Yahoo!不動産に、25LDK、温泉付きの物件が掲載され、ネットで話題を呼んでいる。物件があるのは、福島県の土湯温泉街を更に進んだ、奥土湯と呼ばれる場所。東北新幹線の福島駅から16キロほど離れたところだ。
2011年まで旅館として営業していたが、廃業後、2016年末まで原発作業員の宿舎として利用されていたという。
電気代の基本料金が月10万、温泉利用料として更に月10万円必要
築56年と年数は経っているものの、1977年と1990年に増築・改修を行っているためか、写真からは著しく古びた様子は見られない。木造・鉄骨鉄筋コンクリート・鉄骨から成る3階建てで、
「温泉の泉質は単純温泉、泉温は62.2℃。(中略)安達太良山の北麓に位置するので平野部より雪は多いが、除雪に悩まされるほどではなさそう」
とのスペックだそうだ。ネットでは「何かの寮にして使ったら良さそう」「世田谷一戸建ての半額くらいと考えるとヤバい」など、珍しい物件に好奇の目が注がれていた。
キャリコネニュースでは現在物件を所有している福島市の不動産会社に取材をした。Yahoo!不動産には今年6月から掲載されているが、同社の代表は売却を決めた理由を「維持費が大変だから」と明かす。
この建物は沢の水をろ過して使用するため、水道代はかからないとのことだが、
「電気は基本料金だけで月々10万円、温泉を利用すれば、温泉利用料が10万円」
と、月々の光熱費だけで最低20万円必要らしいのだ。ここに固定資産税が加われば、持っているだけでも大きな出費になる。
食堂の大型冷蔵庫などの設備付きで売却 事業を始めたい人にはおすすめ
購入後の使い道に縛りは無いため、一軒家として活用することも出来なくはないとのことだが、費用面を考えると現実的ではないだろう。「温泉旅館や保養所のほか、高齢者向けデイサービスなども考えられるのではないか。周囲の旅館では、日帰り温泉を多くやっているようだ」と、何らかの施設として営業するほうが良いとの見方を示した。
ネットで話題になったことに関しては「(多くの人が)興味半分だとは思うけれど」と笑う。「食堂の大きな冷蔵庫など、設備も付けたまま売却する」ため、新しく事業を始めたい人にはお勧めだと言う。
販売を仲介していた業者は、9月13日に取り扱いを中止したというが、所有する不動産会社の代表は「うちで旅館や保養所を営業するつもりはないので、売りたい気持ちは変わらない」と強調していた。