Rd.13 9月10日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:第13戦サンマリノGP
■開催日:2017年9月10日(日)3日目決勝結果
■開催地:ミサノ/イタリア(4.226km)
■コースコンディション:ウェット
■気温:18度 ■路面温度:19度
■PP:M・ビニャーレス(1分32秒439/ヤマハ)
■FL:M・マルケス(1分47秒069/ホンダ)
REPORT
激しい雨に果敢に挑んだビニャーレスが4位獲得
Movistar Yamaha MotoGPのM・ビニャーレスは、ウエット・コンディションに苦しみながらも4位でチェッカー。貴重な13ポイントを手中にした。
昨日までとは一転、雨に濡れたミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリのグリッドには緊張感が広がっていた。しかしMovistar Yamaha MotoGPのM・ビニャーレスは終始、冷静さをキープし4位を獲得した。
慎重なスタートで4位につけてタイヤが暖まるのを待っていたが、この間にもマシンが激しく揺さぶられ、難しいコンディションがビニャーレスに警告を与える。そして3ラップ目にはD・ペトルッチに先行されて5位に後退した。
多くの左コーナーでリアグリップに苦しみながらも少しずつペースを上げてゆき、各セクションで限界を探る。この間、次々に自己ベストを更新する一方で、後方から近づくライバルたちにも気を配らなければならず、C・クラッチロー、J・ミラーと一時、バトルを展開する。
しかし、クラッチローが転倒し、また7ラップ目にはトップを走っていたJ・ロレンソが転倒したため、ビニャーレスは再び4位に浮上した。これでリズムを取り戻すと着々と後続を引き離し、差を2秒非常に広げて単独走行した。最後まで追撃の手を緩めることはなかったが、表彰台には届かず、4位でチェッカーを受けた。トップとの差は16.559秒だった。
この結果、ビニャーレスはランキング3位をキープし、トップタイのふたりにわずか16ポイント差。ロッシはビニャーレスから26ポイント遅れてランキング4位をキープした。Movistar Yamaha MotoGPはチーム・ランキングで2位につけてトップとの差は9ポイント。
コンストラクターズ・ランキングではヤマハが、トップに5ポイント差の2位につけている。
次回、第14戦は9月22日~24日、モーターランド・アラゴンで開催される。
フォルガーが9位獲得。ザルコは15位
Monster Yamaha Tech3のJ・フォルガーは、難しいコンディションと戦いながら最後まで懸命に走り抜いた。グリッド16位、5列目からのスタートだったが、1ラップ目にふたつ上げ、その後は自分のペースを守って着々と挽回し、9位でチェッカーを受けた。
その一方で、フォルガーのチームメイトのJ・ザルコは最終ラップで不運に見舞われた。グリッド6番手からハイペースをキープして順調に走行を続けていたが、最終ラップ、7番手走行中に燃料を使い切ってストップ。そのあとはマシンを押してゴールまでたどり着き15位となった。
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
M・ビニャーレス選手談(4位)
「できることはすべてやりました。ベストを尽くすことができたので、とても満足しています。マシンの力を100%引き出し、最高の成績を目指した結果が4位だったのです。同じウエット・コンディションでも、ザクセンリンクのときと比べると、とくにハンドリング性能が格段に良くなっています」
「だからこの方向性をこのまま続けていくことが大切だと思っています。そのほかにはトラクションの向上を目指していく予定です。ドライ・コンディションでとても速く、ここミサノでまた一歩前進できたことを非常にうれしく思います。次のアラゴンでも同様のことができるように、16ポイント差を詰めるためにしっかりプッシュしていきます」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「非常に難しいレースでした。ウエット用のセッティングについては、今朝のわずか20分間のウォームアップ・セッションのなかで準備しなければなりませんでした。しかも午後になれば、さらに状況が悪化することが明らかでした」
