スーパー耐久耐久2017 レースレポート
第5戦 3号車 富士スピードウェイ
[予選/9月2日(土)] 3号車 4位
Aドライバー/YUKE TANIGUCHI……4位 PM 12:45~(15分間)ドライ
Bドライバー/山内英輝……1位 PM 1:25~ ドライ
Cドライバー/元嶋佑弥……7位 PM 2:05~ ドライ
前戦のオートポリスでは、リタイアに追い込まれてしまい、まさかのノーポイント。これでランキングは4位にまで後退してしまう。ただ、トップとの差は12ポイント。
今回の富士はシリーズポイントが通常のレースの1.5倍となっているため、上位でチェッカーを受ければ、ふたたびトップに踊り出ることもできる。いろいろな意味で重要なレースとなった。
今夏は40℃に迫ろうかという猛暑が続いたかと思うと、今度は各地で大ダメージを受けた長雨。で、この週末は……と言うと、大型の台風が接近。
ひょっとしたら……とも思われたが、日本列島の手前で進路は右に変更。これでほとんど雨が降ることもなく、無事に開催した。
この週末は逆に寒く感じるほどで、予選が始まる12時過ぎでも外気温度は23℃足らずだった。
午後1時過ぎ、A(ジェントルマン)ドライバーによる予選が始まる。YUKE TANIGUCHIは、まず1分43秒台をマークしてクラス2番手、翌ラップには1分42秒141をマークしてトップに躍り出る。
しかし、その直後にフェラーリ勢が41秒台を叩き出し、最終的にYUKE TANIGUCHIはクラス4番手で終える。続くB(プラチナ)ドライバーの予選、山内が魅せた。
前戦の悔しさを晴らすかのような快走で、3ラップ目に40秒台をマーク、このセクションの2番手に付ける。さらに連続してのアタック。各セクションでベストタイムを更新しながら1分40秒331をマーク。タイムモニターの最上段に山内の名前が映し出された瞬間、ピット内には歓声&拍手が沸き起こった。
コースから戻ってきた山内にメカニックも祝福、山内も顔をくしゃくしゃにして応えた。もちろん、喜んでばかりいられない。A+Bドライバーの合算タイムで決まる最終予選順位は4位。決勝レースでトップチェッカーを目指すべく、気持ちを入れ替えて明日に備える。
[決勝/9月3日(日)] 3号車 7位
AM 7:58 スタート
10時間レース(PM 5:59チェッカー)
ドライコンディション
今回の富士ラウンドの決勝レースは10時間。N1時代を含めれば30年近くにまで歴史を積み重ねてきたスーパー耐久。最も長いレースは10年前まで十勝スピードウェイで行われていた24時間。その次に長いのが、92年に筑波サーキットで組まれていたナイター12時間。これに次ぐのが今回の10時間だ。
過去に24時間などを経験している当チームにとって、10時間というレースに対しての組み立てはできている。ただ、これまでとは大きく違うこともある。
24時間レースの時は、ブレーキキャリパーやローターの交換を前提にしているため、ブレーキラインはワンタッチで接続できるように対策している。しかし、今回のレースではGTマシンのレギュレーションが基本になっているため、変更は認められていない。
もちろん、昨シーズン、FIAに申請した耐久レース用キャリパー[エンデュランスキット]を装着している。このキャリパーは当エンドレスがニスモから発注を受けて開発した専用のキットでもある。
サーキットによって変わってくるが、耐久専用のため10時間以上を無交換で走れることを前提に開発したキットだ。とはいえ、攻め続けるわけにはいかない。ローターやパッド、さらにはタイヤの摩耗状態を見ながらの走りになる。簡単に言えば抑えないといけないシチュエーションも出てくる。
ちなみに今回の10時間では7回のピットストップ。プラチナドライバーで登録されているBドライバーの山内の走行時間は、4時間(全走行時間の40%)以内。
Aドライバー登録のジェントルマンドライバーは2時間(全走行時間の20%)以上。セーフティカーがコースに入った場合、ピットストップが禁止という特別ルールが採用されている。
さすがに富士の朝8時は20℃には達しない。夏のつもりでいると寒ささえ感じる。そんななかでのスタートだ。
7時58分過ぎ、SC(セーフティカー)がコースから抜け、10時間先のチェッカーを目指し、スタートが切られる。当チームのGT—Rのステアリングを握っているのはCドライバーの元嶋。まずまずのスタートを切り5番手を守る。
トップのフェラーリから当チームのGT-R、さらには6番手のポルシェが3秒以内でトップ集団を形成。20ラップ過ぎ、フェラーリがやや逃げ出すが、ST-5クラスなどの集団が現れると、すぐに詰まるという展開が続く。
