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『ウチの夫』夫婦仲をかき乱す江口のりこ 名バイプレイヤーの演技を読む

2017年09月02日 09:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 錦戸亮と松岡茉優が共演する『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)。2人が演じる司(錦戸亮)と沙也加(松岡茉優)のかわいい夫婦像に癒される作品となっているが、そんな2人の生活をかき乱す司の姉・みどり(江口のりこ)の存在が、このドラマの絶妙なスパイスとなっている。


(参考:『コード・ブルー』有岡大貴と『ウチの夫』薮宏太、先輩から何を学ぶ? “生意気な後輩”役を読む


 当初は小林家に居候を決め込み、その後、彼氏と同棲を始めてからも、何かと小林家に現れるみどり。「地球上に緑が必要なように、みんなを癒せるように」という名前の由来とは裏腹に、図々しい態度と空気を読まない発言を繰り返し、沙也加たちを振り回していく。しかも、それは沙也加が留守中にも関わらず客人を家に招いたり、私物を次々に持ち込んでリビングを自分仕様に模様替えしたりと、普通の人なら激怒しそうなことばかり。そのうえ本人はそれが迷惑に思われているだなんて微塵も感じていないのだから困ったものだ。もしみどりのような女が身近にいたら、すぐに縁を切ることをお勧めしたいところだが、みどりに限ってはなぜか憎めない。それどころか彼女ほどの鈍感力があれば、生きるのが楽そうだと、ちょっとうらやましく思えてくるのがみどりの不思議なところだ。


 みどりを演じているのは、名バイプレイヤーの江口のりこ。柄本明率いる劇団東京乾電池に所属する女優であり、『連続テレビ小説 マッサン』(NHK)、『コウノドリ』(TBS系)、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)など数々のドラマに出演しているので、「この女優さん、見たことがある」と思う人も多いのではないだろうか。その彼女が醸し出す飄々とした雰囲気と、セリフにあまり抑揚をつけないフラットな演技があるからこそ、みどりという本来ならば迷惑な女を嫌味なく見せているのではないかと思う。


 新しい恋人・田所(薮宏太)の前で見せる“かわいい女モード”のみどりとのギャップもコミカルで、江口の演技力の高さを証明している。現在、江口は『黒革の手帖』(テレビ朝日系)にも江口洋介演じる衆議院議員秘書・安島の婚約者である令嬢役で出演しているのだが、こちらはかなりクールな役柄で、同じ女優が演じているとは思えないほど。両方のドラマを観れば、そのギャップに驚かされるはずだ。


 今日放送の第8話では、みどりが彼氏を紹介するために小林家にやってくることに。何も知らない司と会社の後輩・田所がついに顔を合わせることになるのか、注目していてほしい。


(馬場英美)