BMWは9月12日にドイツ・フランクフルトで開幕した『フランクフルトモーターショー2017』で、2018年のWEC世界耐久選手権やIMSAウェザーテック・スポーツカーチャンピオンシップに投入するBMW M8 GTEを初公開した。
2016年9月に2018年シーズンからのWEC参戦を表明したBMW。2017年5月には新型M8をベースとしたレーシングカーを開発していることを明らかにし、7月にはドイツ・ラウジッツリンクでシェイクダウンを行っていた。
M8 GTEの心臓部にはV8ツインターボエンジンを搭載。排気量はレギュレーションに沿って4リッターに制限されているが、ノーマル状態で500馬力を発生させる。
このエンジンを開発するにあたり、BMWは経済性と耐久性を追求したといい、シリンダーブロックとシリンダーヘッドは市販車用エンジンから流用しながら、同社が誇るアルミ鍛造技術を活用したという。
またトラクションコントロールのシステム開発などには、最新の人工知能を駆使した『バーチャルディベロップメント』が採用されたほか、パーツの試作には3Dプリント技術を投入。バーチャルディベロップメントから24時間後にはプロトタイプパーツを作り上げるなど、効率化が図られた。
マシンのデザインは市販モデルの8シリーズやM8との関係性を維持しながら行われ、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を多用して、車重はわずか1220kgに抑えられている。
エアロデザインにはCFDを使いながら、BMWが市販車開発に使用しているエアロラボも活用し、各パーツの製造には最新の3次元測定技術を用いた品質管理策を導入。マシンはファクトリーで1台ずつ手作業で組み立てられる。
BMWモータースポーツ代表のイェンス・マルカルトは「BMW M8 GTEは、GTカーのフラッグシップとなるモデルで、このカテゴリを戦う強力なライバルたちに戦いを挑むマシンとなる」と語る。
「(2018年1月の)デイトナ24時間で実戦デビューする前に、このIAA(フランクフルトモーターショー)でカモフラージュを施していないM8 GTEをお披露目するのは、我々にとって重要なステップだった」
「WECとIMSAはこの新型マシンが戦いを挑むのに最適なシリーズだ。このBMW M8 GTEとともに、ル・マンでの伝統を守りながら、国際的なGTカーレースに最先端技術を持ち込んでみせる」
「マシンの開発はスケジュールどおりに進んでいて、2018年シーズンはこのマシンが勝利を争う姿を目にできるはずだ」
上述のとおり、このM8 GTEは2018年1月のデイトナ24時間で実戦デビューを果たした後、WECやIMSAでポルシェ、フォード、フェラーリらとしのぎを削ることになる。