モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第26戦リッチモンド モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第26戦リッチモンド
レギュラーシーズン終了。
トヨタ勢は4人が“プレーオフ“に進出
“プレーオフ”前最後のレースとなったリッチモンドでは、トヨタ勢がレースの大半を支配したが、チェッカー目前に発生したイエローコーションからの2周スプリント“オーバータイム”でマーティン・トゥルーエクス・Jr.がクラッシュ。デニー・ハムリンが最上位の5位に終わった。
しかし、マット・ケンゼスが“プレーオフ”進出を決め、トヨタ勢は4人が“プレーオフ”でタイトルを争うこととなった。
エクスフィニティ・シリーズではカイル・ブッシュが首位を争うも勝利には届かず、2位でチェッカー。スポット参戦のクリストファー・ベルが6位フィニッシュ。ルーキーのマット・ティフトが13位フィニッシュで“プレーオフ”進出を決めた。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第26戦 Federated Auto Parts 400
開催日:9月9日
レギュラーシーズン終了。
トヨタ勢は4人が“プレーオフ“に進出
9月9日(土)、アメリカ東部バージニア州リッチモンドのリッチモンド・インターナショナル・レースウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第26戦「Federated Auto Parts 400」が開催された。
年間全36戦で争われているNASCARカップ・シリーズは、終盤の10戦、選抜された上位ドライバーのポイントをリセットする“プレーオフ”でタイトルを争う。
今大会リッチモンドは、“プレーオフ”に入る前の最後の1戦。“プレーオフ”は今季の勝者とランキング上位から16名が選抜されるが、トヨタ勢では既に、最多の4勝を挙げているマーティン・トゥルーエクス・Jr.、2勝を挙げているカイル・ブッシュとデニー・ハムリンが進出を決めている。
今季たびたび上位を走りながらも勝利に恵まれていないマット・ケンゼスはポイントランキングで進出圏内に入っている。しかし、未勝利者の最後の3つの席を、ケンゼスを含む3名が僅差で争っているため、もし、ランキングで下位ながら未勝利のドライバーが今大会勝利を挙げると、その3名のうち1名がはじき出される。
また、今季よりカップ・シリーズにフル参戦しているルーキー、エリック・ジョーンズとダニエル・スアレツもランキング30位以内という条件は満たしているため、もしこのレースで勝利を挙げればルーキーシーズンでの“プレーオフ”進出を果たせる。残り3つの“プレーオフ”行きの切符を目指しての激しい戦いが繰り広げられた
リッチモンドは、NASCARが始まるよりも古い1946年開設という伝統のコース。年2戦行われているが、秋の大会は“プレーオフ”(以前は“チェイス”)入り直前、レギュラーシーズン最後のレースの舞台として恒例となっている。
ここリッチモンドではカイル・ブッシュが過去4勝、地元バージニア州出身のハムリンが3勝と複数勝利を挙げている。ハムリンは昨年の秋に勝利、一昨年の春にはケンゼスも勝っており、“プレーオフ”入りへ向けた活躍に期待がかかった。
9日(土)美しい夕焼け空をバックにしたトヨタ・カムリのペースカー先導による4列でのパレードラップに続き、午後7時48分、0.75マイルオーバルを100周、100周、200周の3ステージ合計400周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。
今季2度目のポールポジションを獲得したケンゼスが好スタートで後続を引き離し、2番手スタートのハムリンに、5番手からスタートを切ったトゥルーエクス・Jr.が追いつき、2位争いを展開。序盤からトヨタ・カムリがトップ3を占めてレースを支配した。
終盤にイエローコーションが出され、再スタートを決めたカイル・ブッシュがステージ1を制覇し、今季11度目のステージウイン。ケンゼス4位、トゥルーエクス・Jr.が5位、エリック・ジョーンズが7位に入った。
ステージ2も序盤からトヨタ勢がトップ3で走行。イエローコーションの全く出ない展開となり、序盤首位を走行していたカイル・ブッシュはタイヤの摩耗に苦しみ後退。
トゥルーエクス・Jr.が今季18度目のステージウィンを飾り、ケンゼスが2位、エリック・ジョーンズが3位。カイル・ブッシュは10位でボーナスポイントを獲得した。
ステージ3もトゥルーエクス・Jr.が好調に首位を走行。トゥルーエクス・Jr.は、このステージ3の間に、今季の首位走行周回数が1500周を突破。昨年に続き2年連続の1500周リード記録を達成した。
ケンゼスは、日が落ちて気温が下がっていくなかでハンドリング不調に見舞われ徐々にポジションダウン。
255周目にこの日3度目となるイエローコーションが出された際、ピットロード入り口付近に止まっていた救急トラックを避けようとした前車が突然フルブレーキングし、直後にいたケンゼスは避けられずに追突。車両前部にダメージを負い、ケンゼスのレースはここで終わることとなってしまった。
このコーションから4位で再スタートを切ったトゥルーエクス・Jr.は、すぐに首位を奪還。後続を引き離していき、残り10周の時点で2位に4秒もの大差をつけ独走。
