新ブランド『GR』発表会に登場した豊田章男トヨタ自動車社長、GRカンパニー友山代表、TGRドライバーたち トヨタ自動車は9月19日、東京・お台場のMEGA WEBで記者発表会を行い、『車を楽しむ文化の醸成に向けた取り組み』を強化するべく、スポーツカーシリーズ『GR』を投入すると発表した。
2007年から、多くのメーカーがそのタイムを競う難コース、ドイツのニュルブルクリンクを舞台に、「もっといいクルマづくり」を合い言葉として、トヨタのテストドライバーの“トップガン”であった故・成瀬弘さんと、まだ社長ではなかった豊田章男トヨタ自動車社長が、社員有志たちと取り組み始めたのがGAZOO Racingだ。
その「もっといいクルマづくり」のキャッチフレーズであり、クルマを楽しむ総称に変化していった“GAZOO”はその後、ニュル24時間や全日本ラリー等の活動のなかでクルマ、そして人を鍛え、さまざまな知見やノウハウを得てきたという。そしてそのキャッチフレーズは、いまやWRC世界ラリー選手権やWEC世界耐久選手権で、トヨタのワークス活動を担うチームの名にも取り入れられた。
こうしてTOYOTA GAZOO Racingがさまざまなモータースポーツを通じて得たという知見やノウハウを注ぎ、新たなクルマを楽しむ文化を育てる取り組みとして結実させたのが、19日に発表された新スポーツカーブランドが『GR』だ。まさに『GAZOO Racing』の頭文字から取られたブランド名と言える。
トヨタではこれまで、GAZOOの“G”を冠したブランドとしてはスポーツコンバージョン車シリーズの『G Sports(G's)』があったが、今後はGRシリーズに一新。GRブランドでは、これまでも存在したエンジン内部までもチューンを施した『GRMN』を頂点に、量販スポーツモデルの『GR』、ミニバン等に設定された気軽なスポーツドライブを楽しめる『GR SPORT』、そしてカスタムを楽しめる『GR PARTS』の各ブランドが設定される。
■『GR』を挑戦するブランドに
この日の記者発表会には、友山茂樹GAZOO RACING Company代表があいさつ。豊田社長が課長時代に立ち上げた中古車画像検索システムの『画像』から取られた『GAZOO』の語源と“変革と挑戦に向けた旗印”、そしてGRブランドは「完成車に手を加えるのではなく、生産段階で手を加えるファクトリーチューニング」であると説明した。
GRシリーズは、第一弾としてヴィッツGR、ヴィッツGR SPORTが投入され、その後プリウスPHV、マークX、ハリアー、ヴォクシー/ノア等のトヨタ各車に設定されていく。さらに、86やアクア、プリウスαに設定が追加されるほか、18年春にはヴィッツGRMNが登場予定だ。また、このシリーズの投入に合わせ、TOYOTA GAZOO Racingの地域拠点『GR Garage』が順次立ち上げられる。
また、友山代表は、GAZOO Racing Companyは「レーシングカンパニー」であり、モータースポーツへの永続的な参戦と、モータースポーツと収益の実現、そして最終的にピュアスポーツカーの開発を目指すと宣言している。
発表後に行われたトークショーには、脇阪寿一TGRアンバサダー、今井優杏さんの司会のもと、石浦宏明、中嶋一貴、小林可夢偉、大嶋和也といったドライバーたちに加え、豊田章男トヨタ自動車社長もサプライズで登場。GAZOOとは「最前線で挑戦する」ブランドであると語った。
豊田社長就任後その知名度を上げ、トヨタのモータースポーツを代表するブランドとなった『GR』。今後は日本中の街中でそのロゴを見かけることになりそうだ。