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86/BRZ第7戦:服部尚貴、富士で2015年以来2年ぶり優勝。チームのワン・ツーに貢献

2017年09月04日 19:02  AUTOSPORT web

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服部尚貴(OTG DL 86)
86/BRZ Raceの第7戦が富士スピードウェイで開催され、プロフェッショナルシリーズでは服部尚貴(OTG DL 86)がひさびさの優勝を飾り、クラブマンシリーズでは神谷裕幸(N中部ミッドレス スノコ86)が今季3勝目を挙げている。

 シリーズも第7戦で、いよいよ終盤戦に突入。タイトルの行方もそろそろ気になってくる頃だ。そんななか、金曜日の午前に行われた専有走行において、まずクラブマンシリーズでは1組で神谷裕幸(N中部ミッドレス スノコ86)が、そして2組で小野田貴俊(ネッツ東埼玉ワコーズED86)が、それぞれトップにつけたが、神谷と同ポイントで並ぶ菱井將文(CUSCO BS 86)は2組で6番手とやや低迷。

 そのムードは午後から行われた予選にも引き継がれ、神谷が2分0秒576で1組のトップで、小野田が2分0秒782で2組のトップ。その結果、神谷が今季3回目のポールポジションを獲得することになった。

 一方、菱井は2組の3番手とあって、3列目からのスタートとなり、その前の2列目には第3戦・富士の勝者、庄司雄磨(OTG AREA86)と長島大輝(埼玉自動車大学校生駒ED86)、いずれも若手ドライバーが並んでいた。

 今回はメインレースのスーパー耐久が10時間レースで、早朝8時からのスタートとあって、決勝レースは土曜日に行われた。クラブマンの決勝では、恵まれたコンディションのなか、小野田が好スタートを切って、我慢のブレーキングで神谷の前に出ることに成功。

 しかし、その後方では菱井が止まりきれず、庄司と長島に激突した後ストップ。そのままリタイアとなって、悪しき流れを断ち切ることはできずに終わる。庄司は大きく順位を落とした一方で、なんとか5番手に。

 また、このアクシデントの間隙を縫った松井宏太(ネッツ青森アップルRC86YH)が、予選7番手から4ポジションアップ、そして河村直樹(N中京エリア86小牧BS86)が4番手に浮上。また、小野田と神谷が早々に後続との差を広げることとなった。

 まさに激しい一騎討ちが続くなか、「どこで行こうか、タイミングをはかっていました」と神谷。そのチャンスが訪れたのが、8周目の最終コーナーだった。シフトミスして失速した小野田をストレートで捕らえ、前に出ることに成功。再逆転を狙った小野田を寄せつけず、今季3勝目をマークした。

 「これでポイント的にはかなり楽になったはずなんですが、次のSUGOはまったく初めて走るんです。でも、十勝もそうだったけど勝てましたし、自信を持って走りたいと思います」と神谷。小野田に続く3位は松井で、86/BRZレースでは初の表彰台へ。

 プロフェッショナルシリーズの専有走行では、ダンロップ勢が好調。服部尚貴(OTG DL 86)が唯一2分5秒台に乗せてトップで、これにFIA-F4選手権にも出場中の菅波冬吾(OTG DL 86)が続いていた。

 予選でも、そのムードは変わらなかったものの、服部を抑えてポールポジションを奪ったのは吉田広樹(OTG TN滋賀86)。2分5秒027をマークし、その1秒以内に20台もひしめき合う中、服部にすらコンマ2秒の差をつけていた。

「走り始めはすごく調子が良かったんですが、そこからだんだんしっくり来なくなり、いろいろ悩んでしまったんですが、一緒に走る相手なんですけど、服部さんには相談に乗ってもらって。チームもダンロップさんも『自分を信じて』って元のセット、空気圧に戻してもらって、思いっきり行けたのが良かったんだと思います。でも、本番は明日の決勝なので、焦らず戦いと思います」と吉田。なお、2列目には平中克幸(GY RACING 86)と近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)が並ぶこととなった。

 プロフェッショナルシリーズの決勝レースも土曜日に。そのスタートを決めたのが吉田で、服部をしっかり抑えて1コーナーに先頭で飛び込んでいく。その後方では大混戦、オープニングラップのうちに随所でめまぐるしく順位が入れ替わる。と同時に、早くもトップ争いは吉田と服部の一騎討ち状態に。

 3番手には近藤が上がり、平中と順位を入れ替える。5番手は坪井翔(ネッツ東埼玉ワコーズED86)で、6番手は井口卓人(CG ROBOT BRZ BS)。

 トップを行く吉田ながら、それはもう服部という蛇ににらまれたカエル状態。引き離すこともできず、背後から強烈なプレッシャーをかけられ、しっかりラインをトレースすることもままならずにいた。

 その間に近づいてきたのが近藤で、戦いはやがて三つどもえに。8周目に服部がついに動く、このままでは近藤に食われかねないから……。まず13コーナーでインを突き、ここでの逆転はならなかったものの、今度は最終コーナーでインを刺して、ストレートで吉田の前に出ることに成功。

 続いて近藤が吉田に襲いかかり、最後のストレートでは横に並びかけられたが、コンマ2秒差で逃げ切ることとなり、服部とチームメイト同士、ワンツーフィニッシュを達成した。

「蛇の生殺し? いやいや、そんなことはなくて、チャンスを待ちました。一発で仕留めようと思っていたので。まっすぐ(ストレート区間)は吉田の方が速いけど、コーナーは僕の方が速くて。ちょっとした好みの違いでセットが違うから。そういう意味では、こっちの方がうまくいっていたと思うけど、本人もプレッシャーにやられていたと思う。まったくの緊張感が伝わってきたから。それにしても久しぶりの優勝で嬉しいわ~」と服部。

 一方、敗れた吉田は「スタートでは緊張しなかったんですが、服部さんが離れずついてきたので、全然自分の走りができませんでした。自分のプレッシャーの弱さが今後の課題というか、勉強になりました……」と師匠に完敗宣言も。

 一方、4番手争いが平中、坪井、井口の間で激しく繰り広げられたものの、中盤に井口が脱落。代わってバトルに加わったのが、最後のシビックインター王者、市森友明(大阪トヨタ86レーシング)だった。予選10番手からじわりじわりと順位を上げ、7周目には5番手に浮上。あと一歩のところで平中をかわせなかったものの、かつての勢いを取り戻したのは間違いない。

 なお、ポイントリーダー佐々木雅弘(小倉クラッチREVO86BS)はエンジントラブルで、1周目にリタイア。それでも近藤にこそやや差を詰められたものの、ランキングトップはキープした。

 86/BRZ Raceの第8戦は、9月30~10月1日にスポーツランドSUGOで行われる。