映画『泳ぎすぎた夜』が、2018年春に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。
日本とフランスの合作となる同作は、青森を舞台にある少年の冒険を描いた作品。少年が学校に向かう途中に道を外れて、前の晩に夜通し描いた自分の絵を届けに、夜中から父親が働いている魚市場を目指して雪道を歩くというあらすじだ。
監督を務めたのは『息を殺して』などの五十嵐耕平と、『若き詩人』などを手掛けたフランス出身のダミアン・マニヴェル。今回の共同監督は2014年の『ロカルノ国際映画祭』での出会いをきっかけに実現したという。主演を青森在住の小学2年生・古川鳳羅が務め、家族役を実際の家族が演じている。
9月9日までイタリアで開催中の『第74回ヴェネチア国際映画祭』オリゾンティ部門に正式出品されているほか、今月開催される『第65回サン・セバスチャン国際映画祭』に正式出品される。なお『第74回ヴェネチア国際映画祭』のディレクターを務めるアルベルト・バルベラの推薦コメントも発表されている。
■アルベルト・バルベラ(『第74回ヴェネチア国際映画祭』ディレクター)のコメント
私はこの小さな映画に恋をしてしまった。
その子供は、信じられないくらいに表現力豊かである。
舞台は冬の日本の北部に位置する小さな町であり、魔法がかった風景、それはもうほとんど幻想的だ。何も起こらない物語――その子供は、魚市場で働く彼の父親を探すために家を出る。そして見知らぬ街で迷子になる。
それは極めて詩的な、極めて厳密な構成美で描かれた、極めて魅惑的なそぞろ歩きである。この映画は、一見何も物語っていないように見えるが、しかしさてはて、たくさんのことを深く私たちに語りかけてくるのだ。