そのまま今季5勝目かと思われた残り3周、クラッシュ車両によるイエローコーションが発生。レースは延長され、最後の2周“オーバータイム”で決されることとなった。
全車ピットへ向かい、新品タイヤでの2周スプリントへ。再スタートでトゥルーエクス・Jr.はライバルの先行を許し、3位のハムリンとともにファイナルラップでの逆転を狙ってアタックしたが、トゥルーエクス・Jr.とハムリンのラインが交錯し、2台は接触。コントロールを失ったトゥルーエクス・Jr.は壁に激しくクラッシュしてしまった。
レースはこれにより出されたイエローコーションのままチェッカー。トヨタ勢はハムリンが5位、エリック・ジョーンズが6位、スアレツが7位、カイル・ブッシュが9位でフィニッシュ。
しかし、未勝利ドライバーではなく、既に勝利を挙げていたドライバーが今大会勝ったことにより、ケンゼスは“プレーオフ”進出を決定。トヨタ勢は、マーティン・トゥルーエクス・Jr.が最多のボーナスポイントを経て首位、カイル・ブッシュが3位と有利な位置。
そしてハムリンとケンゼスを加えた4名が“プレーオフ”進出を決め、次戦からの10戦でタイトルを争う。3戦ずつ終わるたびに、下位4名が脱落していきポイントをリセット(プレーオフポイントのみ持ち越し)、最終戦に残った4名のうち最上位でフィニッシュしたドライバーがチャンピオンとなる。
次戦第27戦は9月17日(日)、アメリカ中部イリノイ州ジョリエットのシカゴランド・スピードウェイで行われる。
ドライバー デニー・ハムリン
「我々(ハムリンとマーティン・トゥルーエクス・Jr.)は本当にぎりぎりのバトルをしていた。ターン進入でブレーキングしたときに車両前部が路面に擦ってしまい、避けられなかった」
「不運なクラッシュで、望んでいた結果ではない。彼(トゥルーエクス・Jr.)は素晴らしいチームメイトだ。我々にとっては厳しい一日だった。レースを通してずっと苦しんだ。終盤は調整の甲斐ありやや良くなったが、そこまでだった」
NASCAR XFINITY SERIES
第25戦 Virginia529 College Savings 250
開催日:9月8日
カイル・ブッシュが惜しくも2位
ルーキーのマット・ティフトが“プレーオフ”進出確定
9月8日(金)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第25戦「Virginia529 College Savings 250」がリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで開催された。
カップ・シリーズはここリッチモンドがレギュラーシーズン最後のレースとなるが、エクスフィニティは終盤の7戦で12名により“プレーオフ”が行われるため、レギュラーシーズン最後のレースは次戦シカゴランドとなる。
トヨタ勢ではランキング7位につけるルーキーのマット・ティフトがプレーオフ入りの可能性が高いほか、ダコダ・アームストロング、J.J.イェリーも残り2戦で勝利を挙げればプレーオフ入りの可能性を残している。
エクスフィニティ・シリーズのリッチモンド戦では、カイル・ブッシュが通算7勝(うちトヨタで5勝)を挙げており、昨年秋の大会も制している。
今大会はカイル・ブッシュとティフト、そして今季トラック・シリーズに参戦し、目下最多勝利でランキング首位につけるクリストファー・ベルがスポット参戦。
トラック・シリーズは近年リッチモンドでのレースが行われていないため、リッチモンドでの初レースに臨んだ。
8日(金)午後7時45分、0.75マイルオーバルを75周、75周、100周の3ステージ合計250周(187.5マイル:約300km)して競われる決勝レースがスタート。今季7度目のポールポジションからスタートを切ったカイル・ブッシュが首位をキープした。
しかし、中盤に出されたイエローコーション時のピットで、タイヤセット数制限による戦略の違いにより、新しいタイヤを装着したライバルの先行を許し、ステージ1はベルが2位、カイル・ブッシュが6位となった。
ステージ2も再スタートが切られてまもなくカイル・ブッシュが首位に浮上。同じくスポット参戦してきたカップ・シリーズのトップドライバーと首位争いを展開。
しかし、残り2周というところで壁に軽くヒット。ファイナルラップにかわされ、2位でステージ2を終えた。
ステージ2に続き、ステージ3もイエローコーションの全く出ない展開となり、カイル・ブッシュは周回遅れをかいくぐり、時に3ワイドとなりながらの激しい首位争いを展開。
最後まで首位を争ったカイル・ブッシュだったが惜しくも2位でチェッカー。ベルが6位に入り、エクスフィニティ・シリーズ参戦4戦目で、2度目のトップ10フィニッシュを果たした。
シリーズレギュラーのティフトは13位でフィニッシュ。この結果、次戦を待たずにルーキーシーズンで“プレーオフ”進出を決めた。
次戦第26戦は9月16日(土)、シカゴランド・スピードウェイで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ
「コーナーの中央部分でリアのグリップが足りなかった。彼(ブラッド・ケゼロウスキー)はずっとロングランで速かった。50周を過ぎたあたりからは、彼はいつでも私を抜けただろう」
「そのため、なるべく走り始めのうちにハードにプッシュして引き離そうとした。彼のタイヤが摩耗するのを待っていたが、彼は持ちこたえた。我々のトヨタ・カムリは好調だった。ただ、勝つためにはわずかに足りなかった」