ビールのPR動画や石鹸のCMが次々と炎上する中、「自虐キャッチコピー」という方法で好感度を上げている企業もあるという。9月12日放送の情報番組「めざましテレビ」(フジテレビ)が缶コーヒーのボスやフレッシュネスバーガーの自虐コピーを紹介した。
放送を受け、コンビーフを製造するノザキのツイッター公式アカウントが「自社製品を自虐してみた」というハッシュタグを付けて、コンビーフを自虐したポスターの画像を投稿。ネットで反響を呼んでいる。
最寄り駅から徒歩13分の板橋区立美術館は「永遠の穴場」と自虐
番組では、ボスの「初代ボスジャン探しています」というキャンペーンが紹介された。ボスの発売25周年を記念して、ノベルティグッズの「初代ボスジャン」を復刻しようとしたものの、現物が社内に残っていなかったため、持ち主から提供を募ったのだという。
フレッシュネスバーガーでは10月3日までの期間限定で、「食べて救おう!スパムバーガー」というキャンペーンを実施中だ。現在、スパムバーガーの売り上げは、全16品目中、最下位。そのため、期間中に売り上げが8位以内にならなければ、販売を終了するという。
他にも、最寄り駅から徒歩13分の板橋区立美術館は、「永遠の穴場」と自虐、チョコレート菓子の「ブラックサンダー」は、バレンタインデー用に「一目で義理とわかるチョコ」とパッケージに印刷したものを期間限定で販売していた。
いずれも製品の強みや魅力を打ち出すのではなく、売り上げが低いことや駅から遠いといった弱点をキャッチコピーにしている。面白法人カヤックのコピーライター・日野原良行さんは、番組で「広告を見た人たちが応援してあげたくなるという気持ちになる」と解説していた。
「コンビーフで作って旨いものは、大抵シーチキンでも旨い」
放送を受け、コンビーフを製造するノザキは、
「今朝、情報番組で、自虐キャッチコピーが流行っていると見かけました。自社製品を自虐するなんて、信じられません…!!!」
と公式アカウントでツイート。「信じられません」と言いながらも、コンビーフを自虐したコピー入りのポスター画像をアップした。
コピーの一つは、
「ぶっちゃけ肉より高い」
というもの。キャリコネニュースがネットスーパーの西友で確認したところ、100グラムのコンビーフが1缶355円で販売されていた。牛肉は100グラム180~200円ほど。確かに、肉よりも高い。
「開け方、初見殺し」というものもあった。コンビーフは、缶の中の空気を抜いて、肉の酸化を防ぐため、「枕缶」という台形の缶に詰められている。缶を開けるときには、付属の「巻き取り鍵」で缶の「巻き取り爪」を巻いていかなければならない。パッと見ただけでは開け方が分からないし、随分と面倒くさい。
他にも、
「パッケージから得られる商品の情報、ほぼゼロ」
「コンビーフで作って旨いものは、大抵シーチキンでも旨い」
といったコピーがあった。
こうした「自虐コピー」に対して、ツイッターでは「もっと自信持って!」「日本でノザキのコンビーフを知らない人はほぼいない」といった激励のツイートが寄せられていた。やはり、あえて自虐してみせることでお客さんから応援してもらえるということなのだろう。ちょっとあざとい気もする。
※「シーチキン」は、はごろもフーズ株式会社の登録商標です。