突然私事で恐縮だが、筆者はペットOKのマンションに住んでいる。なので、廊下や敷地内の共有部分でペットと出くわすことは当然覚悟して入居した。「覚悟して」というのは、筆者はあまりペット(というか犬)が得意でないから。
覚悟して入居したものの、愛犬家のあまりの多さに驚いた。朝、お隣さんのワンコの吠える声で目覚め、廊下でもすれ違い、エレベーターでは時に「ハァハァ」する彼らの荒い息を腕に感じながら昇降し、一階から歩道に出ると、もうそこはワンコの散歩パラダイス。マンションから目と鼻の距離のところに動物病院があるため、地域中のワンコが集まってくる。ワンコ密度が非常に高いエリアだ。(文:みゆくらけん)
相手が小型犬でも「心臓がバクバクしてものすごい恐怖感に襲われる」
そんな環境に住んでいるので、多少の免疫はついている。昨今の犬ラブ風潮は理解しているし、「この人は犬が苦手」だと飼い主に悟られた瞬間から悪人・異人扱いされかねないので、注意して生活している。でも、だからこそ、たまに強く訴えたくなる。
「世の中の全員が犬を好きなわけではない!!!」
と。筆者の場合は、犬という生き物が無条件に怖い(顔馴染みになった小型犬は平気な場合もあるが)。鳴き声にも毎度、ビビってしまう。特に"強そうな大型犬"とすれ違う時などは、実は相当ハラハラしている。だけど、「うちのワンちゃんかわいい(イカしてる)でしょ」的な飼い主の雰囲気を感じるため、その空気を壊さないように、苦手意識を飼い主に悟られぬよう必死でやり過ごしている。
同じように、犬問題で「暮らしにくい」と感じている人がいる。先日のガールズちゃんねるに「HELP!犬が怖い人いますか?」というトピックを立てた女性は、「小さい時から犬が尋常ではないくらい怖い」と投稿。散歩している犬を見ただけで、「心臓がバクバクしてものすごい恐怖感に襲われる」のだという。これは重症だ。
そんな彼女が先日出くわしたのは、5、6匹の小型犬を連れて散歩をしている人。犬たちが狭い道を塞いでいたため、飼い主は女性を先に通そうと足を止めてくれたようだ。しかし、怖くて前に進めない女性。するとその様子を見た飼い主に、
「なにをこれくらいで」
と呆れられ、情けなくなったのだとか。「最近はお店や交通機関にも連れてきているので生活しづらいです…」と訴える女性。
「うちの子は大丈夫」も勘弁してほしい
このトピックへは同じように犬が苦手だと感じている人の声が多く集まった。
「どんなに小さい犬でも怖くてダメ。『人懐っこいよ』『吠えないよ』『噛まないよ』…そういう問題ではなく、存在自体が怖い」
「伸びるリードで散歩してる人、ほんとにやめて欲しい」
小さい頃に追いかけられたなどトラウマを持つ人も多く、「ライオンがいるのと同じ感覚」という声も。また、怖いという以外にも「ニオイがダメ」「犬アレルギーなので」というコメントもあった。
犬に悪気はないからこそ、飼い主のモラルが問われるところ。
「私が犬苦手で触らないって言ってんのに『うちの子は大丈夫』ってこっちよこすな!! 日本語わかる?って思う」
犬が苦手な人にとって、今の犬ラブ絶好調社会は暮らしにくい。「犬が苦手な人もいる」という認識を持った配慮ある飼い主が増えればこれほど有り難いことはない。「かわいい!」という表現は出しやすくても、「怖い」「苦手」といった本音を発するのはなかなかに難しいことであるから。