2017年09月16日 10:13 弁護士ドットコム
ジャニーズ事務所は9月13日、公式サイト「Johnny's net」でファンに向けて、行き過ぎた行為を止めるよう訴える文書を掲載した。文書は「大切なお願い」というタイトルで、タレントが移動する際の追跡行為について、迷惑行為があるとして、実際に発生している事例を挙げている。
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中には、「タレントに故意にぶつかったり、抱きついたりする行為」や「スタッフに向けてエアガンを発砲する行為」など、過激なものも少なくない。これらの行為に違法性はないのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
「今回、事務所が掲載したものの内、次の行為は、あからさまに繰り返せば、軽犯罪法違反、もしくはストーカー行為規制法違反になる場合もあると考えます。
・飛行機、新幹線でタレントに近い席を取り、立ち上がって覗き込む行為
・新幹線の車内でタレントの乗車車両の前後のデッキに留まり、一般の方の通行を妨げる行為
・タレントの写真、動画を撮影し続ける行為
・タレントの進路を妨害する行為・タレントを乗せた移動車両を白タクなどで追いかける行為
・マネージャー、警備員、JFCサポートスタッフの注意を無視して、追跡を繰り返す行為
軽犯罪法とは、軽微な秩序違反行為を犯罪として処罰する法律です。不安もしくは迷惑を覚えさせるような方法で他人につきまとう行為を軽犯罪として定めています。今回の場合は、『第1条28項 他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者』に当たる可能性があります。
また、ストーカー行為規制法で規定されるストーカー行為とは、同じ人に対し、身体の安全・住居等の平穏・名誉を侵害したり、行動の自由を著しく侵害される不安を覚えさせるような方法でつきまとい等を繰り返し行うことを言います。
近い席を取るだけでなく、立ち上がって覗き込むということであれば、プライバシー・行動の自由の侵害にもなり得ます。止めて欲しいと言われているのに繰り返せばストーカー行為をしたとして処罰されることもあります。撮影し続ける行為も、つきまとっているといえる程度に続けた場合、ストーカー行為規制法違反になる場合もあると考えます」
また、事務所は、次のような行為も迷惑行為として羅列していた。
・タレントに故意にぶつかったり、抱きついたりする行為
・スタッフに向けてエアガンを発砲する行為
・一般の乗降客を巻き込み迷惑をかける行為
「故意にぶつかったり、抱きついたりする行為などは、暴行罪や強制わいせつ罪に当たる可能性があると考えます。具体的な接触の内容にもよりますが、地域によっては迷惑防止条例違反になる場合もありえます。たとえば、東京都の迷惑防止条例であれば、第5条1項1号にて『公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること』は禁じられています。
スタッフに向けてエアガンを発砲すれば、暴行罪に当たり得ます。その結果、スタッフが怪我をすれば傷害罪になります。一般の乗降客を巻き込んで迷惑をかける行為は、内容によりますが迷惑防止条例違反に当たる場合もあるかと考えます」
タレントに対するファンの「追っかけ行為」は日常的だが、行き過ぎた行為は犯罪につながってしまう。2015年には、お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんをストーキングしていたとして、ファンの女子大生がストーカー規制法違反容疑で逮捕されている。今後、節度を持ったタレントのファン活動が望まれる。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp