トップへ

WEC第6戦:トヨタ善戦もわずかなペース差で及ばず。ポルシェが3戦連続1-2達成

2017年09月17日 10:02  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

優勝した2号車ポルシェ919ハイブリッド
WEC世界耐久選手権第6戦は9月16日、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で決勝レースが行われ、ポルシェLMPチームの2号車ポルシェ919ハイブリット(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー)が総合優勝を飾った。

 連日晴天が続くテキサス州・オースティン。16日も夏の強い陽射しがサーキットに降り注ぐなか、現地時間12時に6時間レースのスタートが切られた。

 オープニングラップではCOTA名物の1コーナーでLMP2クラス、LM-GTEプロクラスの隊列に若干の混乱が発生したが、LMP1クラスはクリーンスタート。

 そんななかベルンハルトがステアリングを握り2番手からスタートした2号車ポルシェは、バックストレートでセバスチャン・ブエミの駆る8号車トヨタTS050ハイブリッドに交わされると、2周目のホームストレートではマイク・コンウェイの7号車トヨタTS050ハイブリッドにも先行を許してしまう。

 首位1号車ポルシェ919ハイブリッド、2番手8号車トヨタ、3番手7号車トヨタ、4番手2号車ポルシェというオーダーで迎えた最初のピットストップタイミングでは両陣営の戦略が分かれた。まず4番手の2号車ポルシェが29周目にピットインし給油とドライバー交代、そしてタイヤを交換してピットアウト。

 翌周トヨタの2台が同時にピットに入るが、こちらは給油とドライバー交代のみでコースに戻っていく。最後に入った1号車ポルシェが2号車ポルシェと同様にタイヤ交換をしてピットアウトすると、コース上では8号車トヨタと7号車トヨタのワン・ツーとなった。

 スタートから1時間30分、3番手に後退した1号車ポルシェのロッテラーが2番手の7号車トヨタを駆るホセ-マリア・ロペスを捉え、2台のトヨタの間に割って入る。後続の2号車ポルシェもロペスを攻略し、8号車トヨタ、1号車ポルシェ、2号車ポルシェ、7号車トヨタというオーダーとなる。

 直後に迎えた2回目のピットストップではトヨタ勢がタイヤ交換を行う一方、ポルシェの2台は無交換でコースに戻りトヨタを先行。リードを広げていく。

 3度目のピットは1回目と同様、ポルシェ勢がフルサービス、トヨタ勢が無交換でピットアウトするが、3スティント目にリードを広げた1号車ポルシェがわずかに7号車トヨタの前でコースに復帰。首位をキープした。

 レース折り返しの3時間、コースではLM-GTEアマクラスのマシンがクラッシュした際に移動したバリアの位置を直すため、セーフティカーが導入される。約10分後にリスタートとなったが、これによりポルシェとトヨタのギャップはリセット。ふたたび4台がひと塊となってレースが進められていく。

 リスタートから7分後の3時間17分、8号車トヨタと順位を入れ替え3番手となった7号車トヨタのコンウェイが、4番手の2号車ポルシェを駆るベルンハルトに交わされる。その後、4時間を前に行われた4回目のピットストップでタイヤ無交換のポルシェ勢がトヨタの2台を引き離した。

 1号車ポルシェと2号車ポルシェのワン・ツーとなって迎えた5回目のピット。トヨタはこのタイミングでこれまでのタイヤ戦略を変更。終盤の2スティントに向けてタイヤ交換を実施した。これによりポルシェと戦略面では同条件となったが、5時間を迎えた段階で3番手の8号車トヨタは、順位を入れ替え首位に立った2号車ポルシェから12秒差、4番手の7号車トヨタは33秒差となっていた。

 2号車ポルシェと1号車ポルシェが約2秒差で迎えた最後のピットでは、給油量の差によって1号車ポルシェが僚友2号車ポルシェからリードを奪う。しかし、シリーズチャンピオン獲得を至上命題とするポルシェチームは、1号車ポルシェのニック・タンディにスローダウンを指示。

 フィニッシュまで残り8分、ホームストレートで速度を緩めた1号車ポルシェの脇を2号車ポルシェのバンバーが抜け、首位に立つと2台は並んでチェッカー。2017年シーズン3度目のワン・ツー・フィニッシュを達成した。

 3位はランキング2位につける8号車トヨタが入り、レース中盤からペースが上がらなかった7号車トヨタはトップと45秒差の4位となっている。


 LMP2クラスは、シグナテック・アルピーヌ・マットムートの36号車アルピーヌA470・ギブソン(ニコラス・ラピエール/グスタボ・メネゼス/アンドレ・ネグラオ)がポール・トゥ・ウインを達成。

 36号車アルピーヌはチェッカーまで残り15分というタイミングで左リヤライトの点灯不良を指摘され、レース最終盤での修復作業を余儀なくされたが、それまでに築いたギャップとメカニックの迅速な作業により最後まで首位の座を守りきっている。

 ヴァイヨン・レベリオンの13号車オレカ07・ギブソンがクラス2位、僚友の31号車オレカ07・ギブソンが同3位につけた。

 LM-GTEプロクラスは序盤から激しい首位争いを展開したAFコルセ、51号車フェラーリ488 GTE(ジェームス・カラド/アレッサンドロ・ピエール-グイディ)が、チェッカー目前でのパンクなど、最終盤までもつれたバトルを制してクラス優勝。2位はポルシェGTチームの91号車ポルシェ911 RSR。ポールスタートのAFコルセの71号車フェラーリ488 GTEはクラス3位に入った。
 
 5台で争われるLM-GTEアマクラスは、レース序盤の接触によってディフューザーの交換を強いられたアストンマーチン・レーシング、98号車アストンマーチン・バンテージ(ポール・ダラ-ラナ/ペドロ・ラミー/マティアス・ラウダ)が今シーズン2勝目をマーク。

 澤圭太がスタートドライバーを務めたクリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリ488 GTEは、レース序盤から5時間過ぎまでクラス首位を走行していたが、惜しくもアストンマーチンに及ばずクラス2位となった。

 WEC次戦、第7戦富士は待望の日本ラウンド。10月13~15日に静岡県・富士スピードウェイで開催される。