F1イタリアGPでは、パワーユニットエレメントとギヤボックスの規定使用数超過に科されるグリッド降格ペナルティに対し、大きな批判が浴びせられた。このルールによりモンツァでは、9人ものドライバーがグリッド降格の憂き目を見たのだ。
レッドブルF1チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、イタリアGP後にルールの見直しを主張したひとりである。F1のスポーティングディレクターであるロス・ブラウンも、現行のシステムはコントロール不能な状態に陥っているとして、グリッド降格ペナルティの廃止を検討している。
一方では、ふたつのチームが現行ルールの維持に賛成の声をあげた。
ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、現行のルールはコスト制限が目的であることを指摘。さらには、大規模チームが勝つために潤沢な資金を投入することを防ぐ役割があると説明している。
「現行のルールには、コストを制御するという理由がある。グリッド順がたったひとつ下がったところで、大規模チームははるか先へ行ってしまう。彼らは毎回すべてを変え、開発を行い、より速くなるだろう」
「大規模チームは速いマシンを作ることで、グリッドペナルティによる遅れを埋め合わせてくる。(マックス・)フェルスタッペンや(ダニエル・)リカルドが(モンツァで)どうだったか見てみるといい。25(グリッド降格)にも関わらずリカルドは4位でフィニッシュした」
「大規模チームは追いつくことができるんだ。グリッド降格数を減らすようなことをしても意味がない。グリッドペナルティを科されても挽回できるのなら、ペナルティなど気にせずに、より多くの資金を使うようになるだろう」
グリッド降格の現行システムの代替案のひとつとして、コンストラクターズポイントの減点が提案されているが、シュタイナーは以下のように話す。
「コンストラクターズとドライバーズ選手権、どちらにより価値があるだろう?」
「そうしたければドライバーズ選手権で優勝することだけに集中すればいい。エンジンやすべてが新しいものになるたびにコンストラクターズ選手権の順位は下がるが、ドライバーは勝つことができる」
フォース・インディアのチーフオペレーティングオフィサーを務めるオットマー・サフナウアーは、シュタイナーの意見に同意している。現行のグリッドペナルティがこのスポーツを公平な状態に維持しているため、廃止するべきではないとの考えを示した。
「もし無制限に資金があるのだとしたら、ロスの意見に賛成する。どのチームにも好きなだけ予算を使わせよう。まったく違うやり方になるだろうね」
「だが、グリッドペナルティのようなルールもなしに、コストを制限しなければならないというのは筋がとおらない。そのふたつの意見は矛盾する」
「来年はドライバーあたり3基のエンジンが割り当てられる。『3基と言われても構わない、予算があるから6基用意しよう』というような動機付けを、どうやってなくしたらいいのだろうか」
「ひとつの方法はグリッドペナルティだ。エンジン開発に費用をかける動機を除くことができる。もしこれよりも良いやり方があるのなら、私は賛成するよ。このルールが策定された時は、これが最良の方法だったんだ」