人材サービスなどを提供するディップは9月19日、「はたらこねっと ユーザーアンケート ―介護と仕事の両立について―」の結果を発表した。調査は1月16日~3月22日にインターネットで実施し、同社運営の「はたらこねっと」ユーザー1043人から回答を得た。
家族の介護が必要になった際、「仕事との両立をしたい」と回答した人は88%にのぼった。また介護経験について、「過去に経験がある」「今している」と回答した人は合計35%で、うち39%が「そのまま仕事を続けた」という。
しかし以降は「介護と両立できる仕事へ転職した」(31%)、「職場は変えず、時短や休業をとった」(15%)、「離職した」(15%)と続き、約6割が介護と仕事を両立できるように働き方を変えていたことが分かった。
中には「実際問題、就職できないと思いました」という人も
介護のために転職をした人からは、理由として
「フルタイムでの勤務ができず、時短勤務が不可の仕事だった為、時間の融通が利く仕事に転職をしました」
「補助サービスや施設にも大変お世話になったが、急な呼び出しに対応できるような職場環境でないと仕事との両立は厳しかった」
などを挙げる人が多かった。他にも仕事と介護が両立できるよう実家に戻り転職をした人や、「実際問題就職できないと思いました」と働くこと自体を諦めた人もいた。
介護と仕事の両立についての悩みとしては、介護しながら働くという職場環境が整っていない、という声が非常に多かった。特に、
「当初は理解ある言葉を頂いていたが、次第に『また休むのか』と言ったニュアンスも出てきて耐えられなくなった」
「家族は口には出すけど介護には非協力的でストレスでした」
など、職場や家族からの理解が得られなかったという人も。他にも「時短勤務しかできなかったため、金銭面でとても苦労した」という人も少なくはない。
改正介護休業法施行でも「仕事優先主義が変わる事を望むしかない」
今年10月からは改正育児・介護休業法が施行され、介護と仕事を両立できる環境づくりが始まる。しかし改正法があったことを「知らなかった」と回答した人は86%にのぼる。
改正後に良くなった点を聞くと、「対象家族の範囲拡大」「制度利用の要件緩和」(各22%)が上位に挙がった。賛成意見としては、
「休業の分割や半日単位で使えるようになれば同僚への負担も減る。また自分自身でも仕事を調整しやすくなると思う」
「残業が免除されると仕事帰りに施設まで介護者を迎えに行ける」
などの声が寄せられた。一方、改善してほしかった点について「企業に対する両立支援」(17%)、「制度利用の要件緩和」(16%)が挙がり、
「一部の心無い人のせいで働きにくい環境は必ずどこでもあると思う。もっと理解を広げ防止措置がしっかりどこでも浸透することが重要」
「他人に任せて仕事を優先すべき風潮が強く退職するしか家族を守れない。家族より仕事優先主義が変わる事を望むしかない」
など、まだまだ改善の余地がうかがえる声も多かった。