各ドライバーが無理をしていないというのもあるだろうが、付かず離れずの展開で1時間が過ぎる。元嶋は44ラップを走りきったところでピットストップ。タイヤ交換、ガス給油してYUKE TANIGUCHIにスイッチ。5番手のままコースに戻る。
YUKE TANIGUCHIも1分44~45秒台で安定した50ラップ過ぎ、当チームに対し「黄旗無視」によるドライブスルーのペナルティがだされる。これで7番手に後退。すぐにYUKE TANIGUCHIは6番手に上がるが、トップからは大きく引き離される。
当初、YUKE TANIGUCHIが1時間以上走る予定だったが、急遽、72ラップ目、山内に変更して対応する。山内は43秒台でのラップ、ペナルティで遅れた分を取り返しに入る。
スタートから3時間が過ぎた直後の105ラップ過ぎ、コース上にオイルが出て、コースの外に飛び出すマシンが続いたため、107~110ラップ(11:07~11:24)SCがコースに入る。
これでトップからの遅れを1分強、ポジションも5番手にまで戻す。120ラップ過ぎ、ふたたび、元嶋にスイッチ。ここでもタイヤはリヤのみの交換にして、ロスを抑える。
166ラップ過ぎ、4回目のピットストップ。YUKE TANIGUCHIが2回目のステアリングを握る。1回目の走行が50分弱だったため、20%の2時間をクリアするため、ここではフル満タンでコースに戻る。
YUKE TANIGUCHIは遅いマシンがいると47秒台にまで落ちるがクリアな状況では44~45秒と安定した速さでラップを重ねていく。規定時間の2時間も超えた209ラップ目、5回目のピットストップ。
山内にスイッチ。すでにピットストップのタイミングが各チームと変わりだしているため、正確な順位は不明だが3~4番手あたり。山内が3番手を確実にするべく追い上げる。
しかし、山内が走る前に黄旗無視があり、2回目のドライブスルーのペナルティを受けることになり、ポジションは5番手に落とす。これで完全に抑えていられなくなった当チームは、山内にプッシュの指示。
ときには42秒台を叩き出す43秒台での追撃。236ラップ目には4番手との差が6秒台にまで詰まる。ライバルのピットストップもあり、3番手に上がった254ラップ目、6回目のピットストップ。
元嶋が乗り込み、5番手でコースに戻る。元嶋も42~43秒台でのラップで前車との差をつめていく。しかし、263ラップ目にST-3クラスのマシンと接触。フロント右側のタイヤがバーストした状態でピットに戻ってくる。
タイヤ交換+チェックで済めば、まだチャンスはあったが、アップライトまでダメージはいっていた。ガレージ内にマシンを戻し、メカニック全員で修復に入る。約33分後にコースに戻すことはできたが、トップからは21ラップ遅れの8番手、7番手のメルセデスとの差も10ラップ。
結局、8番手でのチェッカーを受けるにとどまった。レース後、3番手でチェッカーを受けたフェラーリがDドライバーの裁定義務周回数の違反で降格。当チームは最終結果では7位に上がったが、チャンピオン争いからは完全に脱落することになってしまった。
富士の10時間は「黄旗無視」という2回のミス。結果的にこれが命取りにもなってしまった。チャンピオン奪還という大きな目標は潰えたが、今シーズン、一度もできていない勝利をつかみ、2018シーズンに繋げる最終戦の岡山になるべく挑みたい。
スーパー耐久 2017 レースレポート
第5戦 13号車 富士スピードウェイ
[予選/9月2日(土)] 13号車 5位
Aドライバー/小河諒 5位 PM 1:00~(15分間)ドライ
Bドライバー/高橋翼 6位 PM 1:40~(15分間)ドライ
Cドライバー/花里祐弥 10位 PM 2:20~(15分間)ドライ
Dドライバー/村田信博 6位 PM 2:45~(15分間)ドライ
前戦のオートポリス終了時点で、ランキングトップの86号車との差は24ポイント。自力でチャンピオンを獲得するには、今回の富士で86号車より前でなおかつ2位以上が絶対条件。これができないと、この富士で連覇の夢は絶たれてしまうことになる。
ただ、厳しい状況はこの富士でも変わりなかった。今回はその差をわずかでも詰めるべく、サスペンションを見直して挑むことになった。
迎えた第5戦の富士ラウンドは、昨シーズンの9時間を上回る10時間レース。長丁場のレースだ。「わずかなミスなら取り返せる」と思われがちだが、それはトップのチームの話で、現在の当チームのように追いかけるチームではミスは許されない。
ミスがなくて完璧な展開でようやく対等に戦えるという状況だからだ。また、今回はレギュラードライバーの小河/高橋/花里に加え、昨シーズンまでステアリングを握っていた村田も加えた万全の体制で挑む。
