マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はF1第13戦イタリアGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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パッケージ的に20戦中、最もマクラーレン・ホンダのマシンに厳しいサーキットになると思われていたモンツァでのイタリアGP。
しかし、予選ではストフェル・バンドーンがトップ10入り。フェルナンド・アロンソはQ2どまりだったが、これは「間違った方(その時点で35番手降格のペナルティを科せられている自分)がQ3に行ってしまったら困るから」と、アロンソが自ら自己ベストの更新を自重したからだった。
結果的にはバンドーンは9番手でQ3に進出したので、もしQ2の最後アタックでアロンソが自己ベストを更新していれば、2台そろってQ3へ進出していた可能性は高かった。
もちろん、土曜日のモンツァは雨模様だったため、それが非力なホンダPUを搭載するマクラーレンに味方したことは否定しない。だが、マクラーレン・ホンダはイタリアGPでは金曜日から2台そろってトップ10のスピードを披露していた。
今回予選で2人のドライバーが走らせていたのは、最新スペックの3.7ではなく、3.5だった。アロンソは金曜日に3.7を使用したのが、これはシンガポールGPに温存するため、土曜日の朝からベルギーGPで使用した3.5に交換。バンドーンは金曜日からベルギーGPでレースに使った3.5に戻している。
このスペックはアゼルバイジャンGPから投入されたものだが、エンジンそのものは同じスペックでも細かな改良を行なっており、まったく同じものではない。
「同じ3.5でも改良しているので、同じスペックでも性能もまた、まったく同じというわけではありません。特にハンガリーGPの3.5からはパワーも上がっています」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は語る。
残念ながら、Q3に進出したバンドーンのPUは予選中にMGU-Kのシャフトが破損。エンジン交換を余儀なくされ、18番手からスタート。さらにレースでも同じ問題が再発したため、結果には結びつける走りはできなかった。ただし、18番手スタートからでも、レースではトップ10を狙えるポジションで戦っていたことを考えると、エンジン交換がなければ、ポイントは十分狙えた。
そのMGU-Kのシャフト破損の原因については、正式な調査結果を待つしかないが、問題がアロンソには起きずにバンドーンにだけ起きていることを考えると、特定の工程で製造された部品だけにひそむ問題、いわゆるバッチ・トラブルという可能性がある。
もし、そうだとすれば、MGU-Kのシャフトの交換はペナルティなしで行うことができ、イタリアGPで壊れた2基のMGU-Kのシャフトとは異なるバッチのパーツに交換すれば、問題は再発しない。
次戦シンガポールGPは、マクラーレン・ホンダにとってポイント獲得が期待されるグランプリだけに、アロンソとともにバンドーンもペナルティなしで予選に臨んでもらいたい。
マクラーレン・ホンダ 辛口コラムはF1速報WEBで掲載中
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