9月16日、F1シンガポールGP予選が行なわれた。午後9時という遅い時間のスタートで、陽は完全に沈んで気温は28度、路面温度は33度まで下がったコンディションでの予選開始となった。
直前に行なわれたポルシェカップのレースで火災を起こしたマシンがあり、ターン20の入口はそのオイル処理後が大きく残っている。FP3でクラッシュしてリヤエンドを壊したマーカス・エリクソンはギヤボックスを交換し、すでに5グリッド降格ペナルティが決まっている。
Q1から各車がウルトラソフトでコースインしアタックを開始。ロマン・グロージャンはアタック2周連続でターン7で止まりきれずオーバーシュートする場面があったように、左フロントタイヤのウォームアップに苦しみグリップ不足を訴えるドライバーが少なくない。
フェルナンド・アロンソがターン20でリヤをスライドさせたように、オイル処理の影響によるグリップの低下を訴える声も多い。フェリペ・マッサはターン21の出口で右リヤをウォールに激しくヒットしてしまい、ホイールを割ってパンクを喫してピットに戻る。
FP3に続いてレッドブル勢が速さを見せ、トップはマックス・フェルスタッペン、2番手ダニエル・リカルド。ルイス・ハミルトンは0.445秒遅れの3番手がやっとで、4番手バルテリ・ボッタスは1.127秒落ち。
その後ろに僅差でフェラーリ勢が続き、3強チームに次ぐポジションにはフォース・インディア勢がつけ、FP3で4位・5位の好位置につけたマクラーレン・ホンダ勢は9番手・10番手を争う。
9番手ストフェル・バンドーン以下が残り3分で2回目のアタックに入り、カルロス・サインツJr.が3番手、ダニール・クビアトが5番手に飛び込み1秒以上タイムを縮めて路面コンディションの向上を示す。
マクラーレン勢はさらにこれを上回って3番手・5番手に入り、タイムを思うように更新できなかったケビン・マグヌッセン、ウイリアムズ勢、ザウバー勢がQ1敗退となった。
Q2でも全ドライバー、ウルトラソフトをチョイスして走行し、Q3進出が明らかな上位勢もウルトラソフトで決勝スタートに臨むつもりであることが明らかになった。
ここでもフェルスタッペンがトップタイムを記録したが、Q1ではタイムが伸び悩んだフェラーリ勢が速さを増してセバスチャン・ベッテルが2番手、キミ・ライコネンが4番手につけ、メルセデスAMG勢は5番手・7番手に留まる。中団勢のトップは6番手のバンドーン、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグが8番手で続くこととなった。
路面の向上幅が大きいため、10番手から1.7秒差がある首位フェルスタッペンまで含めて全車が2回目のアタックに出る。
バンドーンは6番手に飛び込み、アロンソもタイムを伸ばしてなんとか9番手に入りQ3進出を果たしたが、フォース・インディア勢はセルジオ・ペレスがターン1で大きくロックさせて「このタイヤはどうなってしまったんだ? 全然グリップがない」と訴えるなど、オコンとともに2台揃ってQ2敗退となってしまった。
その他にジョリオン・パーマーが11番手、ダニール・クビアトが13番手、グロージャンが15番手でQ2で予選を終えた。
Q3では開始直後にまずマクラーレン勢やサインツ、ヒュルケンベルグなど新品ウルトラソフトの残っていない中団勢が中古タイヤでコースインし、上位勢は少し間隔を開けてから新品タイヤでコースへと向かう。
1回目のアタックでベッテルが1分39秒669を記録してトップに立ち、フェルスタッペン、リカルドの3台が1分39秒台に突入して、メルセデスAMG勢は5、6番手に留まる。中団勢ではアロンソが最上位の7番手につけるが、中古タイヤだったため2.275秒差を付けられている。
最後のアタックでは全10台が新品のウルトラソフトを履いてコースイン。フェルスタッペンとリカルドはタイムを更新したもののベッテルを上回ることができなかったのに対し、セクター1ではベッテルが最速セクタータイムを刻み、セクター2でも最速。
ベッテルはさらに自身のタイムを縮めて1分39秒491で2番手のフェルスタッペンに0.323秒差を付けてポールポジションを獲得。
「イエス! やった、やった、やった! みんな、やったよ! 本当に素晴らしいクルマをありがとう!」と歓喜の雄叫びを上げた。
2番手はフェルスタッペン、3番手リカルドは最後のアタックでも変わらず、タイムを更新できなかったライコネンは4番手に留まり、メルセデスAMGはまさかのハミルトン5番手、ボッタス6番手という結果に終わった。
3強チームに次ぐ7番手にはまたしてもヒュルケンベルグがマクラーレン勢を上回って1.522秒差で付けた。アロンソは1.688秒差で8番手、バンドーンが1.907秒差で9番手、サインツは2.565秒差の10番手だった。