全世界の子どもの10人に1人に当る約1億5000万人が「児童労働」をさせられているという。国際労働機関(ILO)が9月19日に発表した児童労働に関する調査報告書で明らかになった。
そのうち約7200万人は、健康や安全を脅かしたり、道徳心の発育を妨げたりするような危険な仕事をしており、5~11歳に限っても1900万人がこうした仕事をしているという。
地域別ではアフリカに次いで、アジア・太平洋地域で多い
働いている子ども全てが「児童労働」に従事していると見なされるわけではない。「児童労働」として問題視されているのは、危険な仕事や長時間の仕事、幼い子どもが働かされている場合だ。「国連の持続可能な開発目標」では、2025年までに強制労働、現代の奴隷制、人身売買、そして児童労働の根絶が掲げられている。
今回の報告書によると、2000年には2億4000万人以上が児童労働をしていたが、2016年には1億5000万人まで減少している。こうした傾向を「正しい方向に進んでいる」と評価しながらも、「2025年までに児童労働を撲滅するためには、早急な対策が必要だ」と警鐘を鳴らす。
地域別では、アフリカが最も多く、児童労働全体の19.6%を占めている。次に多いのはアジア・太平洋で7.4%に上っている。年齢階級別では、5~11歳が48%で最も多く、次いで12~14歳が28%、15~17歳が25%となっている。
男女別に見ると、男児は約8700万人、女児は約6400万人で、男児が女児を上回っている。ただし、報告書では「女児は家事のような『見えにくい』労働を担っている」ことがあるため、「この数値は女児の児童労働を過少評価しているかもしれない」としている。
18歳以下の430万人が強制労働、うち100万人は性産業で働かされている
産業別では、牧畜や漁業、養殖を含む「農業」が71%を占めている。家族内で無給で働かされているケースがほとんどだという。次に多いのはサービス業の17.2%で、工業は11.9%と最も少ないものの、「この分野で働く子どもの4分の3は危険な労働を強いられている」という。
児童労働によって、教育の機会さえも奪われることがある。5~14歳で児童労働をしている子どものうちの32%が学校に通えていない。たとえ学校には通えていても、仕事に体力や時間を奪われているために、学業が阻害されてしまうことが多い。
同報告書では、強制労働についても言及。18歳以下では、430万人が強制労働をさせられており、このうち100万人は性産業で働かされている。子どもたちは「危険な労働環境の影響を受けるだけでなく、強制や罰金、自由の欠如によるトラウマを負う」ため、政府や国際社会による早急な行動が必要だと呼びかけた。