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S耐第5戦富士:10時間耐久を8号車ARN Ferrari 488 GT3が制す。3クラスで王者決定

2017年09月04日 12:22  AUTOSPORT web

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5戦連続ポールポジションの8号車ARN Ferrari 488 GT3が10時間耐久を勝利
スーパー耐久シリーズ第5戦「FUJI SUPER TEC」が、9月2、3日に富士スピードウェイで開催され、総合優勝を8号車ARN Ferrari 488 GT3の永井宏明/佐々木孝太/銘苅翼組が獲得した。また最終戦を待たず、この一戦で7クラス中3クラスでチャンピオンも決定している。

 10時間レースとして開催された今年のSUPER TECでポールポジションを獲得したのは、ARN Ferrari 488 GT3の永井宏明/佐々木孝太/銘苅翼組だった。A/Bドライバーそれぞれのセッションで永井はトップ、佐々木は2番手に留まったものの合算タイムでは最速で、なおかつ開幕から5戦連続ポールは、2010年と14年に記録されて以来のタイ記録となった。

「歴代のトップに並べたのは、すごく名誉なことですね。でも、明日の決勝レースは予選の順位なんか関係ないほど、長いので淡々といきます。3人でしっかり力を走ります」と永井。


 しかし、その決勝が始まってみると、誰より積極的な走りを見せていたのが、その永井自身だった。前半はピットタイミングの違いから、めまぐるしくトップが入れ替わったものの、後半はARN Ferrari 488 GT3がリードするようになり、永井が最終スティントを担当。2番手を走る777号車D‘station Porscheの近藤翼を寄せつけなかったばかりか、安全圏に逃げてもペースを落とさずゴールまで走り続けた。

「気温も下がっていましたし、最後まで抑えようとは思わなかったですね。みんなのおかげで最後、いい場所で渡してもらえたので、僕も最後まで頑張って走れました。この2連勝でかなり有利なポイント差になったと思うので、次もしっかり走ってチャンピオンを決めたいと思います」と永井。


 トラブル続きのスーパーGTとは対照的な展開に、笑みは最後まで絶やさなかった。2位は近藤と星野敏、荒聖治の駆る777号車D’station Porscheが獲得した。

 ST-Xクラスに今回しっかり続いたのは、久々にバトルも繰り広げられたST-1クラス。31号車Nissoku Porsche 991 GT3 Cupの小川勝人/影山正美/富田竜一郎組が4連勝を飾っている。

「小川さんが3回もドライブして、いろんな経験を積むことができたのが今回の収穫だし、いろんなことを経験してもらえたので良かったです」と、今回も影山は遅れてきたルーキーを絶賛することを忘れなかった。


 そのST-1クラスに今回、準じたのはST-3クラス。2年連続で制して最高に相性のいい富士のレースを、またしても制したのは62号車DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太/平木湧也組。


「僕だけ実は4連覇なんですが(笑)。今年もうまくいきました。楽勝ではなかったですが、みんなドライバーも、チームもレベルが高いので、こうやってまた勝つことできました」と中山。

 予選トップだった39号車ADVICS TRACY RC350の手塚祐也/前嶋秀司/鈴木陽/松井猛敏組は、ペナルティで涙を飲んで3位に。RC勢の間には、68号車埼玉トヨペットGreenBraveマークXの服部尚貴/脇阪薫一/平沼貴之組が割って入った。


 ST-2クラスでは、59号車DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/谷口信輝組が、今季3勝目をマークし、シリーズ5連覇をも達成した。

「本当に今回は何も言うことがありません。最高です!」と後藤は喜びを語った。

 ST-TCRクラスは、それぞれトラブルが相次ぎ、まるでサバイバル戦の様相を呈することに。中でも最小限に留めていた10号車Racingline PERFORMANCE GOLFのフィリップ・デベサ/密山祥吾/脇阪寿一組が初優勝を飾った。


「途中でパッドを変えたのは予定どおりだったんですが、後半、僕のスティントで接触があってトーが狂ってしまって。非常に苦しい状態で走ってもらって申し訳なかったんですが、それでもまわりのトラブルに比べれば……。参戦2戦目でポールも獲れて優勝、しかもファステストと、本当にもう最高です」と密山。

 なお、タイトルに王手をかけていた98号車Modulo CIVIC TCR 98号車の黒澤琢弥/石川京侍/加藤寛規/吉田広樹組は、原因不明のエンジントラブルで完走を果たすのみに留まっていた。

 ST-4クラスでは、86号車TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/蒲生尚弥/坪井翔/井口卓人組、そして93号車SKR ENGINEERING ings S2000の太田侑弥/佐々木雅弘/柴田優作組が、まさにシーソーゲームを繰り広げていた。

 しかし、最終スティントで井口の前に柴田が出ていたこともあり、そのまま逃げ切ってTOM’S SPRIT 86の王座決定を先延ばしにしたかと思われた。ところがラスト8分で、SKR ENGINEERING ings S2000の左フロントホイールが脱落する悲劇が発生。逆転でTOM’S SPRIT 86が勝利しタイトルも決定した。


「2014年から参戦して、やっとチャンピオンが獲れてホッとしています。でも今日のレースを振り返ると、完全にS2000のレースで、『もう2位でしょうがない』と思っていたら、最後の最後に向こうにトラブルが出ちゃって。これもレースなんですね」と蒲生。

 土壇場で繰り上がって13号車ENDLESS ADVAN 86の小河諒/高橋翼/花里祐弥/村田信博組が2位を獲得した。

 ディーゼルエンジンならではの好燃費を活かし、シリーズ最長のレースでST-5クラスの今季初優勝を飾ったのは、37号車DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dの関豊/梅田剛/井尻薫組。


「やっと勝てました。今年、富士のレースは1時間増えて10時間になって、僕たちには有利になると思っていたのでターゲットを置いていました。今年は前半戦苦労したし、特に鈴鹿を走れなかったのが悔しかったので、今回は本当に勝てて良かったです」と関。

 しかし、タイトルは88号車村上モータースMAZDAロードスターNDの村上博幸/脇谷猛/加藤正将/雨宮恵司組が獲得。


「正直チャンピオンに、そんなに実感はないんですが、新型ロードスターにして2年目で、しっかり熟成させてきたことと、大きなトラブルがないことがチャンピオンにつながったと思っているので、そこはメカニック、ドライバー全員がすごくいい仕事をしてくれたということでしょうね」と村上はコメント。

 スーパー耐久シリーズは、10月14、15日に岡山国際サーキットで最終戦を迎える。