前戦、第4戦ツインリンクもてぎ戦では驚くほどのオーバーテイクショーが見られ、もてぎ戦から導入された2スペック目のソフトタイヤの効果がレースの魅力を倍増以上にさせたスーパーフォーミュラ。今週末の第5戦オートポリス戦でも第4戦もてぎ戦と同じく2スペックのタイヤで争われることになるが、今回はいくつか不透明な要素がある。
ひとつ目に挙げられるのが、第4戦もてぎで約20周程度周回することができたソフトタイヤが、今回のオートポリスではどのくらい保つのかという点。スムーズな路面でストップ&ゴーのもてぎに比べ、路面の荒さ、そして高低差が大きく中高速コーナーが多いコースレイアウトを特徴とするオートポリスでは、関係者の多くが「もてぎの半分以下になるのではないか」と、ソフトタイヤのライフを推測する。
レースではソフトタイヤとミディアムタイヤの両方の使用義務があるが、給油が必要な周回数(6~8周程度と推測される)を保たせられるかが勝負どころになるとの声もある。前回のもてぎでは塚越広大(REAL RACING)がスタートでエンジンストールして最下位に落ちながら、ソフト→ソフト→ミディアムの2ピット戦略で9位まで順位を上げたが、今回はどこまで戦略の幅(ピットウインドウ)が広げられるのかが見どころだ。
ふたつ目のポイントもタイヤになるが、今回のレースは急きょ、予選Q1ではミディアムタイヤの使用が義務付けられることになった。この義務によって実質、どのチームもQ1新品ミディアム、Q2とQ3が新品ソフトタイヤでアタックすることが決まってしまった状態になり、予選でのタイヤの使い道の選択肢が限られてしまうことになった。その状態で、どこまで戦略の多様性を出すことができるか、見どころだ。
金曜日の走行ではトップタイムの山本尚貴(TEAM MUGEN)、2番手の塚越、そして大嶋和也(SUNOCO TEAM LEMANS)がソフトタイヤを装着したが、まだまだ今回の勢力図は見えない。
前回、4戦目にしてスーパーフォーミュラ初ポールポジションを獲得した山下健太(KONDO RACING)も「今回も連続ポールといきたいところですが、手応えがかなり良くありません。Q1突破が現実的な目標です」と、15番手のタイムに頭を悩ましている様子。山下自身、フォーミュラカーでオートポリスを走行するのは初めてだったことも影響しているのかもしれない。
また、もてぎ戦でレース前半をトップで独走して初優勝も見えた小林可夢偉(KCMG)も、このオートポリスでは「アマチュアみたいにスピンしてしまいました」と、金曜占有走行ではスピンを喫してしまった。どうやら持ち込みのセットアップがこのオートポリスのサーキットに全然マッチしておらず、マシンのコントロールにかなり苦労したようだが、これは可夢偉に限ったことではなさそう。コースを飛び出すドライバーも多く、山下を始め、大半のドライバーが手応えをつかめないまま金曜走行を終えている。
ヨコハマタイヤとしても、何度かテストでオートポリスは走行しているものの、現在のスーパーフォーミュラのパッケージでレースをするのは今回が初めて。路面とコースの相性などなど、これまで以上に未知数の部分が多い。タイヤの運用、そしてソフトタイヤのマネジメント、レース戦略など手探りのままの不安要素が多い第5戦オートポリス戦。結果だけでなく、その内容がもっとも注目されることになる。