2017年F1第14戦シンガポールGP決勝トップ10に入ったドライバーたちがレースを振り返った。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ルイス・ハミルトン 決勝=1位
なんて一日だったんだろう! 本当に信じられないよ。最高にハッピーだ! 今日サーキットに来て雨が降っているのを見た時、これで仕切り直しだと思った。僕は雨のレースが大好きだ。そしてレースのスタート直後にたくさんのことが起きた。
インターミディエイトでスタートし、最初のころはもっと似通ったペースになると予想していた。こういうコンディションでは、ドライビングで差をつけるチャンスがある。ここを雨のなか走るのは、皆初めてだったから、本当にすごいチャレンジだった。でも僕は何より困難なチャレンジに立ち向かわなければならない状況が大好きなんだ。
とにかく集中し続けて、ミスをしないよう心がけて走ったよ。僕らにとって一番苦手かもしれないコースで優勝できて、大量にポイントを稼げたなんて、本当に幸運なシナリオだ。バルテリ(・ボッタス)も素晴らしい仕事をしたから、コンストラクターズ選手権ポイントをたくさんつかみ取ることができた。最高の気分だよ。
昨日は苦しんだから、雨が必要だった。雨が降り出した時、自分がどこでフィニッシュできるか分かった。
別に奇跡が起こるよう、祈ったわけじゃない。何も祈ったりしていない。でも雨が降って「よし。雨なら5番グリッドからでも勝てる」と思った。絶対にいい結果が出せると確信したんだ。残念ながらこのマシンはドライでは速さはなかったけれど、今日は雨が降った。僕向きのコンディションだった。
(スタート直後のセバスチャン・ベッテルのアクシデントについて語り)ターン3に来た時、僕の前にはセバスチャンがいた。「これから本物のレースをするぞ!」と思ったら、セバスチャンがスピンした。僕の目の前でだ。どうかぶつかりませんようにと祈るような気持ちだった。ぶつからずに済み、「オーケー、トップに立ったぞ」と思ったんだ。
レース前には、今日は(タイトル争いにおける)ダメージを最小限にとどめたいと考えていた。またポイントリーダーの座から脱落するんだと思っていたら、ギャップを広げることができた。幸運を感謝しないとね。
■レッドブル・レーシング
ダニエル・リカルド 決勝=2位
雨のせいで今日はかなり慌ただしいレースになったね。でも、このサーキットをウエットコンディションで走ったことがないという点で、条件は皆同じだったから、状況に気を配って、できるだけ早く適応することが重要だった。
僕のスタートは蹴り出しがものすごく遅かった。でもいま考えればそれがいい方に働いた。おかげで前で起きていたカオスを避けられたんだ。ウエットコンディションの序盤数周は、調子はまずまずだったよ。でもタイヤに少し厳しい感じがした。新しいタイヤに交換しても(前を走る)ルイス(・ハミルトン)に全くチャレンジできなかった。
レースの間ずっと、チームからギヤをうまく労わるように指示された。後から知ったんだけど、序盤からオイル漏れがあって、ギヤボックスの油圧が低下していたということだ(注:チーム代表のクリスチャン・ホーナーは「完走できないと思った」と述べている)。
もちろんここには勝つために来たのだし、本当に勝ちたいと思っていた。でも2位も素晴らしい結果だから、文句を言うつもりはないよ。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
バルテリ・ボッタス 決勝=3位
レースでは不可能なことなんて何もないということが証明されたよね。通常のコンディションなら、僕らが表彰台に上るのはかなり難しかったと思う。でも今日はすべての条件がうまく揃った。とてもラッキーだった。
ドライコンディションでは予想以上にマシンのパフォーマンスがよくて、ルイス(・ハミルトン)も僕もとても速いペースで走れた。でもウエットでは僕は彼より少し苦しんだ。
今週末、僕は苦労していただけに、トロフィーを持ち帰ることができてうれしい。僕らチームにとって完璧に近いレースだったと思う。残りはまだ6戦あるから、どうなるか分からない。今週末かなり苦しんだから、今後のためにしっかり学ぶ必要がある。
(セバスチャン・ベッテルがノーポイントに終わり、ギャップが23点差に縮まったことについて聞かれ)レースはまだたくさん残っているからチャンスはたっぷりある。もちろん、セバスチャンが次のターゲットだ。
■スクーデリア・トロロッソ
カルロス・サインツJr. 決勝=4位
ワオ! 最高の一日、そして最高の結果だ! これまでのF1キャリアの中でも、今日が一番じゃないかな。あれだけメディアの注目を浴びながら、しっかりと完璧な週末を過ごして4位でレースをフィニッシュできたのだから、われながら驚くばかりだよ。
インターミディエイトでスタートして、スーパーソフトに履き替え、交換した直後の数周はさすがに苦戦したものの、そのまま順位を失わずに最後まで走りきることができた。まさに完璧な戦略によって、厳しい週末が祝うべき結果につながったんだ。このレースは一生忘れないと思うよ! 正直言って、スーパーソフトでのスティントの序盤は、僕にとってこのレースで一番難しい部分だった。まったく楽じゃなかったね。アウトラップでベストを尽くしたつもりだったけど、(ニコ・)ヒュルケンベルグにオーバーカットされてしまって……。ただ、僕にとっては幸運なことに、彼はトラブルに見舞われ、その後はチェコ(セルジオ・ペレス)の追撃から順位を守らなければならなかった。彼は金曜に僕らより速かったし、しかもウルトラソフトを履いていた。彼を背後に抑え続けるのはとても難しい仕事で、ずっとミラーを見ながら走っているような状態だったけど、何とかやり遂げることができたよ!
今晩のうちに帰宅するフライトを予約してあったんだが、それはキャンセルするつもりだ。この素晴らしい成績を、みんなと一緒に祝わないわけにはいかない。この週末、チームは本当にスゴい仕事をしてくれた。ありがとう!
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
セルジオ・ペレス 決勝=5位
これほど困難な一夜を5位で終えることができて、とても満足している。レース中にはいろいろなことが起きたし、特にオープニングラップは、水煙でほとんど何も見えないような状態だったからね。
ただ、それと同時に、ポディウムに上がる機会を逃したことを少し残念にも思っている。2度目のセーフティカーのおかげで、僕らの戦略がうまく機能しなかったんだ。レースはフルウエットタイヤでスタートしたが、思ったよりも早く、セーフティカーピリオド中にインターミディエイトに履き替えることになり、トラックポジションを下げてしまった。
とはいえ、今日はいいレースができたし、昨日の予選が厳しかったことを考えれば、いいリカバリーだったと思う。この成績はチームが選手権4位の座を固めるのに役立った。そして、僕のシンガポールでの連続ポイント獲得記録も伸ばすことができた。
■ルノー・スポール・フォーミュラ1チーム
ジョリオン・パーマー 決勝=6位
とてもうれしいよ。ここまでずいぶん長くかかったけど、今日は全てがうまく行った。最初は雨も激しかったし、スタートでドラマも起きたトリッキーなレースだった。でも、そうした状況のおかげで上位に浮上して、ポイントを記録することができた。僕らの戦略も良かった。ピットストップもうまく決まり、クルマはウエットコンディションでも乗りやすかった。次のレースではもっと良くなるはずだ。
■マクラーレン・ホンダ・フォーミュラ1チーム
ストフェル・バンドーン 決勝=7位
波瀾万丈のレースだったね! 雨が降るなかでのスタートは楽ではなかった。だから、何よりも、トラブルには巻き込まれないようにしようと心がけて、狙いどおりにいった。その後は、自分自身のレースに集中して走った。
今日は7位が最大限の結果だったと思う。一時は6位を狙えそうだったけど、2回目のピットストップがうまくいかなかった。その後はマシンの力をできる限り引き出し、パフォーマンスを最大限に発揮することに集中した。
ポイントを取ることができたので、この週末をいい形で締めくくれたと思う。
■ウイリアムズ・マルティーニ・レーシング
ランス・ストロール 決勝=8位
素晴らしいレースだったと思う。最初はまだ雨が降っていたので、スタートでそれを最大限に生かして何台かを抜き、トリッキーなコンディションの中で他のドライバーたちがミスをしたのにも乗じて、順位を上げていったんだ。
その後は落ち着いたレースができたと思う。冷静さを忘れずにね。ミスをしたのは一度だけだが、そこで(ストフェル・)バンドーンにやられてしまった。ターン7の進入でロックアップさせて、彼に抜かれたんだ。でも、全体としてみれば素晴らしい結果であり、チームに4ポイントを持ち帰ることができた。
■ハースF1チーム
ロマン・グロージャン 決勝=9位
チームのみんなのためにも、すごくうれしいよ。特に今回は厳しい週末になり、僕らのペースが決して速くないことは分かっていただけにね。
スタートではインターミディエイトを選択した。これは度胸のいる選択で、実際にスタート直後はトリッキーだった。でも、(ウエットタイヤを選んだ)みんなが次々とピットに入り、結果としてインターミディエイトが最適なタイヤだったから、自分の選択に満足することができたよ。
スリックへの交換は、理想的なタイミングより1周遅かったかもしれない。ウルトラソフトへの履き替えに関しては、僕よりも(ケビン・)マグヌッセンの方がいい判断をしたと思う。その後、僕は(ランス・)ストロールを抜こうと試み、彼との激しいバトルになった。彼はあるところでウォールをヒットして、これで勝負がついたと思ったんだけど、クルマが壊れるほどの当たり方ではなかったらしい。彼はそのまま走り続け、それ以外には特にミスもしなかったので、最後まで抜けなかった。
精神的にはタフなレースだった。特に最初のうちはコンディションも最悪だったからね。まったく何も見えないんだ。ここでポイントを獲得できて、とてもハッピーだ。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
エステバン・オコン 決勝=10位
10位というのは不満の残る結果だ。まあ少なくとも、とても厳しい週末を何とか無事にやり過ごすことはできたよ。でも、僕の誕生日を祝うのにぴったりの週末ではなかった。
レースのスタートはとても良かったのだが、ウエットでもインターミディエイトでもひどく苦戦した。モンツァでは何の問題もなく、雨の中でもすごく快適にドライブできたんだけどね。何かが機能していなかったようだけど、それが何なのか僕には分からない。とにかく、それで何台かの遅いクルマの後ろに引っかかる形になってしまった。路面が乾いてからは、かなりいいペースで走れたものの、前を行くクルマをオーバーテイクするのは難しかった。ここではオーバーテイクのチャンスは、そう簡単には見つからない。
最終的に1ポイントを拾えたのは良かったけど、本当はもっと多くのポイントが欲しかった。何が良くなかったのかをしっかり分析して、次のマレーシアではもっといいパフォーマンスを見せたい。