シトロエン・レーシングは9月4日、2018年のホモロゲーション取得を目指して開発を進めるシトロエンC3 R5初の走行テストを実施したと明らかにした。
R5カテゴリーは、FIAが2013年にラリーカーの新たなカテゴリーとして設定したもの。プライベートチーム向けにコストを抑えながらも、280馬力を生み出す1.6リッター直噴ターボエンジンや四輪駆動、シーケンシャルセミオートギヤボックスを搭載するなど“ミニWRC”とも呼べるスペックを誇る。
このR5は、WRC2クラスやERCヨーロッパ・ラリー選手権などを主戦場とし、フォード・フィエスタR5、シュコダ・ファビアR5、プジョー208 T16 R5など、さまざまなマシンがしのぎを削っている。
シトロエンも、DS3ベースのDS3 R5を投入しているが、ライバルメーカーのマシンと比べて扱いが難しいと言われており、姉妹ブランドのプジョーと同様にカスタマーからの支持を得られていなかった。
この現状を打破するべく、シトロエンはC3をベースとした新型R5車両の開発に着手。マシンデザインは約1年前にスタートしたと言い、2017年初頭にはプロトタイプ車両による走行テストも行われている。
シトロエン・レーシングを率いるイブ・マトン代表は「今週、我々は記念すべきマイルストーンに到達した。完成形に近い状態のマシンで初めての走行テストを行ったんだ」と語る。
「開発の目標は明確だった。パフォーマンスや信頼性、コストのコントロール性を含め、シトロエンC3 R5をカテゴリーの新たなスタンダードにしたいんだよ」
「この新型マシンを製作するにあたり、これまでWRCで培ってきたノウハウを活用したし、トランスミッションの供給を受けているサデブや、サスペンションシステムで協力しているレイガーといったメーカーとも手を組んだ」
「もちろん、開発にはシトロエン・レーシングのワークスドライバーも携わっている。今回のテストセッションにはステファン・ルフェーブルとクレイグ・ブリーン、フランス国内ラリー選手権をリードするヨアン・ボナートが参加した」
今回のテストはグラベル(未舗装路)コンディションで行われ、カスタマー部門を率いるピエール・ブダールは「テストは完成形に近い状態のマシンで行ったが、我々が目標としているものに近いパフォーマンスを発揮した」と手応えを掴んでいる様子。
「C3 R5と(WRC最上位クラスを戦っている)C3 WRCには共通している部分が多くある。たとえばロールケージのデザインは同じ人物が行っているし、いくつかのソリューションは、そのまま活用している」
「また、エンジンについても市販車用のものをベースに内製した。こうすることでパフォーマンスと信頼性を両立することができる」
「総合的に考えて、我々はカスタマーがC3 R5を選択するに充分な一貫性のあるクルマを作り上げることができている」
シトロエンは今後、複数のドライバーを招集してグラベルとターマック(舗装路)の両コンディションでテストを実施。マシンの熟成を進めながら、2018年のホモロゲーション取得を目指すという。