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『僕たちがやりました』ヒロイン2人の行方は? 永野芽郁と川栄李奈の笑顔がもたらすもの

2017年09月19日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 いよいよ最終回を迎える、『僕たちがやりました』(フジテレビ系、関西テレビ)。トビオ(窪田正孝)、伊佐美(間宮翔太朗)、マル(葉山奨之)、パイセン(今野浩喜)の4人各々が、“そこそこ”な日常を捨てる、選択・決断・行動に注目が集まった第9話。少しずつ日常へと戻っていったトビオだが、頭からは刑事・飯室(三浦翔平)の「幸せを感じるたびに、人の命を奪ったことを思い出せ」という言葉が離れない。カラ元気な青春謳歌を試みるも、追い打ちをかけるように市橋(新田真剣佑)が自殺してしまうのだ。そして、トビオの顔には、新たな葛藤が浮かび始める。ここで見逃してならないのは、トビオたちの支えとなる、蓮子(永野芽郁)と今宵(川栄李奈)、彼女ら2人の存在だ。


(参考: 永野芽郁、『僕たちがやりました』蓮子役に込めた思い 「芯の強さを忘れずに演じたかった」


 青春ドラマのヒロインとして、ときにドキドキ、ときにハラハラと、蓮子と今宵が毎話盛り上げてきた。トビオたちの逃亡生活や、敵対していた市橋との友情、それらを支えたのもまた、彼女らなのだ。タイプの違う2人だが、両者には「待つ女」という共通性が見出せる。蓮子はトビオを、今宵は伊佐美を。彼らが現れることを、いつも待っていた。


 逃亡中のトビオや伊佐美に、隠れ家として自宅を提供していた今宵。エロくて可愛い“ほんわか女子”でありながら、自慢の手料理を振舞うような家庭的な一面も見せていた。しかし彼女の家を出入りするトビオたちにとって、都合のいい女のような印象であったことは否定できない。今宵が自分の子を身ごもったことを知り、能天気なノリも一変、快活な男である伊佐美は、すがるように「一度でいいからお腹の子に触らせてくれ」といい、「明日に男と書いて、トゥモロー」と命名までする。なんとも可笑しく切ない場面であったが、今宵の決別の意思は堅い。自らのお腹を優しく撫でる姿には、都合のいい“ほんわか女子”の影などもはやない。


 蓮子を演じる永野は、番組公式インタビュー(蒼川蓮子役 永野芽郁さん|僕たちがやりました | 関西テレビ放送 KTV)で役についてこう答えている。「女友達と一緒にいるときはキャッキャしているのに、トビオの前では“女の子”ではなく“女性”になろうとしているところの違いが出せるようにしています」。永野のこの姿勢が最も反映されたのが、蓮子とトビオの別れの場面だろう。トビオから唐突に別れを告げられた蓮子は、自分の想いを隠して気丈に振る舞う。これから盛大に自首をしようという彼らの内情の真相にたどり着いていないものの、トビオの意思を尊重するのだ。


 第9話では、パイセンのいつもの掛け声を合図に、屋上から青空に向けて、ドローンとバズーカを解き放ったトビオたち。「自首します」と書かれたビラを手に、爽やかな音楽に合わせて、街を駆けていく。最後の青春劇の始まりである。彼らの行動の一連の流れに、時おり蓮子と今宵の姿が挟まれる。そこから垣間見える浮かない2人の表情は、葛藤しているのはトビオたちだけではないことを物語っていた。両者ともが別れ際に見せた“女性”であろうとする姿。これまでもトビオたちは自分たちの都合で、彼女ら2人をさんざん待たせてきた。彼らに会うたびにパッと輝く2人の笑顔は、まだまだ10代の“女の子”だった。彼らのために、“女性”であることを選んだのだ。2人の表情が、また輝く瞬間はあるのだろうか。トビオたちの行く末に合わせて、この2人を見守りたい。


(折田侑駿)