2017年09月09日 10:13 弁護士ドットコム
札幌市で9月2日朝、免許取り立ての少年(18)が運転する乗用車が、コンビニに突っ込む事故が起きた。店の正面ガラスが割れて、乗用車も大破したが、幸いにも、少年本人や、店内にいた客、従業員にケガはなかった。
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報道によると、乗用車は直線道路を走行していたが、対向車線を超えて、コンビニに突っ込んだとみられる。警察の取り調べに、少年は「運転中にカップ麺を食べていたところ、こぼしてしまった」「驚いてハンドルを切ってしまった」と供述しているという。
今回のケースは、カップ麺だったが、おにぎりやお菓子などを食べながら運転する人は少なくない。食事をとりながら運転することは法的に問題ないのだろうか。どの程度なら許されるのだろうか。交通事故にくわしい濵門俊也弁護士に聞いた。
「今回のケースのような、いわゆる『ながら運転』は、ほかの行動をとりながら運転操作をすることであり、危険運転行為も含みます。人間は同時に複数の行動を正しくおこなうことは難しいため、交通事故を引き起こす可能性を高めるのです。
実際に、重大な事故が発生しているのですが、『ながら運転』を続けてしまっている人も多くいるのも事実です」
「ながら運転」は罪に問われるのだろうか。
「たとえば、自動車等を運転しているときに、携帯電話・スマホを使用すると、道路交通法違反となり、取り締りを受けます(道交法71条5号の5)。
端的にいいますと、『通話のための使用』と『画像を注視する行為』が違反の対象となります。たとえば、通話はもちろんのこと、メール、LINE、Webなどを利用した場合が違反行為となるのです」
食事をしながら運転した場合はどうだろうか。
「食事をしながら運転をすること自体は、道路交通法にただちに違反するわけではありません。
ただし、今回のケースの少年も『運転中にカップ麺を食べていたところ、こぼしてしまった』『驚いてハンドルを切ってしまった』と供述しているとのことですから、このような供述内容からしますと、道路交通法上の安全運転義務違反には問われうることになります(道交法70条)。
『ながら運転』は、単なる運転マナーの話でとどまりません。その危険性を周知徹底させていく啓蒙活動が重要です」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/