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Flower、歌とダンス意識した「たいようの哀悼歌」で初の首位獲得 同曲が引き出したグループの魅力

2017年09月02日 10:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2017年8月21日~2017年8月27日の週間CDシングルランキング(2017年09月04日付・ORICON NEWS)


 2017年9月4日付の週間CDシングルランキングの1位は、Flowerの『たいようの哀悼歌』。15枚目のシングルにして、初の週間シングルランキングでの1位獲得曲です。


(関連:Flower“専任メンバー”重留真波・中島美央・藤井萩花に訊く、新体制移行後の変化と覚悟


 冒頭から高らかに歌いあげる「たいようの哀悼歌」は、ドラマティックなイントロとともに始まります。ミディアムナンバーながら、穏やかなAメロでもベースとドラムは絶えず細かく動いており、ダンスミュージックとしても機能しうるトラックです。トリッキーな構造だとも感じました。


 また、Aメロから出し惜しみなくストリングスの音色が響いているのも特徴的です。さらに、ブラスの音色も鳴る中で、ドラマティックなBメロとサビへと展開していきます。サビで大きなアクセントになっているのはバイオリンの音色です。


 間奏でも、ピアノやストリングスの音色が響くゴージャスさ。Flowerのボーカルを豪華絢爛に彩る、作りこまれたサウンドを「たいようの哀悼歌」では聴くことができます。その情報量の多さは、音楽を聴いているだけでも、Flowerが歌い、そして踊る姿を容易に想像させてしまうほどです。実際MVでは、全身を使って表現するFlowerのダンスを見ることができます。


 作詞は小竹正人。Flowerはもちろんのこと、EXILEやE-girlsといったLDH関連アーティストに多くの歌詞を提供している作詞家です。


 作曲はCarlos K.とKanata Okajimaで、編曲はCarlos K.。Carlos K.については、この連載でNMB48の「僕以外の誰か」を取りあげた際にすでに触れたように(参考:NMB48、新曲「僕以外の誰か」でアグレッシブな側面を強く押し出す)、現在のJ-POPシーンのヒットメーカーのひとりです。歌とダンスの両面を意識した機能性を持つサウンドは、さすがCarlos K.と感じるものでした。


 もうひとりの作曲者であるKanata Okajimaこと岡嶋かな多についても、この連載でV6の『COLORS/太陽と月のこどもたち』収録の「SPARK」について書いたときに触れています(参考:V6『COLORS / 太陽と月のこどもたち』はグループの“静”と“動”を照らすーー収録曲の作家陣に注目)。V6の「SPARK」では作詞を担当していましたが、Flowerの「たいようの哀悼歌」では作曲を担当。シンガーソングライターである彼女が、作詞作曲の両面でJ-POPシーンでヒットを飛ばせる作家であることをFlowerの「たいようの哀悼歌」は証明しました。


 カップリング曲に目を向けると、「Stranger」は一転してダンス・オリエンテッドなナンバー。作詞は小竹正人、作編曲はRed-T・Kei Shimojo。Red-Tは、NEWS、加藤ミリヤ、V6などへ楽曲提供をしている作編曲家、プロデューサーです。Kei Shimojoこと下條ケイは、SUEMITSU & THE SUEMITHの編曲も手掛けている作編曲家。Red-TとKei Shimojoは、Flowerのサウンドにベース・ミュージックの要素を持ちこんでいて驚きました。


 同じくカップリング曲の「熱帯魚の涙 Asiatic version」は、2014年のシングル「熱帯魚の涙」を、箏・三絃・二十五絃箏演奏家の中井智弥が編曲したもの。原曲以上にボーカルをじっくり聴かせるバージョンへと変貌しています。


 ベース・ミュージックを取りこんだ「Stranger」と、箏奏者の手による「熱帯魚の涙 Asiatic version」のギャップは大きいですが、それも「たいようの哀悼歌」があってこそ成立するもの。歌とダンスの両面を意識した機能性を持つサウンドの「たいようの哀悼歌」が、Flowerというグループの魅力をしっかりと引きだし、1位獲得へと導いたことは間違いないでしょう。(宗像明将)