F1第14戦シンガポールGPの木曜FIA会見は、マクラーレン・ホンダの離別騒動で来季が注目されるフェルナンド・アロンソと、その余波でルノーのシートを失うと噂されるジョリオン・パーマーが出席し、前戦イタリアGPでオーバーテイクを巡って一悶着あった2人が今度は来季を巡って因果関係にあるだけに、注目を集めました。
5分遅れで始まった会見は、まずアロンソに対する質問からスタート。
アロンソはF1が最優先であることを改めて強調し、今はマクラーレンのパワーユニットに関する決定を待っているところで、それを受けてチームとの話し合いを進めると説明しました。
「F1が第一優先であることに変わりはないし、それ以外に優先するものはない。まずは現所属チームであるマクラーレンの決断を待ってから考え、交渉する。他のシリーズのことを考えるのはそれからだ。まずはチームに対する忠誠心を保ち、彼らが決断する前には何も決めない。だから今はリラックスしているし、これから何が起きるか見守るだけだよ」
しかしすでにマクラーレンの決定は下っていると見られるため、これはあくまで“公式発表”的なコメントであるのは明らかで、会場もやや白けた雰囲気に。
一方、アロンソの熱望によってマクラーレンがホンダからルノーにスイッチし、トロロッソのカルロス・サインツJr.が違約金代わりにルノーへトレードされて、巡りめぐってパーマーがシート喪失の危機に立たされていると噂されたことについて、パーマー本人はあくまで冷静な表情でこれをはっきりと否定しました。
「僕にはあと7戦を走る契約がある。次のレースでは乗れないんじゃないかなんて話は今までも出たことがあったし、こういう噂も別に目新しいことじゃない。そんなの何の意味もないよ。今年ずっとそうだったし、別に何も変わらないよ」
F1では契約などどうとでもなると言われますが、その可能性を問われてもなお「僕はマレーシアにもいるはずだし、アブダビまでレースをし続ける」と明言。
そして、ここ数戦は時にはニコ・ヒュルケンベルグを上回る走りを見せていることを示し、ポイントが獲れていないのは不運によるところもあると説明しました。
「クルマが走らないんじゃポイントを獲ることなんてできない。イギリスGPでは調子が良かったのにトラブルでスタートすらできなかったし、アゼルバイジャンGPも完走が11台でザウバーもポイントを獲っていたのに、うちは5~6周でリタイアだ。信頼性がこのレベルではかなりキツいよ。チームは改善すべく必死に努力してくれているし、今後数戦ではそれに終止符を打ち、速さと信頼性があればようやくポイントが獲れるはずだよ」
イタリアGPでの無線でのパーマーに対する暴言については、スチュワードの裁定に対する怒りであってパーマー個人に対するものではないとアロンソは釈明しました。
「彼(パーマー)に不満だったんじゃなく、スチュワードとFIAに対してだ。明日のドライバーズブリーフィングで話すつもりだけど、それほど多く語ることはない。彼らをミスを犯し、そのことを理解している。だからこれ以上多くを語る必要はないんだ」
アロンソの行動がパーマーを危機に追いやっているという指摘についても「ニュースのせいだろ」と気にしていない様子。
今年のインディ500に参戦した際には、モナコGPとル・マン24時間とインディ500の世界三大レース制覇を目指していると語りましたが、2018年に関してはあくまで同日程開催のモナコGPの方を優先すると言います。その理由は、来年もF1に残っているということは優勝争いができる環境が手に入るということだからというもの。
「来年何をやるにしても、僕は勝ちたいからその選択肢を選ぶ。トップ10や15位を争うようなレースはしない。選択肢はたくさんあるし、それを学んでいるところだ。世界三大レース制覇は今も引き続き狙っているけど、来年もF1に残っているとしたらそれは勝てるクルマだからだ。それならポイントを失いたくないから(インディ500)ではなくモナコGPを優先する。F1で勝つことが最優先であり、3冠達成は二の次だよ」
マクラーレンがルノー製パワーユニットにスイッチしたとして、本当に勝てるようになると思っているのでしょうか? 勝つまではいかなくても、上位争いができれば良いのでしょうか?
「僕のファンにとってもモータースポーツファンにとっても素晴らしい2018年になると思う。計画は進行中だし、とても良いニュースが間もなく届けられると思うよ」
やや傲慢にさえ聞こえるそんな発言も、アロンソだからこそ許されること? 誰もがトップドライバーの1人と認めるアロンソが上位争いに加われば、それは確かにF1全体にとってもポジティブなことだと言えるでしょうが……。