女性議員の不倫が立て続けに報じられる中、政治家が不倫で叩かれる風潮に違和感を覚えている人もいるようだ。東京大学政策ビジョン研究センター講師で、国際政治学が専門の三浦瑠麗さんは9月7日、民進党の山尾志桜里衆院議員の不倫疑惑を受け、
「スキャンダルで淘汰していった結果まともな女性議員がみんないなくなっちゃうよ。女の人が代表してもらいたいのは利益や意見やらであって、貞操の鬼であることじゃないからね。そんなん言ってたら日本会議の候補しか残んないじゃん」
とツイートした。
「女性議員がそんな不健全な人間だけだというなら、それこそ失礼な話だ」
日本会議のメンバー以外はみんな不倫をしていると取れるような発言に、思わずツッコミを入れてしまう人も少なくなかった。はてなブックマークのコメント欄には、
「女性議員がそんな不健全な人間だけだというなら、それこそ失礼な話だ」
「まともな女性はみんな不倫していると言っていることになるけど、この人大丈夫か」
といった声が散見された。
また「日本会議にも不倫する奴はいる」という指摘もあった。『日本会議と神社本庁』(成澤宗男編著)には、日本会議国会議員懇談会名簿が掲載されている。大半は自民党議員だが、その中には、過去に不倫やセクハラが取り沙汰された女性議員の名前もある。
「フランスで、政治家の不倫が辞任につながるなら、政治家の人数が少なくなる」
日本会議以外の「まともな女性議員」は不倫をしている、とも解釈できるツイートに多くの人が戸惑っているようだ。しかし三浦さんは、女性議員には女性の声を政治に反映することを求めているのであり、清廉潔白であることを求めているのではない、と言いたかったのではないか。
三浦さんは6日にも、「とにかく報道は他人の不倫に時間割きすぎ。政治家としての彼女の資質と不倫とは関係ないのに」と苦言を呈している。政治家としてきちんと仕事をしていれば構わないということなのだろう。
海外には、こうした考え方が一般的な国もある。AFP通信社の特派員で、『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』を著書に持つ西村・プペ・カリンさんは、9月6日、
「フランスでは、政治家の不倫がスキャンダルになり辞任につながれば、政治家の人数がものすごい少なくなると思います。だって、歴代大統領ほぼ全員不倫してしまった。フランス人国民は政治の事とプライベートの事を区別する」
とツイートしていた。
一方で、中央大学の大杉謙一教授(商法・会社法)は「政治家の不倫に関しては、フランスとアメリカで評価が全く異なりますし、日本には日本の受け止め方があってよいと思います」とツイッターで指摘。国によって政治家のスキャンダルの受け止め方が違うということだろう。