2017年09月16日 09:33 弁護士ドットコム
8月、岡山県玉野市の渋川動物公園で脱走したゾウガメ・アブーが見つかり、発見者は50万円の懸賞金を手にする出来事があった。脱走動物の懸賞金は珍しいが、刑事事件でも指名手配犯の情報提供に対する懸賞金には、数百万円規模のものもある。
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変わったところでは、新潟県糸魚川市では有志により、市内で目撃情報のある伝説の生物、ツチノコには1億円の懸賞金がかけられている。
このような懸賞金の場合、どの程度の額だと税金がかかるのだろうか。また、どれくらいの税金がかかるのだろうか。田邊美佳税理士に聞いた。
「懸賞金は、基本的には『一時所得』に該当するため、所得税の課税対象となってきます。この一時所得の金額は、次のように算式します。
〈総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額〉
特別控除の額が50万円あるため、50万円を超える懸賞金を受け取った際には税金がかかるかどうかの確認が必要です。また、『収入を得るために支出した金額』とは、この懸賞金を得るために支払った費用のことで、受け取った金額から差し引くことが可能です。
そして、課税の対象となるのは、上述の式で算出した一時所得の金額を更に1/2にした金額となっています」
50万を超える場合、申告は必ず必要なのだろうか。
「会社員の場合、給与が1か所から支払われており、収入が2,000万円以下の場合は原則確定申告が不要となっています。しかし、給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える場合には確定申告をする必要があります。
そのため、給与以外に所得がない会社員の方が、90万円の懸賞金を得た場合、
〈(90万円-0円-50万円)×1/2 ≦ 20万〉
となり、確定申告は不要で、税金がかかりません。
一方で、会社員が懸賞金100万円をもらった場合には、給与所得金額に一時所得金額の1/2相当額25万円(〈100万円-0円-50万円〉×1/2=25万円)を合計した上で、所得税額を計算することになります」
懸賞金に似たもので、他に一時所得扱いとなるものは、どんなものがあるだろうか。
「懸賞金の他にも、コンクールの賞金や福引での景品等、競馬や競輪の払戻金なども一時所得に該当しますが、宝くじについては非課税となっています。
なお、懸賞金稼ぎを業としている場合やプロがコンクールで賞金を受ける場合には『事業所得』に該当してくるため、特別控除額50万円はありません」
【取材協力税理士】
田邊美佳(たなべ・みか)税理士
オネスタ税務会計事務所所長。公認会計士・税理士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。相続税申告、生前対策業務をメインに行っており、国際相続案件にも対応可能。
事務所名 : オネスタ税務会計事務所
事務所URL: http://www.onesta-tax.com/
(弁護士ドットコムニュース)