旅行はいいものだ。日常から離れ、未知の景色や食べ物や人に出会う楽しみがある。だが、そこに価値を見出せないという人もいる。
はてな匿名ダイアリーに9月8日、「旅行の魅力を教えてくれ」という投稿があった。投稿者は、旅行にはお金がかかることを気にしており、箱根で温泉でも1~2万超えるし、新幹線や飛行機を使うと万単位、「海外なんて10万単位になっちゃう」などと書き連ね、
「旅行に金使うくらいなら、形に残るもの欲しいなって思っちゃうんですよ」
と本音を明かしている。(文:okei)
旅行の魅力がわからない「同じような考えの人って少ないのかな?」
ちなみに欲しいモノは「iPad」「大きいテレビ」「あとちょっと高めの靴とか服」とのこと。本当に旅行の魅力を知りたい訳ではないのだろう、「同じような考えの人って少ないのかな?」「休みの日は旅行!長期休みは海外行きたい!みたいなひと多くない?」などと疑問をつぶやいていた。
みんなが旅行に行きたがる風潮をやんわり否定し、共感を募っているのだろう。それに反してはてなブックマークには、旅の良さを語るコメントが相次いだが、多いのは「モノより思い出」の価値を説く声だ。
「残るもの、といっても10年はもたない家財と、生きている間にずっと覚えていられる思い出をね。まあ比べて思い出をとる人もいるでしょう。不思議に思うほどか?」
iPadもいいけれど、実際に見て触れて味わってという体験の記憶は貴重だし、いつまでも残るものだ。
「そもそも思い出の価値が分からない」という声も
一方で、「わりとわかる」と、投稿者に共感する人もいる。「物には金をかけたいが、レジャーには金をかけたくない」「旅行嫌だよね。家でゆっくりしてるほうがよっぽど楽しいしお金もかからない」などの声だ。「思い出」自体に疑問を呈する声もある。
「碌な思い出を作ってこなかった自分には、そもそも思い出の価値が分からない」
確かに、旅行に行っても楽しくないという人もいるようなので、価値観の押しつけはよくないだろう。
しかし、スレッドにはかなり具体的な思い出を書く人もいて、それらを見ていると素直にいいなあと感じてしまう。
「昔、一週間掛けて車で北海道を一周した。一人旅でずっと車中泊。緑と黄金色の広大な畑。降るような星空。お魚咥えたキタキツネ。喫茶店でサービスしてくれたスイカ。ウニ丼。聴き飽きた浜省と清志郎。また行きたい」
「金かけた旅なんてつまらんよ」と書く人は、「1ルピー値切りながら第三世界を放浪したらやめられなくなる。8000m級の山々、果てしない砂漠、極地、見知らぬ宗教などなど地球相手にドラクエしてるようなもんだ。国境越えも愉しいぞ」とスケールの大きい体験談を披露する。
そんなに大層なことでなくても、「飯や風呂の支度を全部他人がやってくれること」「日常から逃げたいの」などの声には共感する。旅は、日常を忘れてほっと一息つく時間ができたり、経験や視野を広げてくれる。
行くも行かないも本人の自由ではあるが、こんなコメントに筆者も同感だ。
「iPadもテレビもいつか壊れるし、人生一度きりしかないから、自分の周辺しか知らないのって凄い勿体ないと思う」
いずれにせよ、後悔しないように生きたいものだ。