2017年09月19日 10:13 弁護士ドットコム
離婚して数年。親権を持つ元妻が、子どもを家に置き去りにして飲み歩いているーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような相談が寄せられた。相談者によると、元妻は小学生の2人の子どもを深夜家に置いたまま、週に1~2回飲み歩いているそうだ。近所でも、男性と飲み歩いている姿が目撃されている。
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相談者がやめるべきだと伝えると、元妻は「子どもに悪影響だから改める」と答えたものの、その後も、朝方まで戻ってこないこともあったそうだ。
深夜子どもを置き去りにして飲み歩く行為は、育児放棄に当たるのか。また、これを理由に親権を元妻から取り戻すことはできるのだろうか。佐田理恵弁護士に聞きました。
「育児放棄(ネグレクト)は児童虐待の一態様です。厚労省の定義によれば、家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなどの行為を指します」
今回の相談例は、育児放棄に該当するのだろうか。
「もし、小さい子どもだけを置き去りにして、しばしば深夜飲み歩いているとすれば、不適切かつ危険であり、場合によっては育児放棄(ネグレクト)に該当する可能性もあります。ただし、祖父母など他の大人が面倒を見てくれる環境にあれば、頻度にもよるところでしょうが、問題ない場合もあります」
相談者は、親権者の変更を望んでいるようだ。このような場合、どのように手続きを進めていくのだろうか。
「離婚時には、父母の合意で親権者を決めることができますが、その後に変更したい場合には、家庭裁判所の調停・審判手続による必要があります。
親権を元妻から取り戻したい場合、まず家庭裁判所に親権者変更の申立てをします。家裁では、親権者変更の必要性について審理することになります。親権者変更の必要性は、親権者を指定した経緯、その後の事情の変更の有無と共に、当事者双方の監護能力、監護の安定性等を具体的に考慮して、最終的には子の利益のための必要性の有無という観点から決せられるべきとした裁判例があります。
本件についていうと、深夜、母親が幼い子どもを置いて飲み歩くというのは決して望ましくありません。しかし、その1点のみで、親権者が当然に変更されるわけではなく、その他、これまでの経緯、子どもとの関係性、監護能力など、様々な要素も考慮されることとなります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
佐田 理恵(さだ・りえ)弁護士
2007年弁護士登録。第二東京弁護士会所属。離婚・相続・子どもの問題などを多く扱っている。
事務所名:アストレア法律事務所
事務所URL:http://www.astraea-law.jp/