2017年09月03日 09:42 弁護士ドットコム
オープンしたばかりのお店やイベント会場でよく見かける、お祝いのための「スタンド花」。ユリや胡蝶蘭など高価な花々が使われ、華やかで豪華なのが特徴だ。しかし、名古屋ではこのスタンド花を持ち帰る風習があると神戸新聞が報じている。
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一部地域での慣習となっているという「スタンド花の引き抜き」。法的には問題ないのだろうか。また、同じことを関東でしても許されるのだろうか。富永洋一弁護士に聞いた。
「スタンド花を持ち帰ることについて、店側の了承があれば、違法にはなりません。一方で、店側が了承していない場合は、刑法上は窃盗罪(刑法235条。10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)にあたる違法行為であり、民事上も、他人の所有権(所有物)を侵害したものとしてやはり違法になり、賠償問題となります」
中には花束にして持ち帰ったり、店頭に飾る前に引き抜いてしまう客もいるようだ。店側が持ち帰りを了承している場合であったとしても、このような行為は違法になるのだろうか。
「前述したように、店側が持ち帰りを了承している場合には違法とはなりません。
問題は、そのような持ち帰りについて『店側が持ち帰りを了承している』と言えるかどうかなのです。『了承』とは『承諾の意思表示』であり、店側から持ち帰る相手に対してそのような意思表示がなされているかが重要です。
具体的には、『持ち帰っていただいて構いません』と書かれた立て札など、持ち帰りの承諾の意思表示がなされた時点以降でなければ、そもそも了承がないと考えて良いでしょう」
引き抜きが当然だと思っている人が、関東で同じことをした場合、法的な責任を問われることはあるのだろうか。
「実際に名古屋で、どの程度慣習として通用しているのかは分かりませんが、そのような慣習を知らないで店を出すことも当然あり得ることです。『持ち帰っていただいて構いません』などの立て札などがない場合で、店側も持ち帰りを了承する意図がなかった場合には、やはり、刑事上の窃盗罪に問われたり、民事上の所有権侵害として賠償しなければならない可能性は十分にあります。
『慣習法』と呼べるほど、誰もが皆知っているようなよほど確立された慣習でなければ、慣習を理由に適法になることはないでしょう」
【編集部注】
日比谷花壇のブログからの引用部分を削除しました。(9月4日19時)
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
富永 洋一(とみなが・よういち)弁護士
東京大学法学部卒業。平成15年に弁護士登録。所属事務所は佐賀市にあり、弁護士2名で構成。交通事故、離婚問題、債務整理、相続、労働事件、消費者問題等を取り扱っている
事務所名:ありあけ法律事務所
事務所URL:http://ariakelaw-saga.com/