2015年から始まったマクラーレンとホンダとの提携解消が、ついに正式に発表された。3年目の今年こそという期待も空しく、シーズン後半になっても選手権9位に低迷したまま。
いつまで経っても戦闘力と信頼性の両方に問題を抱えるホンダに、マクラーレンが完全に愛想を尽かした形だ。では具体的にどんな経緯で、解消話が進んで行ったのか。ホンダの山本雅史モータースポーツ部長が、ここに至るまでの裏話を語ってくれた。
「すでに開幕前テストから、これではやってられないとマクラーレンが言っているという報告が届いてました。具体的に契約解消の話が出たのは、開幕2、3戦目ぐらいです。僕らはあくまで関係継続にこだわり、もっとがんばろうよと言い続けたんですが」
しかしレースの世界はあくまで結果であり、完走どころかまともにスタートもできないような惨状の中で、「両者の会話はどんどん自然じゃなくなって行った」と山本部長は言う。
マクラーレンやアロンソからのホンダ非難は、レースを追うごとに激しさを増して行った。
「そんな状況にもかかわらず、ここまで引っ張れたのは、現場を仕切る長谷川(祐介ホンダF1総責任者)の力が大きかった。本当に大変だったと思います」
マクラーレンとルノーの交渉も、実はかなり前の段階から進んでいたという。山本部長はあるグランプリで、こんな光景を目撃する。
「ザック・ブラウンがルノーの幹部とパドッククラブで密会しているのを、偶然見てしまったんです。パドックではひと目に付きすぎると思ったんでしょう。マクラーレンはルノーと組むんだ、すでに水面下で話をしてるんだと、そこで理解した」
しかしルノーはすでに3チームに供給しており、このままではマクラーレンは契約を結べない。そこからトロロッソとホンダとの提携話が急速に進んで行った。
「マクラーレン・ホンダとして結果を残せず、契約が前倒しで終わってしまったことは悔しいですよ。ホンダがやり切れなかったことに対してね。でもトロロッソとやれることは、別の意味で楽しみですね」
今の状況で、最善の選択ができたと?(筆者)
「そう思います。ベストの選択ですよ」