「レースの最中も刻々とコンディションが変わり非常に難しい状況でしたが、そのなかでもマーベリックは、当初の予定通りに自分のペースを守って走り切り、ライバルたちを抑えてゴールしたのです。しかも彼は、左コーナーの多くでリアグリップに悩まされていました」
「それでもミスひとつせず、最終的にはこうして貴重なポイントを持ち帰ってくれました。次は2週間後のアラゴン。チームの冠スポンサーもつく重要なレースになります」
Monster Yamaha Tech3
J・フォルガー選手談(9位)
「ベストを尽くしましたが、この結果に満足することはできません。昨日まではとても順調で、ドライ・コンディションのフィーリングはとても良かったのです。でも今日はウエットになったので、セッティング変更を行わなければなりませんでした。しかしその方向性が間違っていたことに、レース終盤になって気づいたのです」
「リアグリップの低下に悩まされるようになり、マシンを思い通りに旋回することができなくなって結局、9位で終わってしまいました。ウエットでももっとスピードを上げられると考えていましたが、実際にはそのようにはならず残念。気持ちを切り替えて、次のアラゴンに臨みます」
J・ザルコ選手談(15位)
「誰にとっても難しいチャレンジでした。自分で思っていたほど調子が良くないことに、ウォームアップ・ラップで気づきましたが、そのあと実際に走り出してみると、フィーリングは決して悪くありませんでした。マシンをしっかりコントロールできていましたし、ライバルたちと比べてもスピードで十分に優っていたのです」
「そうこうするうちに、チャンピオンシップのライバル、クラッチローとロレンソの転倒がありました。私はしっかり集中していましたが、ふたりの転倒を見て、コンディションの難しさに改めて気づかされました。長いレースのなかで路面が少しずつ乾いて状況は刻々と変化」
「そのなかで私は少しも気を緩めることなくレッディングとの距離をコントロールし、最終ラップを迎えていました。ところが、第11コーナーでとうとう燃料を使い切ってしまったのです。本当に悔しい思いです」
「最終ラップまで持たせるように十分に気を遣っていたにもかかわらず、そこでマシンが止まってしまったので、あとはマシンを押して長いホームストレートを下りました。この間に何台かに抜かれて悔しくてたまりませんでしたが、最後まで投げださずにゴールにたどり着きました」
「それがレーシング・マインドというものだと思います。結局、15位。つまりたった1ポイントでしたが、何もないよりは良かったと思っています」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「最終的に残念な結果となりました。ヨハンのほうはウイークを通じて好調で、予選でも好位置を獲得し、十分に良い仕事ができていると思っていました。そして決勝では最終ラップを7位で迎え、後方のレッディングに2.5秒差をつけており、もう抜かれる心配はありませんでした」
「このままゴールしていれば素晴らしい成績ですが、不運にも、彼はそのあとマシンを押してゴールラインまで戻らなければならなくなってしまいました。その懸命の努力のおかげで、私たちは1ポイントを手にすることができました」
「ガス欠という結末は、私にとっては受け入れられないものです。今夜はヤマハのエンジニアとも話し合って原因究明に全力を尽くします。このようなことは二度と起こってはいけない。ヨハンには本当に申し訳ない思いでいっぱいです」
「とくに今回はMonster EnergyのCEO、ロドニー・サックスがいらっしゃっていたので、喜んでいただけるようなレースをしたかったのですが、残念ながら思い通りにはいきませんでした。
「一方のジョナスは、スタートは悪くありませんでしたが、序盤はラップタイムが上がらず、自信のなさが表れていました。それでも残り三分の一くらいになって徐々に良くなり、ペースも上がってきて、最終的にはトップ10フィニッシュです」
「これ自体は何も驚くことではありませんが、彼にとってはMotoGPマシンで初めての完全なウエット・レースだったことを考えれば、十分に評価できるものと言えるでしょう。次のアラゴンではふたり揃って好成績を目指したいです。そしてヨハンに対してはここでもう一度、謝っておきたいと思います」