ウエットトラックが宣告される中で開始されたイタリアGP予選。ロマン・グロージャンがクラッシュしたのは、Q1が始まってから、わずか4分後のことだった。メインストレートでアクアプレーニング現象に陥り、コントロールを失ったのだ。
バリアにクラッシュしたグロージャンのマシンは走行不能となり、コース脇にストップ。セッションは直後に赤旗となり、以後、雨脚が強くなったこともあって、その後、2時間25分に渡って中断し続けた。
クラッシュしたグロージャンは、当時の状況を次のように説明する。
「コンディションが良くないのはすぐにわかった。視界はほぼゼロ。そのうえ、直線ではアクアプレーニング。しかも、突然起きた。もう僕にはどうすることもできなかった。こういうコンディションで予選をスタートしたことが残念でならない。もう少し、待つべきだったと思う」
確かに、グロージャンがクラッシュしたマシンはすぐに撤去されたが、セッションはその後もなかなか再開できなかったことを考えると、かなり危険な状況であったことは否定できない。ポールポジションをとったハミルトンでさえ、同じ場所でアクアプレーニングを起こしそうになっていた。
だが、結果的にクラッシュしたのはグロージャンひとりだった。なぜ、グロージャンはクラッシュするほどひどいアクアレーニング現象に見舞われたのか。
イギリスのBBCラジオで解説を務める元F1ドライバーのアラン・マクニッシュは次のように分析する。
「今年、モンツァはメインストレートの路面を一部再舗装していた。再舗装したばかりのアスファルトは骨材となる石と石の間に隙間があるため雨水が地面に浸透しやすいのだが、何年か経過してくるとゴミがつまって水たまりができやすい状態になる。ストレートの途中までは前車が走ったライン上に水たまりがなかったのに、ストレートエンド付近になって突然アクアレーニング現象が起きたのはそのためではないか」
さらにマクニッシュは、次のように続けた。
「舗装のつなぎ目というのはバンプになっているため、車体が浮きやすかったのではないだろうか」
日曜日のモンツァは晴天が予想されているため、もうアクアレーニング現象に悩まされることはない。だが、ドライになったらなったで、今度は再舗装された新しい路面の上で適切なクラッチミートを行わなければならない。土曜日に確認できなかったため、チームは金曜日のデータで基本的な設定を決め、あとは日曜日にスターティンググリッドにつくためのレコノサンスラップに出るときに、ピットレーン出口で試すしかない。
高速モンツァでの今年のイタリアGPは、トップスピードを競うだけでなく、再舗装した路面でのトラクションとの勝負しなければならない。