内閣府が8月末に発表した報告書「地域の経済2017」によると、神奈川県で年間1人あたりが負う通勤コストは、97万7000円で、全国で最も高かった。通勤時間が短い宮崎県や青森県などと比較すると、年間でおよそ70万円を通勤により損失している現状が浮き彫りになっている。
神奈川県の「15~24歳」は、往復約2時間半かけて通勤している
同報告書では、各都道府県の15歳~64歳を10歳ごとに5つに分類。通勤時間に平均時給をかけて通勤による機会費用(通勤コスト)を算出した。
神奈川県は1日あたりの往復通勤時間が長く、全年代の平均で120分近くに上っている。中でも「15~24歳」では148分と特に長くなっている。
年間の通勤コストの全年代平均で見ると、神奈川県が97万7000円で最も高い。2位以降は東京都(96万2000円)、千葉県(80万2000円)、埼玉県(78万7000円)となっており、首都圏が上位を占めた。5位以降は奈良県(69万2000円)、兵庫県(67万4000円)、大阪府(67万3000円)と、近畿地方がランクインしており、都市部ほど通勤コストが上がることがわかる。
一方で、全国で最も通勤コストが低いのは宮崎県で31万2000円。青森県(32万3000円)、岩手県(35万7000円)、大分県(35万9000円)、鳥取県(36万円)など、東北や九州では全般的に通勤コストが安い。神奈川県と宮崎県の差は、約70万円に及ぶ。
この結果を受けて内閣府は「職住近接の実現に向け、テレワークの推進や企業や政府関係機関の地方移転が進められている。働き方や働く場所の多様化を通じて、社会的な損失を抑制していくことが求められている」としている。