上は現在シリーズ4位のシュラーまでがタイトルの可能性があるが、実際には3位の#1 フィリッペ・ドラゴビッチ(VAR)までがチャンピオン候補と言うのが現実的な話となる。
ADAC F4最終戦。私たちの戦いにご注目ください。そして2017年ADAC F4選手権のチームタイトルを獲得できました。たくさんのご声援、本当にありがとうございました。
レース後コメント
テディ・イップ(チームプリンシパル)のコメント
ADAC F4のチームタイトルを獲得できた事、本当に良かったと思います。これはドライバー達のスピードと努力の上に成り立った結果だと思っています。
さらにレネ(ロシン/プレマパワーチーム チームマネージャー)の弛み無い努力、そしてドライバーが全力で戦った結果、この栄冠を勝ち取れたと考えています。
#9 マーカス・アームストロングのコメント
このザクセンリンクのレースウイークエンドは良い結果を出せました。タイヤが新品の時は良いグリップを得られるのですが、ユーズドだとペースが上がりませんでした。3レース中、2回ポディウムに上がり、リバースグリッドのレースでも6位になれました。
タイトルをリードしていますが、リードと言ってもまだ僅差。ほんの僅かなリードです。
ホッケンハイムは面白い戦いになると思っています。それとチームのこのADAC F4に於ける二回の連続チームタイトルおめでとうございます。
#44 ユーリ・ビップス
全体的には良かったです。選手権を含めもっと後ろを引き離したいけど、そのレベルのスピードが出ていません。次のホッケンハイムは本当にハードな戦いになると思うけど頑張ります。