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【WEC基礎講座】LMP1、LMP2、GTEプロ/アマ、速さの異なるクラスが混走するWEC。各クラスの違いは

2017年09月15日 15:42  AUTOSPORT web

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2017年よりポディウム直下のスペースに各クラスの優勝マシンが並べられるようになった。
世界三大レースのひとつである『ル・マン24時間』をシリーズの1戦に組み込むWEC世界耐久選手権。静岡県・富士スピードウェイでは今年もシリーズ第7戦富士6時間レースが10月13~15日に開催されるが、そもそもWECとはどのようなシリーズなのか、WEC富士の前におさらいしておこう。今回はWECを構成する4つのクラスについて紹介する。

 WECはプロトタイプレーシングカーで争われるLMP1クラスとLMP2クラス、市販量産車を元に開発されたGTカーで競うLM-GTEプロクラス、LM-GTEアマクラスの4クラスに分けられている。

 LMP1とLMP2、ふたつのプロトタイプクラスのうち最高峰のLMP1クラスは、自動車メーカーのワークスチームやメーカーの支援を受けたチームが参戦するクラス。基本的に各社が独自に開発したシャシー、パワートレーンを用いたマシンによって争われる。

 そんなLMP1クラスのなかにはハイブリッドシステムを搭載するLMP1-Hと非搭載のLMP1とがあり、トヨタとポルシェはともにLMP1-Hに属する。対するLMP1は今季、ニッサン/ニスモエンジンを使用するチーム・バイコレスが唯一参戦していたが、2018年型マシンの開発に注力するため、シーズン後半戦の参戦を見送っている。
 
 新シャシーの採用とエンジンのパワーアップによって昨年より格段にスピードアップを果たしたLMP2クラスは、カスタマーチームがコンストラクターから市販シャシー、エンジンを購入して争うクラスだ。

 車体に関してはWECを運営するFIA国際自動車連盟ならびにACOフランス西部自動車クラブは2017年、車両規定の改定にあたりLMP2シャシーの供給元をオレカ、オンローク(リジェ)、ダラーラ、ライリーの4社に限定。

 そのため各チームは4メーカーのシャシーの中から自由に使用マシンを選ぶことができるが、今季は近年のル・マンやWECシリーズ戦で高い実績をあげているオレカに人気が集中。全チームがオレカの新型マシン『オレカ07』を導入している。

 エンジンに関しても今シーズンよりギブソン製4.2リッターV8エンジンのワンメイクとなったため、参戦する全7チームのマシンがまったく同じマシンパッケージとなった。それゆえに毎戦拮抗した戦いが展開されている。

 LM-GTEプロクラスはフェラーリ、ポルシェ、アストンマーチン、フォードといった世界の名だたる自動車メーカーが開発したLM-GTEマシンによって争われるクラス。

 参戦する4メーカー中3メーカーは2016年、FIA-GT3マシンとの差別化を図った新規定に合致する新型マシンを用意したが、ポルシェは1年遅れて、2017年からエンジン搭載位置を変更した新型ポルシェ911 RSRを導入。『ポルシェ911』が伝統のリヤエンジンレイアウトからミッドシップ化されたことで、大きな注目を集めた。

 そんな大規模なマシン開発も許されるGTEプロクラスでは、車体構造やエンジン型式、搭載位置の違いによって各車に大きな差が生まれないよう、スーパーGT300クラスやブランパンGTシリーズなどのGT3レースで採用されているBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によってマシン性能の均等化が図られている。

 GTEプロクラスと同様にBoPが採用されているLM-GTEアマクラスは、その名の通りアマチュアドライバーを擁するチームが参戦するクラス。各チームは2~3名のドライバーのうち、1名以上はジェントルマンドライバーを起用しなければならない。

 使用するマシンについても制限があり、基本的にはGTEプロクラスと同じ市販のLM-GTEマシンを用いるが、1年以上前の型式であることが条件となる。このため、前述の新型ポルシェ911 RSRは使用できず、GTEアマクラスのポルシェユーザーはエンジンをリヤに搭載する旧型マシンで参戦している。

 各クラスは判別しやすいように色分けされており、それぞれのクラス色のゼッケン、クラス表記ステッカーが車両前後と両サイドに貼り付けられている。LMP1はレッド、LMP2がブルー、GTEプロはグリーン、GTEアマがオレンジとなっているため、これらを目印にすればWEC観戦が初めての方でも簡単に見分けることが可能だ。

 タイヤに関しては、ミシュランとダンロップの2社が各クラスにタイヤを供給。LMP1クラスはミシュラン、LMP2クラスはダンロップがそれぞれ実質的なワンメイク状態となっているがGTEプロ、アマクラスではチームごとに使用銘柄が分かれている。