初日金曜日のF1シンガポールGPは、昼過ぎにものすごいスコールが襲来した。それでもフリー走行1回目が始まる午後4時半までには、路面はほぼドライに。上空は雲に覆われたままだが、29℃の気温はほぼ例年通りのコンディション。
ただし路面温度32℃は、かなり低めだ。トロロッソはカルロス・サインツJr.に代わってショーン・ジェラエル、ハースはケビン・マグヌッセンの代わりにアントニオ・ジョビナッツィを走らせている。
ハイダウンフォースのシンガポールに合わせ、各車はかなり重めのリヤウィングや目いっぱい大きくしたTウィングなど、前戦イタリアGPとは様変わりの仕様を持ち込んだ。中でもフォース・インディアはエンジンカウル上部に極小ウィングレットを30枚以上付けた、特製シャークフィンを投入している。
雨上がりの公道路面に大したグリップは期待できない上に、縁石の多くはまだしっかり濡れている。それでもバルテリ・ボッタスはスーパーソフトで最速タイムを更新し続け、開始後20分には1分45秒307をマーク。昨年のマックス・フェルスタッペンがFP1で出した記録を、早くもコンマ5秒以上上回った。
その後はルイス・ハミルトン、ダニエル・リカルドが次々に1分44秒台に突入。開始後30分過ぎ以降は、レッドブルの2台がメルセデスやフェラーリを置き去りにする形で、交互に最速タイムを出し合う展開となった。しかしセッション中盤には同じウルトラソフトを履いたハミルトンが、1分42秒904をマークした。
36分過ぎ、ランス・ストロールが「エンジンに問題」と無線で伝えながら、ゆっくりピットに向かった。結局トラブルはギヤボックス由来であることが判明している。
17時24分には、13番手を走っていたフェルナンド・アロンソが「パワーがない」と訴える。ストフェル・バンドーンはこのサーキット初走行だが、9番手に付けている。アロンソの問題はデプロイに関するものだったようで、数周後には首位フェルスタッペンからコンマ9秒落ちの6番手タイムを叩き出した。しかしアロンソ自身は、「トップタイムを出せた!」と不満そう。何に文句を言いたいのか。
目まぐるしくトップの変わったFP1だったが、最終的にセッションを制したのはリカルド。1分42秒489のタイムは、すでに昨年のニコ・ロズベルグのPPタイムを約コンマ1秒しのいでいる。コンマ1秒落ちで、セバスチャン・ベッテルが2番手。開始後1時間以上、レッドブルとメルセデスの後塵を拝していたが、ようやく本来の速さを発揮した形だ。しかしキミ・ライコネンは約1秒遅れの7番手に終わっている。
4番手のハミルトンは、フェルスタッペンにコンマ3秒及ばず。ボッタスはセルジオ・ペレスに割って入られて6番手だった。アロンソは8番手。バンドーンも11番手まで順位を上げ、今後のセッションに期待を抱かせる速さを見せた。