Aドライバーによる予選1回目。小河はほぼ完璧なアタックを見せるが5番手に終わる。予想通り、トップに付けたのは86号車。当チームよりコンマ8秒速い。
ポジション的にはこれまでと大きく変わらないが、マシンの状態などはいい。チャンスは十分にあるはずだ。しかし、高橋が走るBドライバーの予選で、予想をはるかに超える走りをS2000が見せた。
なんと、当チームの高橋よりも2秒以上も速く、86号車と比べても1秒も速いタイムを叩き出した。もちろん、これまでも十分に速かったS2000だが、今回は大きな存在になるのは必死だった。
結局、A+Bドライバーの合算タイムで決まる総合順位は5番手。ここまで3連続ポールだった86号車が2番手に終わったため、この時点でランキングポイントが引き離されることはなくなった。
決勝/9月3日(日)13号車 4位
AM 7:58スタート
10時間レース(PM 5:59チェッカー)
ドライコンディション
10時間となった決勝レース。昨シーズン同様、セーフティカーがコースに入っている時は、ピットストップできない特別ルール。ピットに入れば3分間のピットストップのペナルティとなる。この他には義務づけられているピットストップの回数は、通常の3回から7回に変更。
とにかく、追いかける状況の当チームだがミスは絶対に許されない。99%での戦いではチャンピオン争いには生き残れないし、101%の走りでミスっても終わってしまう。100%の完璧な状態で戦わないといけないのだ。これまでにない緊張した戦いだ。
7時58分、セーフティカーが抜け、スタートが切られる。スタートドライバーの小河は、まずまずのスタートを切るが2ラップ目には6番手、3ラップ目には7番手とポジションを落とす。
数ラップ後にはラップタイムで20秒近くも速いST-Xのマシンが迫ってくる。ラインを譲りつつラップしないといけない。トップ集団は当チームの予選タイムより速い58秒台で走っている。
さすがに付いていけるような状況ではなかった。小河は8番手での走りに徹する。40ラップ過ぎ、最初のピットストップ。高橋にスイッチする。
ロスを最小限に抑えるためタイヤは交換しない。8番手のままコースに送り出すことができた。50ラップ過ぎ、ほとんどのチームのピットストップが終わったところで5番手にまで上がる。60ラップ過ぎ、58~59秒台でラップするトップ2台との差は約90秒、4番手に付けるハチロクとの差は約43秒。厳しい戦いが続く。
70ラップ過ぎ、2回目のピットストップ。花里にスイッチ。6番手のポジションで淡々とラップを重ねていき、83ラップ過ぎ、3回目のピットストップ。ふたたび、小河がステアリングを握る。
7番手でラップを重ねていた90ラップ過ぎ、コースにオイルが出てコースアウトするマシンが数台したところ(スタートから約3時間強が経過した11時07分~11時24分/93~97ラップ)で、セーフティカーがレースをコントロールする。
トップ4台が同一周回、5番手以降はラップ遅れとなる。ただ、6番手のロードスターとの差は詰まっている。110ラップ過ぎには6番手まで戻す。
135ラップ、ふたたび、花里がステアリングを握る。6番手のポジションをキープ。150ラップ、小河がマシンに乗り込むがタイヤは交換しない。なかなかポジションアップできないまま時間は過ぎていく。175ラップ過ぎ5番手に浮上。
199ラップすぎ、当チームは最後のピットストップに入る。高橋の追い上げにすべてを託す。86号車のハチロクと93号車のS2000トップ2台は依然として58秒台のバトルを繰り広げている。
3番手には55号車のハチロク、40号車のロードスター、さらには当チームのハチロクが続く。ロードスターが後退する間に4番手に浮上。241ラップ過ぎ、55号車のハチロクがピットストップ。
これで3番手に浮上する。263ラップ目、再度、55号車がピットに入り、ガス補給。その差は30秒強に広まるが、55号車は59秒台で迫ってくる。高橋もペースを上げて逃げる。
チェッカーまで40分を切る。3番手のポジション=表彰台をかけての熱いバトルが繰り広げられる。2015シーズン以来、続いている連続表彰台をここで切りたくはない。
チェッカーまで残り10分。その差は20秒近くある。残り8分。トップ争いを繰り広げていたS2000がバースト。ピットに戻りふたたびレースには復帰するが4番手でラップを受けるにとどまった。
最終的に55号車の追撃から逃げ切り、当チームはクラス2番手でチェッカーを受けることに成功。これで連続表彰台は14に更新。ただ、86号車が優勝。この時点で2017シーズン ST-4のクラスチャンピオンは、86号車に決まってしまい、残念ながら当チームの連覇の夢も断たれてしまった。
まだ、今シーズン、クラス優勝していない当チームは、なんとか優勝を決めるべく最終戦の岡山に乗り込む。