「将来、AI(人工知能)に仕事を奪われるかもしれない」と不安に感じる人も多いだろう。だが、「理不尽に怒鳴り散らす上司」と、「おだやかに理路整然と指示を出してくれるAI」なら、どちらがいいと思うだろうか。
マツコ・デラックスさんが、9月4日放送の「5時に夢中!」(TOKYO MX)の中で「理不尽な上司に従うくらいなら、AIのほうがいい」という自論を展開していた。(文:okei)
「クソ上司の言うこと聞くくらい尊厳が傷つくことってない」
番組では、AIの活用を目指す企業が増えているという毎日新聞の記事を紹介。AIはデータを与えれば瞬時に最適解をはじき出すため、採用活動に導入する企業もある。そのため、人がAIに評価されたり指示されたりする時代がくるということだ。
しかし、そのためにAIに仕事を奪われる不安や、仕事を奪われたことで生きる意味を見失う人も出てきかねないという懸念もある。
また、記事の中でAI研究の専門家は、「大事なのは、AIに指示されることを人間が納得し選択しているかどうか」とも問題提起していた。機械に指示されることで人間としての尊厳が傷つくという心配もあるのだろう。
MCのふかわりょうさんは、「指示されるというより、利用するという捉え方もできますが…」と感想を述べたが、マツコさんは「いや、指示でもいいと思います。もはや」と、AIを肯定。
「アタシは、クソみたいな上司の言うこと聞かなきゃならないほど尊厳が傷つくことってないと思うんだよね」
「だったら、AIが膨大なビッグデータの中から割り出した貴方への最適な指示って言われた方が、理不尽な上司にああしろこうしろって言われるより尊厳傷つけられなくない?」
人間ならば部下を人らしく扱うという最低限のことはしてほしい
さらにマツコさんは番組プロデューサーをやり玉にあげ、「よく大川貴史の下でこんなに人が働いてるなって。アタシだったら3日と持たないで既にどこかに駆け込んで訴えてますんで」「それに言われるくらいならまだAIのほうが納得できない?」などと発言。
これに、ふかわさんは「でももしプロデューサーが大川さんじゃなくAIだったら、無難な番組になってたんじゃないですか?」と、同番組を局の看板番組にまで育て上げた大川氏の手腕を評価しフォローしたが、マツコさんは、
「いや…AIってそれも含めて、そこに合ったものを提示してくれるはずだから、あの人がカンでやってるよりはいいと思う」
などと断言し、周囲の笑いを誘っていた。
確かにマツコさんの言うように、あまりにも理不尽な命令ばかりする上司なら、AIのほうがいいのかも…と感じてしまう。大川プロデューサーのことは分からないが、AIならば、少なくとも怒鳴ったりイヤミを言ったりはしないだろう。
こう思うのには、筆者の知人にブラック上司に毎日怒鳴られ、退職を余儀なくされた若者(20代男性)がいるからだ。会社の労働条件は決して悪くはなかったが、上司に対するストレスで寝ている間に手をかきむしり、朝には傷だらけで血がにじんでいたそうだ。上司がAIならば、彼は辞めなくて済んだかもしれない。
人間ならば部下を人らしく扱うという最低限のことはしてほしい。管理職がAIに変わることなどないとタカをくくっていると、真っ先に交代されてしまうのではないだろうか。