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WEC:ポルシェ、ライバルを圧倒する1-2フィニッシュ。「事前テストでクルマを改善」

2017年09月06日 18:42  AUTOSPORT web

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2号車ポルシェ919ハイブリッド 2017年WEC第5戦メキシコ
メキシコシティで開催されたWEC世界耐久選手権第5戦は9月3日、決勝レースが行われ、ポルシェLMPチームの2号車ポルシェ919ハイブリッド(アール・バンバー/ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー)が優勝した。2位には1号車ポルシェ919ハイブリッド(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ)が入り、ポルシェが2017年シーズン2回目のワン・ツー・フィニッシュを達成した。

 雨の予報も出されていた決勝レースは、予想に反し終始ドライコンディションで行われた。

 ポールポジションからスタートした2号車ポルシェのハートレーは序盤からファステストラップをマークするなど、快調なペースでレースをリードし、79周目に迎えた2回目のピットインでバンバーに交代。

 ドライバー交代後の2号車ポルシェはレース中盤、FIA国際自動車連盟から装着を義務付けられている燃費制御用フューエルフローメーターが故障したため、3回目のピットイン時に燃料補給と同時に部品を交換する作業を強いられた。

 しかし、幸いにも走りに影響することはなく、その後も安定したペースで6時間レースを走破した2号車ポルシェは、アンカーを務めるベルンハルトがトップチェッカーを受け今季3度目の優勝を飾った。

 レース後、ハートレーは「チームにとって最高の週末になった。最初のセッションからスピードがあり、決勝でも絶好調だったよ」とコメント。

「2台のポルシェは予想を超えたペースですぐにトヨタを引き離した。アール(・バンバー)とティモ(・ベルンハルト)のドライビングも見事だったね。僕たちはレース全体をコントロールしていたから危険を冒す必要がまったくなかった。メキシコは大成功だったので残りのレースも楽しみだよ」

 一方、1号車ポルシェはタンディがスタートドライバーが担当し、2スティントにわたって2号車ポルシェと数秒差という僅差で走行する。

 1号車ポルシェも2号車ポルシェと同様に2回目のピットイン時にドライバーを交代していくが、この際にタンディがピットレーンの速度違反を犯してしまい、代わったロッテラーがストップ・アンド・ゴーペナルティを受けてしまう。

 3番手を走る8号車トヨタTS050ハイブリッドとのギャップが大きく広がっていたためポジションに変動はなかったが、首位を走る2号車ポルシェとの差は30秒前後に広がった。

 レース中盤以降、2回のフルコース・イエロー中にピット作業を行なった1号車ポルシェはその後、ロッテラー、ジャニとつないでいき最終的に2号車と7.141秒差の2位でチェッカー。ポルシェの2台がワン・ツー・フィニッシュを飾った。

 この結果、マニュファクチャラーズとドライバーズの両世界選手権タイトル3連覇を目指しているポルシェは第5戦が終了した時点で、マニュファクチャラーズポイントを198ポイントとし、ランキング2番手につけるトヨタとの差を56.5ポイントに広げた。

 また、ドライバーズランキングでは、134ポイントでランキング首位に立つバンバー/ベルンハルト/ハートレー組が、8号車トヨタ(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴)を41ポイントにリードしている。


 アンドレアス・ザイドル代表はレース後「ここいるチーム、そしてバイザッハのワークショップの皆とワン・ツー・フィニッシュを祝福したいと思う」と語った。

「我々はニュルブルクリンクのレース後にバルセロナでハードなテストを行い、数週間にわたってクルマをさらに改善した。サーキットの温度変化のために今日は適切なタイミングで正しいタイヤを選択することが非常に重要になったが、ミシュランと一緒にそれを見事に成し遂げることができた」

「6名のドライバーにも感謝したい。速いペースと果敢なオーバーテイクが求められたにもかかわらず、2台の車はともに無傷で戻ってきた。今後も気持ちを緩めず明日からは次戦のオースティンに向けて準備を始める」

 2位表彰台を獲得したロッテラーは「今日のレースはポルシェにとって輝かしい結果となった。セカンドドライバーとして担当したダブルスティントも好調だったよ」

「あいにく、ニック(・タンディ)がピットレーンを少し速く走りすぎて、ストップ・アンド・ゴーペナルティを受けてしまったが、それ以外はリズムに乗れていた」

 2台のポルシェ911 RSRでLM-GTEプロクラスに参戦しているポルシェGTチームは、リヒャルド・リエツ/フレデリック・マコウィッキ組の91号車ポルシェがクラス3位。ミハエル・クリステンセン/ケビン・エストル組の92号車ポルシェがクラス5位となった。

 また、LM-GTEアマクラスでは、クリスチャン・リード/マービン・ディンスト/マッテオ・カイローリがステアリングを握るデンプシー-プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSRが、前戦のニュルブルクリンクに続いて今シーズン2勝目をマーク。

 もう1台のポルシェユーザーであるガルフ・レーシング、86号車ポルシェ911 RSR(マイケル・ウェインライト/ベンジャミン・バーカー/ニコラス・フォスター)はクラス3位に入賞し、今シーズン初めての表彰台を獲得した。

 WEC第6戦は2週間後の9月16日、アメリカ・テキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催される。