小学生のスマートフォン所持率は60%を超えるなど、スマホ使用の低年齢化が進んでいる。しかし、未成年者のスマホ利用においては、メッセージアプリで見ず知らずの人と繋がって犯罪に巻き込まれたり、大人の目の届かないところでいじめが発生するリスクを心配する声も多い。
こうした中、神奈川県のIT企業Hameeは9月12日、親が子どもの会話内容を見ることができるメッセージアプリ「Hamic」(はみっく)をリリースした。アプリでコミュニケーションを取りたいという子どもの思いと、子どもの安全を確保したい保護者、双方のニーズに答えた形だ。
「不安を解消したい」という親のニーズに応える
広報担当者によると同アプリは当初、自社製品Hamic BEARと連動した使用を前提に開発されていたという。Hamic BEARは、スマホを持たない子どもが親や友達と連絡を取り合うためのコミュニケーションツール。クマ型の置物内部に人工知能が搭載されており、クマに向かって話しかけた音声が相手の持つHamic BEARやアプリに届き、会話できる仕組みだ。
しかし、開発中の調査で「親が見守れるアプリだけでも需要がある」と判断。自分のスマホを持っている小学1年生~小学4年生とその保護者をターゲットに、アプリ単体でのリリースを決めたという。
「大人の目が届かないコミュニケーションアプリでは、知らない人と繋がって、実際に会って誘拐されてしまう危険性、子ども同士の何気ない会話からいじめに発展する怖さがあります。こうした不安を解消したいという親御さんのニーズに応えたいと思いました」
アプリ内で友だち登録できる人数に制限はないが、電話番号やメールアドレスを知っている人に限定されるため、ID検索等で見知らぬ人と簡単に繋がる心配がない。保護者の他、友達、先生、祖父母など、実質的に顔見知り同士だけが交流できる仕様になっている。
一番の特徴は親が自身の端末から、アプリ内で子どもが他の人と会話した内容を確認できる点だ。確認に際し、会話相手から許可を取る必要はない。会話に親が参加することは出来ないものの、トラブルが起きそうな気配を察知すれば、子どもに直接話を聞いたり助言したりすることで、大きな問題になるのを防げる。
「メッセージをやりとりする楽しさ、嬉しさを感じてもらえたら」
保護者としては、子供を常に目の届く範囲に置いておけるため心強いことだろう。しかし子どもにとっては、会話時に常に親の目を気にしなければならないなど煩わしさもある。子どもが積極的に使いたがるのか、という懸念について広報担当者は次のように語る。
「一般のメッセージアプリに不安があり、そのようなアプリの使用を許可していない小さな子供がターゲットですので、例え親に見られることが気になっても、コミュニケーションニーズは高いので、喜んで使って頂けると思います」
保護者の見守りがあるものの、子ども自身が直接コミュニケーションをとることで、自発的な発信・会話をする力が育つという。伝えたい時、伝えたい相手に自由に言葉を送ることで、「メッセージをやりとりする楽しさ、嬉しさを感じてもらえたら」とも話していた。今後は、サービスの普及とニーズを見ながら、GPS機能など、メッセージ機能以外の追加も検討していく予定だという。