STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権の2017年最終戦となる第7戦が、9月16~17日にスウェーデンのマントープパークで開催され、PWRレーシングのセアト・ディーラーチームに所属するロバート・ダールグレン(セアト・レオンTCR)が、TCRスカンジナビアとも呼ぶべき新生STCCの初代王者を決めた。
前戦のアンダーストープでも2勝を挙げ、ランキング2位につけるクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)のベテラン、フレデリック・エクブロム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)に75ポイントの差をつけ、事実上の王者獲得を決めていたダールグレンだが、エクブロムにはQ1~Q3でポールポジション獲得者に送られるボーナスポイント加算という“数字上”での逆転可能性が残される状況となっていた。
そのエクブロムは予選Q1で今季のタイトル争いを牽引してきた名手にふさわしいアタックを見せポールポジションを獲得。予選時点でのライバル戴冠を阻止すると、一方のダールグレンは自己ベストを記録したアタックラップ中にイエローフラッグ掲示があったとして11番手に降格。余裕があるとはいえ、良いとは言えない流れでの週末スタートとなった。
しかし、迎えたレース1はそのグリッドポジションがダールグレンに味方する展開となる。
ポールシッターのエクブロムを出し抜き、フロントロウにつけていたホンダ・レーシング・スウェーデンのマティアス・アンダーソン(ホンダ・シビック・タイプR)がスタートダッシュを決め先頭に躍り出たまでは良かったが、オープニングラップの中団で多重クラッシュが発生。
これによりいきなりのセーフティカー(SC)導入となり、アルビン・ワルネロ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)、ジョン-ブライアント・メイズナー(アウディRS3 LMS)、ルーベン・クレスナー(アウディRS3 LMS)らのマシン撤去作業が行われるが、この作業が難航したためSC先導で数周を消化したのちにレースは赤旗中断。
この混乱に乗じて、ダールグレンは7番手にまでポジションを上げることに成功した。
これで楽になったダールグレンは、残り4周というわずかなディスタンスを残すのみで再開となったレースで、最終的に6位フィニッシュ。エクブロムもアンダーソンを交わしてトップチェッカーをくぐったものの、このリザルトをもって2017年ドライバーズチャンピオンはダールグレンの手に渡ることとなった。
「このタイトル獲得は、僕にとって世界を手にしたような重い意味を持つ。ここ数年、スピードはありながら何度も不運に泣かされてきた。僕はそれにふさわしいと信じてきたし、今は信じられないほど肩の荷が降りて楽になった気分だよ」と、喜びを語ったダールグレン。
昨季はTTA規定最終年のSTCCで、ワークス・ボルボのポールスター製S60をドライブし、最終戦の最終ラップで惜しくもタイトルを逃すなど、辛酸を舐めてきた彼にとって、2010年のスカンジナビアン・ツーリングカー・カップ以来のタイトル獲得となった。
続くレース2は、同じくポールからスタートしたエクブロムが意地の2連勝。今季最終戦となるレース3は、オープニングレースでドライビングエラーによりコースオフしていたKMSのルーキー、フレデリック・ブロムステッド(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が勝利を挙げ、これでKMSは3連勝で有終の美。
シーズン中盤の参戦イベントで連勝をマークし、父のチームを助けたWorldRX世界ラリークロス選手権の新チャンピオン、ヨハン・クリストファーソンが積み重ねたポイントも効き、KMSが2017年のチームズタイトルを獲得している。
これで短いシーズンを終えたSTCCだが、来季もTCR規定を継続。今季第2戦をフィンランドで開催したように、スウェーデン以外での開催国拡大を視野に入れ、隣国ノルウェーでのラウンドを追加、もしくはフィンランドの代替イベントとして開催する計画のようだ。